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vsメルメシア王国
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【第11回ファンタジー小説大賞】の投票期間に入りました。
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―――――――――――――――――――――――
「いいですよ、元々こうなると思っていましたので。メルメシアの軍が全滅した後に来たのは正解だと思いますよ。正直あなた方がいない場合、メルメシア王国が一気に攻め込むとガルガン王国は負けてしまうので」
「そうか、だが人質は直に正気に戻るだろう。勝負は負けたが、お前は好き勝手やりすぎた。ここで消えてもらう」
「神様気取りですか。人質はまだ人質ですよ。エマ」
「わかった」
国王の影から長い髪を揺らした銀髪の少女が現れた。
少女は国王の首に短剣を構える。
「くそっ!そんなところに隠れていたのか」
「大丈夫です、殺しはしません。あなたたちと戦うのにはまだ早いのでこうしただけです」
「……一体何が起きているんだ?」
洗脳が解かれた国王はまだ混乱している。
「久しぶりです。ガルガン国王」
「ヴェルではないか…戻ってきてくれたのか?」
「そういう風に見えますか?もういい加減に現実を見ましょう」
「……話は本当だったんだな。私はなんていうことを」
国王は涙を流し始めた。
信頼していた者に裏切られ、敵として目の前に立っている。
次から次へと涙が溢れ出てきた。
「ヴェル、成功したの?」
「ええ、おかげで成功しましたよ。千名の生贄とは大変ですね」
「生贄だと?何を成功したんだっていうんだ?」
「そろそろ出てきますよ」
ヴェルが上を見ると俺たちも上を見上げた。
その瞬間、空が光りだした。
「門、なのか?」
「そうです。開きますよ」
大きな白い翼が描かれた扉が開き始めた。
大きな扉に対し、出てきたのは一人の女性だけだった。
「ここは……人間の土地」
扉から出てきた人は白い翼が生えていた。
それも普通の天使とはちがい、4枚の翼がある。
「私を呼んだのは誰?」
「私ですよ。ヴェル・ユーラスと言います」
「もしかして、あなたがここの?」
「そうです。あなたの名前は?」
「私はシン」
「よろしくお願いします、シン」
降りてきたと思ったらヴェルとずっと話をしている。
引っかかるところもあったが、ヴェルを仕留めるのが先だ。
「すみません、待たせてしまい」
「ああ、じゃあ今すぐ――」
「ここは一旦引かせてもらいます。ちょうど戦争も終わったことですし」
「俺が逃がすと思うか?裁きの光!」
「これは……」
避けるにはもう遅い。
俺が使える魔法Lv.100のカンスト魔法だ。
跡形もなく消えるだろう。
「女神の鏡」
「なっ!?」
嘘だろ!?
あの魔法を跳ね返すのかよ!って感心している場合じゃねぇ!
防御に回らないとまずい!
俺はすぐに防御に回り、誰一人ケガをすることなく守りきれた。
威力があったせいで、周りは砂ぼこりが舞っている。
「ゴホッ!ゴホッ!」
「すごいですね。今の魔法も跳ね返してしまうんですか」
「うん、でもそれより早く何処かへ行こう。ここでは話し合いができない」
「そうですね」
ヴェルが答えると、シンという天使は移動用のゲートを開いた。
「ではディラさん、またお会いしましょう」
「待っ――」
くそっ!逃げられた!!
防御のせいで出遅れてしまった。
「待って、殺さないで」
「ディラ、国王に引っ付いていたやつは捕らえたよ!」
「ナイスだ!」
メルは逃げる瞬間を見逃さず、確実に捕らえられる一番近くにいたエマという子を捕らえていた。
「それで何が成功したの?吐かないとどうなるかわかるよね?」
「分かった。話すからそんなに強くしない」
メルは槍を使って取り押さえている。
話せるように少しだけ緩めた。
「成功したのは他の所にいる5人を呼ぶこと」
「5人?1人しか出てこなかったが」
「1人呼ぶのに生贄が必要。今回は1人しか呼べなかった」
「あの人数を生贄にして1人しか呼べないって随分おかしい儀式だね」
「じゃあなんでヴェルは俺たちとゲームしようといいんだしたんだ?」
「努力して積み上げたのを崩すのが楽しいからって言っていた」
ヴェルはガルガン王国では1番隊隊長に、メルメシア王国では指令総括になった。
相当な努力と年月を費やしただろう。
それを崩すのが楽しいなんて変なやつだ。
「じゃあ君は何者なんだ?」
「エマ?エマは――」
『こんなところにいたんですか。帰りますよ』
「……はーい」
「うわぁ!?」
ヴェルの声がすると、エマという子はドロっと溶けた。
メルは気持ち悪がって手を放してしまった。
