異世界最強のレベル1

銀狐

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番外編

図書館に眠る主 3

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「そういえばクエストタイトルは図書館に眠る主なのに誰もいないねー」
「どこかで寝ているのではないかしら?」

 たしかにクエストタイトルには眠る主と書いてあった。
 正直、内容や報酬ばっかりに目が行くのでタイトルを忘れることが多い。

「そっちも探してみるか?」
「先に本を見つければいいんじゃないの?本を持ってくるだけなんだし」
「……」
「どうしたんだ?ファラ」

 ファラは何か考え始めた。
 どの本かを探す方法でも考えているのか?

「いえ、先に眠る主のほうを探しましょう」
「どうしてだ?」
「説明は…できないわ。でも先に主を探す方そっちにした方がいいかと思って」

 理由は分からないけどってことは勘ということか。
 あまり急いでいるわけではないし、クエストの内容を全部知らないでクリアするのももったいない。
 ここはファラの勘を信じてみよう。

「よし!じゃあ主とやらを探そうか」
「オッケー!」
「悪いわね」
「別に構わないよ。同じパーティだろ?」
「…そうね」

 ファラは嬉しそうにほほ笑んだ。
 相変わらずの美人だよなあ。

「まずはここ図書館の構造だが――」

 この図書館はビル型で縦に広がっている。
 建物の中心は空いており、壁際に螺旋階段があってそこに本が並んでいる。

 試しに上まで行ってみるものの、本が並んでいるだけだった。
 階段途中に部屋があるわけでもない。
 誰かがいるスペースもなかったのだ。

「誰もいないな……」
「おかしいわね。主人と書いてあるのに誰もいないなんて」
「もしかして隠し扉があるとか?」

 あり得るかもしれない。
 でも、どこに隠し扉のスイッチがあるというんだ?
 上の方まで壁を調べたが、そんなものは何もなかった。

「何かヒントがありそうなんだが、何かないか?」
「「何も……」」
「だよなー」

 ここはヒントが無さ過ぎる。
 謎解きゲーは苦手なんだよなあ。

「ん?ここの本、全部天候に関する魔法だな」
「そうね。こんなにたくさんあるのね…ってそういうわけではないわ。数種類の本が順番に並んでいるだけだわ」
「同じ本が順番にか?」
「ええ、そうよ」

 なんでそんな無駄なことをしているんだ?
 それならもっと種類を増やした方がいい。
 こんなところまで本を借りてくる人なんていないだろうしな。

 それに水色と白色の本ばかりなのはおかしいだろ。
 本にその色はどうだろうか。

「ねえねえディラー!」
「どうしたー!」
「下のほうも同じ種類の本ばっかりだよー!」
「なんだって!?」

 俺はメルがいる下のほうへと降りた。
 メルの言った通り、同じような本ばかりだ。

「でもまあ、種類は違うし増えたな」
「関係あるの?」
「ある…と思う」

 種類は増えたものの、上と同じように並んでいる。
 上と違うとしたら、ところどころ緑や青色の本が混ざっている。

「本の内容は、地面系の魔法か」
「こっちもそうだよー」
「まてよ!もしかして――」

 下は地面、上は空。
 じゃあ一番上はどうなんだろうか。

「なるほど、一番上は宇宙という事か」
「あぁ、そういう事ね」
「えっ?どういうこと?」

 ファラも分かったみたいだ。
 メルはまだ気づいていないようだけど。

「つまりだ、ここにある本は地面から空、そして宇宙までを現している」
「へぇー!すごいことするね!」

 問題はここからだ。
 それがいったいどういう事につながるのか。
 まあ、だいたい予想はついているけど。

「どこ行くのー?」
「上の方だ」
「上?」

 俺たちは階段を上って行き、水色と白色の本がたくさんあるところで立ち止まった。

「えっ、こんなところで止まるの?」
「ああ、ここら辺にあるはずだ」

 俺は一冊一冊本を確認した。
 その中に、一冊だけ他の内容が書かれている本があった。

「あった、これだ」

 手に取ったのは島についての本。
 この浮遊島を示す本だろう。

 すると本を手に取った瞬間、周りにあった本が輝きだした。

「どうなっているんだ!?」
「本が光っているー!」
「綺麗だわ……」

 本は輝いている。
 やがて光が消えると、違う色の本になっていた。

「なるほど、ここはちゃんとした図書館だったんだな」

 近くにある本を見てみると、全部内容が変わっていた。
 色で分けられていたり、同じ種類だったのはカモフラージュだったってことか。

「見て!下の方!」
「大きい本が出てきたわ」

 地面が開き、地下から一冊の大きな本が現れた。

「あれがクエストにあった本なのかもな」
「ええ、間違いないわ」
「主は見つからなかったけど、まあ成果はあったな」

 主を探す目的とは違ったが、目的に本が出てきた。
 それはそれでいいだろう。

 そんな時、大きな本が開いた。

「やっほー!お客様かなー?」

 本から一人の女の子が現れた。
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