桜色の髪飾り

銀狐

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六

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「おかえり、早かったね。どうだった？」
「いえ、ただお話をしただけです」
「それでご主人様は？」
「お休みになっています。ですので静かにしたほうがいいかと」

　みんなのところへ戻ると皆さん仕事が終わったみたいで休んでおりました。

「鷹華も休んどきな。夕飯は向こうの班がやるんだし」
「そうですね。すみません、私も休んでいます」

　旦那様にも休むよう言われました。私は自分の部屋へ戻りました。
　空はいい天気。私は縁側に座りました。

　いつもなら夢中で何かをつくっているのですが、なぜか何もやる気が起きません。それに、さっきご主人様が私をかばったときから胸に違和感がありました。
　わからないことばかりです。ご主人様がお客様に怒ったときは怖いと思うはずが、なぜかうれしいと思いました。自分でもよくわかりません。

　少し考え事をしていたらだんだん眠くなってきました。徐々に瞼が閉じてきました。

「はっ！」

　今は何時でしょうか！一体どれぐらい寝てしまったんでしょうか！

「こんなところで寝ると風邪を引いてしまうよ」
「ご、ご主人様！？」

　いつのまにかお隣にご主人様がいました。こんな寝てる姿を見られたなんて……。恥ずかしいです。

「申し訳ございません。仕事もせずに……」
「いや、かまわないよ。ほかの給仕の人に聞いたから」

　外を見てみるともう赤く染まっていました。
　夕飯はやっておくと言っていましたが、私が一人でここにいるのは少し気が引けます。皆さんのところへ行かないと。

「すみません。台所のほうへ行ってきます！」
「いや！鷹華は台所に行かなくていい！普通に食堂の席に座ってていいから」
「そうですか……？」

　ご主人様にまで止められてしまいました。少し悲しいです。

「ご主人様はこの後どうしますか？」
「俺か？俺はいつも通り部屋で食事をするよ。鷹華も一緒に食べるか？」
「いいんですか？よければご一緒させていただきたいです」

　なぜでしょうか。普通なら断るところを「一緒に食べたい」と思ってしまいます。
　不思議といつもよりうれしく思います。

「じゃあ一緒に食べようか。みんなに言っておいてもらえるか？」
「はい！では行ってまいります」

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