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奇跡の花
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「ちなみにだけど、その場所は雪山ほど過酷ではないわ」
「なんだ、あれ以下なのか」
「あれ以下って……。あれよりひどいのがあったらあなたたち以外だと無理だよ……」
いや、その暴風雪の中で歩いていた人たちがいたけど。
これは調査隊がクラハドールさんたちに気づいたときが面白そうだな。
「まあそれは置いて、依頼はこれだけ?」
「これだけって?」
「いや、複数あったら一緒にやっちゃおうかなあって」
やるなら複数やったほうが効率はいい。
ゲームでも複数受けるのは当たり前だった。
「残念だけど、原則は1つずつでお願い」
「なんでだ?」
「仕事がなくなる、が原因だよ」
「…あぁ!そういう事か」
ゲームでは同じ依頼を何回も受けられる。
だがこっちでは違う。
例えば迷惑しているモンスターを討伐する依頼があるとしよう。
そのモンスターを倒し、報酬をもらう。
じゃあまたもう1回受けられるかと言えば受けられない。
理由は簡単、その元凶のモンスターがもういないからだ。
また被害が出れば依頼は出てくるだろうが、連続してそうなることはない。
そうなると依頼の数もたくさんと言うわけではなくなる。
冒険者が多ければ多いほどに。
だから失業者を出さないように1つずつにしているんだろう。
「そういう事なら仕方ない、これだけを受けるよ」
「じゃあよろしくね。生存を確認出来たら――」
「分かってる。すぐに報告するよ」
俺たちは依頼書を手に持ち、冒険所から出た。
「さて!じゃあさっそく家に向かう、その前に!」
「そうね、アクセサリーショップに行きましょう」
「アクセサリーショップ?」
なんでそんなところに?
さっきの話だと家に行く流れだったはずだが。
「ほら行くよディラ!」
「分かった、分かったから引っ張るなよメル!」
別に欲しいものがあるなら構わないけど。
でもそんなに急がなくてもいいんじゃない?
俺たちは町にあるアクセサリーショップへたどり着いた。
店の外装から分かるが、ここけっこう高そうだぞ。
「いらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ」
店のドアを開けると、中にはスーツを着ている人がいた。
特徴的な角があるけど、羊の獣人かな?
「ねえねえディラ!これなんてどう?」
「へぇ、リングか……」
ファラは珍しくテンションが高い。
こういうアクセサリー系が好きなのかな?
選んでいたのはきれいなシルバーリングだ。
どういう効果があるんだろう?
「効果…なし……」
マジかよ、何のためのリングだよ。
うーん、でも欲しそうにしているしなあ。
買ってあげてもいいか。
初めての依頼達成記念も兼ねて。
「メルはどれがいいの?」
「ちょっとまって、真剣に考えているから」
真剣に見ているリングを隣から覗いてみた。
なにこれ、全部同じように見えるんだけど。
でも真剣に見ているんだし、メルには全然違うように見えるんだろう。
「よし!これに決めた!」
手に取ったのはファラと似たようなシルバーリングだった。
どうしよう、同じものにしか見えない。
「それじゃあ買うか。すみませーん!」
店員さんを呼び、2つのリングを頼んだ。
わざわざ手袋をして綺麗な布の上に乗っけている。
そういえば値段が載っていない。
これって時価とかそういうやつだったり?
「合計金貨8,000枚になります」
「……わお」
普段だったら絶対言わない言葉が口に出てしまったよ!
依頼の報酬の8倍じゃないか!
下手したらそれなりの家一軒を買えるぞ!
まあ買っても財産に影響があまりないから買いますけど。
「では数えますので座ってお待ちください」
俺たちは奥にある待合室で待つことに。
「あのリング何に使うの?」
「「結婚指輪」」
「えーっと……」
「動揺するのも分かるわ。でも必要なものなの」
「ディラが嫌だったらやめるけど……」
二人は悲しそうな顔をした。
「嫌どころか、むしろうれしいけど……」
「「ほんとうに!?」」
「う、うん」
一気に明るくなった。
えっ、まさかだけど――
「お待たせしました。お金の方はしっかりございました。ではこちらの結婚指輪をどうぞ」
「「ありがとう」」
二人はリングを手に取り、左手の薬指にはめた。
大きさはぴったりだ。
「ご結婚おめでとうございます」
「えーっと、ありがとうございます……?」
式どころか告白もしていないんですが!?
