なんで私が異世界に!?

銀狐

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 光が消えた時、そこは見たことが無い場所が目に映りました。

「ここは…どこなの?」

 さっきまでは道路のまん中にいたのに、なんで森の中?
 えっと、携帯はどうなんでしょう?

「ダメだわ。やっぱり繋がらない」

 それはそうでしょう。
 ここは森の中、誰でも使えないと分かります。
 だけどつい携帯これに頼ってしまいます。

 でもどうしたらいいのでしょうか?
 気づいたら森の中って……。
 何をしたらいいのか。

「もう!誰かどうしたらいいのか教えてよ!!」

 自棄やけになってついつい声を出してしまいました。
 その時です。
 声を出したとき、後ろからガサガサという音が聞こえました。

「誰かいるの?」

 誰かいるならここはどこなのか教えてほしい。
 そんな期待を込めて音がする方へと歩き始めました。

「誰か――」
「グルルルル」
「……えっ」

 期待を込めて歩き出したのに、それは絶望へと変わりました。
 音がする方からドラゴンが出てきたのです。

「えっ…えっ?ど、ドラゴン?」
「ガアアアッ!!」

 私のほうを見ると吠えてきました。
 ドラゴンってお口がこんなに大きいんですね。

 って、そんなこと言っている場合じゃありません!
 早く逃げないと!!

 私は必死に全速力で逃げました。

「誰か!誰か助けて!!」
「ウガアアッ!」

 何で追いかけてくるの!!
 私、あなたに何もしていないんですけど!!

「キャアッ!」
「グルルル……」

 もう…終わりです。
 転んでしまい、目の前にドラゴンの顔が来てます。

 ああ、私はここで死んでしまうのですか。
 もっとたくさん可愛い服を着たり、美味しいお菓子を食べたりしたかったなあ。

「ニーズ?何をしているんだ?」
「ガウッ」
「女の子?」

 私の後ろには男の人が立っていました。
 …男の人であってますよね?
 綺麗な金髪が長く、整った顔のため女性と言われても信じてしまいそうです。

「大丈夫かい?」
「あ、はい。ではなくてドラゴンが!」
「大丈夫だよ。ニーズは意味なく人を襲わない。迷子だったから僕の所まで連れてきたんだよ」
「それならもっといい方法で連れて行ってほしかったわ……」

「ドラゴンを見るのは初めてかい?」
「初めても何も…まずここがどこか分からないんです」
「あぁ、時空の迷い人なのかな。君の服装は見たことが無いから」
「時空の迷い人?」

「簡単に言えば神のいたずらで別の世界に来た人。君がいた世界とはまた別の世界にいるんだよ」
「そんな!どうやったら戻れますか?」
「残念だけど、今はまだ戻る手段が見つかっていないんだ」
「う、うそでしょ……」

 ようやく人に会えたのに、得られた情報は元の場所には戻れない。
 そんな…誰かうそだと言って……。

「悲しいのは分かる。でも早くここを離れよう」
「なぜですか?危ない、とか?」
「そうだ。ここにはニーズとは別のドラゴンも住み着いているんだ。ひとまず僕の家に行こう」
「あ、ありがとうございます。えっと……」
「僕はユーラス。ユーラス・ドールだよ」
「私は姫路鷹華――ヨウカと言います。よろしくお願いします、ユーラス」
「よろしくヨウカ。さあ早く行こう」
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