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八
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「火事だー!!早く逃げろー!!」
「うそでしょ!?」「なんでこの屋敷が?」
いろいろな叫び声があがる。その叫び声の先には大きな屋敷が一軒、真っ赤な炎をまとっていた。
「これで全員脱出できたかしら?」
「鷹華がいないわ!」
「ご主人様もいません!」
鷹華と屋敷の主を抜いた全員は避難が済んでいる。
あとは鷹華と屋敷の主、この二人がいなかった。
「私が二人を助けに――」
「馬鹿な真似はやめろ!ここまで火が上っているんだ。残念だが……」
「そんな……」
誰もが分かっていたが口に出さなかった。
少しの可能性でもあれば助かってほしい。
皆がそう望んでいた。
「ご主人様……鷹華、無事でいて……!」
*
暑い、暑いですわ。なんでここまで暑いのでしょうか。
「えっ!?どういうことなんですか……」
屋敷のあちらこちらには火が回っています。ですが、まだ火が回ったばかりのようで逃げ道はたくさんあります。まだ助かるでしょう。
それにしても、なんで眠ってしまったんでしょうか?
たしか、異様な眠気で寝てしまって……。そうだ!ご主人様も眠ってしまわれたのでした!
「ご主人様!起きてください!ご主人様!!」
「そいつなら当分起きないよ。けっこう強めのをいれたからな」
「あなたは、銀行の」
「覚えていてくれてありがとう、鷹華」
そこには銀行の方がいました。
強めの、とは一体どういうことなんでしょうか?でも今は脱出が先です!
「お願いします!手を貸してください!」
「は?嫌に決まっているだろ」
「えっ……」
なぜ、なんでしょうか?私は失礼なことを言いましたか?
「てめえとこいつはここで死んでもらう」
「なんで、そんなことを……」
「僕の取引を見やがって。あれを見られたのはまずいんだ。だからてめえは必ず消す」
「ならご主人様は関係ないですよね!」
「ついでだついで。そうすれば取引も消えて使う金が減る」
「そ、そんな……」
なんてひどい方なんでしょうか。
でも私一人ではご主人様を運べません。どうしましょう……。
「何か、引っ張れるものがあれば」
「おっと、どこに行くつもりだ?」
「日本刀……何をする気なんですか?」
「なに、確実に死んでもらうために持ってきたんだ」
ここまでひどい方なんて。頼った私がバカでした。
「じゃあな。怨むなら自分の運のなさに怨みな」
「キャアアアアアアア!!」
「うそでしょ!?」「なんでこの屋敷が?」
いろいろな叫び声があがる。その叫び声の先には大きな屋敷が一軒、真っ赤な炎をまとっていた。
「これで全員脱出できたかしら?」
「鷹華がいないわ!」
「ご主人様もいません!」
鷹華と屋敷の主を抜いた全員は避難が済んでいる。
あとは鷹華と屋敷の主、この二人がいなかった。
「私が二人を助けに――」
「馬鹿な真似はやめろ!ここまで火が上っているんだ。残念だが……」
「そんな……」
誰もが分かっていたが口に出さなかった。
少しの可能性でもあれば助かってほしい。
皆がそう望んでいた。
「ご主人様……鷹華、無事でいて……!」
*
暑い、暑いですわ。なんでここまで暑いのでしょうか。
「えっ!?どういうことなんですか……」
屋敷のあちらこちらには火が回っています。ですが、まだ火が回ったばかりのようで逃げ道はたくさんあります。まだ助かるでしょう。
それにしても、なんで眠ってしまったんでしょうか?
たしか、異様な眠気で寝てしまって……。そうだ!ご主人様も眠ってしまわれたのでした!
「ご主人様!起きてください!ご主人様!!」
「そいつなら当分起きないよ。けっこう強めのをいれたからな」
「あなたは、銀行の」
「覚えていてくれてありがとう、鷹華」
そこには銀行の方がいました。
強めの、とは一体どういうことなんでしょうか?でも今は脱出が先です!
「お願いします!手を貸してください!」
「は?嫌に決まっているだろ」
「えっ……」
なぜ、なんでしょうか?私は失礼なことを言いましたか?
「てめえとこいつはここで死んでもらう」
「なんで、そんなことを……」
「僕の取引を見やがって。あれを見られたのはまずいんだ。だからてめえは必ず消す」
「ならご主人様は関係ないですよね!」
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「そ、そんな……」
なんてひどい方なんでしょうか。
でも私一人ではご主人様を運べません。どうしましょう……。
「何か、引っ張れるものがあれば」
「おっと、どこに行くつもりだ?」
「日本刀……何をする気なんですか?」
「なに、確実に死んでもらうために持ってきたんだ」
ここまでひどい方なんて。頼った私がバカでした。
「じゃあな。怨むなら自分の運のなさに怨みな」
「キャアアアアアアア!!」
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