「これからもよろしくね、ディラ」
「僕も一緒によろしくね!」
「お、おう」
俺たちは結婚した、みたい?
「なんだ、あれ以下なのか」
「あれ以下って……。あれよりひどいのがあったらあなたたち以外だと無理だよ……」
いや、その暴風雪の中で歩いていた人たちがいたけど。
これは調査隊がクラハドールさんたちに気づいたときが面白そうだな。
「まあそれは置いて、依頼はこれだけ?」
「これだけって?」
「いや、複数あったら一緒にやっちゃおうかなあって」
やるなら複数やったほうが効率はいい。
ゲームでも複数受けるのは当たり前だった。
「残念だけど、原則は1つずつでお願い」
「なんでだ?」
「仕事がなくなる、が原因だよ」
「…あぁ!そういう事か」
ゲームでは同じ依頼を何回も受けられる。
だがこっちでは違う。
例えば迷惑しているモンスターを討伐する依頼があるとしよう。
そのモンスターを倒し、報酬をもらう。
じゃあまたもう1回受けられるかと言えば受けられない。
理由は簡単、その元凶のモンスターがもういないからだ。
また被害が出れば依頼は出てくるだろうが、連続してそうなることはない。
そうなると依頼の数もたくさんと言うわけではなくなる。
冒険者が多ければ多いほどに。
だから失業者を出さないように1つずつにしているんだろう。
「そういう事なら仕方ない、これだけを受けるよ」
「じゃあよろしくね。生存を確認出来たら――」
「分かってる。すぐに報告するよ」
俺たちは依頼書を手に持ち、冒険所から出た。
「さて!じゃあさっそく家に向かう、その前に!」
「そうね、アクセサリーショップに行きましょう」
「アクセサリーショップ?」
なんでそんなところに?
さっきの話だと家に行く流れだったはずだが。
「ほら行くよディラ!」
「分かった、分かったから引っ張るなよメル!」
別に欲しいものがあるなら構わないけど。
でもそんなに急がなくてもいいんじゃない?
俺たちは町にあるアクセサリーショップへたどり着いた。
店の外装から分かるが、ここけっこう高そうだぞ。
「いらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ」
店のドアを開けると、中にはスーツを着ている人がいた。
特徴的な角があるけど、羊の獣人かな?
「ねえねえディラ!これなんてどう?」
「へぇ、リングか……」
ファラは珍しくテンションが高い。
こういうアクセサリー系が好きなのかな?
選んでいたのはきれいなシルバーリングだ。
どういう効果があるんだろう?
「効果…なし……」
マジかよ、何のためのリングだよ。
うーん、でも欲しそうにしているしなあ。
買ってあげてもいいか。
初めての依頼達成記念も兼ねて。
「メルはどれがいいの?」
「ちょっとまって、真剣に考えているから」
真剣に見ているリングを隣から覗いてみた。
なにこれ、全部同じように見えるんだけど。
でも真剣に見ているんだし、メルには全然違うように見えるんだろう。
「よし!これに決めた!」
手に取ったのはファラと似たようなシルバーリングだった。
どうしよう、同じものにしか見えない。
「それじゃあ買うか。すみませーん!」
店員さんを呼び、2つのリングを頼んだ。
わざわざ手袋をして綺麗な布の上に乗っけている。
そういえば値段が載っていない。
これって時価とかそういうやつだったり?
「合計金貨8,000枚になります」
「……わお」
普段だったら絶対言わない言葉が口に出てしまったよ!
依頼の報酬の8倍じゃないか!
下手したらそれなりの家一軒を買えるぞ!
まあ買っても財産に影響があまりないから買いますけど。
「では数えますので座ってお待ちください」
俺たちは奥にある待合室で待つことに。
「あのリング何に使うの?」
「「結婚指輪」」
「えーっと……」
「動揺するのも分かるわ。でも必要なものなの」
「ディラが嫌だったらやめるけど……」
二人は悲しそうな顔をした。
「嫌どころか、むしろうれしいけど……」
「「ほんとうに!?」」
「う、うん」
一気に明るくなった。
えっ、まさかだけど――
「お待たせしました。お金の方はしっかりございました。ではこちらの結婚指輪をどうぞ」
「「ありがとう」」
二人はリングを手に取り、左手の薬指にはめた。
大きさはぴったりだ。
「ご結婚おめでとうございます」
「えーっと、ありがとうございます……?」
式どころか告白もしていないんですが!?
「これからもよろしくね、ディラ」
「僕も一緒によろしくね!」
「お、おう」
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