溶けたエマはそのまま地面へと消えていった。
『ああ、言い忘れていました。メルメシア王国の国王は開放しておきましたよ』
「どうせまた嘘なんだろう?」
『信じるのはあなた次第です。私にとってはあの国は用済みなんで。今度こそさようならです』
ヴェルの声は消え、エマという子も消えた。
こうしてヴェルとの戦いは終わった。
「もうだめだ……。私一人ではもうやっていけない」
国王はまだ泣いている。
下を向き、地面に手をつき、ずっと泣いている。
「……まだそんなこと言っているのか?」
「えっ?」
「もっと周りをみろ!自分一人で国が成り立つわけがない。もっと仲間を頼れ!何から何かまで自分で抱え込むな!」
俺はいつの間にか泣いている国王の胸ぐらを無理やりつかんでいた。
「あんたの周りにはあんたを信頼して、必死についていこうとしている人たちがいるんだぞ。そんな人達まで信頼できないのか?そんなわけないんだろ?もっと周りを頼れ!そして少しだけでもいいから相談をしてみろ。少しでも気が楽になる」
この言葉は何より自分に響く。
これは俺の体験談だ。
過去に学校から追い出されることがあった。
でも、そんな俺を支えてくれた人達がいる。
恐る恐る相談をしたらその人達も真剣に考えてくれ、心のどこかにあったモヤが晴れ始めた。
いつまでも自分一人で抱えてはいけない。前に進めない。
一人で抱えて苦しんでいたら尚更だ。
「国王様……」
「デルガン…今まですまなかった」
「いいんです、国王様。これから頑張ればいいんですから」
「……ありがとう」
国王と会って初めて笑顔を見た気がする。
そう、そんな風に笑っていればきっといいことが訪れるはずだ。
*
「よし!早くこの件を片付けちゃうか!」
「片付ける?もう戦いは終わったのでは?」
「確かに戦いは終わったが、他はまだ終わっていない。俺が頼まれたのはこの国を救うことだからな」
「は、はあ。それで我々は何をすれば?」
「まず今回の被害者はガルガン王国とメルメシア王国だ。そしてメルメシア王国は軍を失い壊滅状態だ」
今回はヴェルの身勝手で二つの国が被害にあった。
同じ被害者同士ならやることは一つ。
「今回の件を踏まえ、同盟を組もうかと思ってな」
「攻め落とす、のではなく?」
「そうだ。攻め落としても命令して動くことになる。そうなるといつかは裏切られるかもしれない。それなら共に手を組み、今後同じようなことが起きないようにしていったほうがいいだろう。それに貿易などできるオマケ付きだ」
「は、はは…あはははっ!あなたが国王でしたらよかったのに!」
国王は豪快に笑い飛ばした。
「それはそれでも面白いけど、それは無理な話だ」
「なぜですか?今から建国されるならガルガン王国は全力でお手伝いしますぞ」
「バカを言うな。俺たちはそういうのにはならない。なぜなら――」
「なぜなら?」
「俺たちは同士に会いたくて体が勝手に動いちゃうからだよ。どっちが本当の強者か比べたくてね」
「……面白い方たちだ」
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「いいですよ、元々こうなると思っていましたので。メルメシアの軍が全滅した後に来たのは正解だと思いますよ。正直あなた方がいない場合、メルメシア王国が一気に攻め込むとガルガン王国は負けてしまうので」
「そうか、だが人質は直に正気に戻るだろう。勝負は負けたが、お前は好き勝手やりすぎた。ここで消えてもらう」
「神様気取りですか。人質はまだ人質ですよ。エマ」
「わかった」
国王の影から長い髪を揺らした銀髪の少女が現れた。
少女は国王の首に短剣を構える。
「くそっ!そんなところに隠れていたのか」
「大丈夫です、殺しはしません。あなたたちと戦うのにはまだ早いのでこうしただけです」
「……一体何が起きているんだ?」
洗脳が解かれた国王はまだ混乱している。
「久しぶりです。ガルガン国王」
「ヴェルではないか…戻ってきてくれたのか?」
「そういう風に見えますか?もういい加減に現実を見ましょう」
「……話は本当だったんだな。私はなんていうことを」
国王は涙を流し始めた。
信頼していた者に裏切られ、敵として目の前に立っている。
次から次へと涙が溢れ出てきた。
「ヴェル、成功したの?」
「ええ、おかげで成功しましたよ。千名の生贄とは大変ですね」
「生贄だと?何を成功したんだっていうんだ?」
「そろそろ出てきますよ」
ヴェルが上を見ると俺たちも上を見上げた。
その瞬間、空が光りだした。
「門、なのか?」
「そうです。開きますよ」
大きな白い翼が描かれた扉が開き始めた。
大きな扉に対し、出てきたのは一人の女性だけだった。
「ここは……人間の土地」
扉から出てきた人は白い翼が生えていた。
それも普通の天使とはちがい、4枚の翼がある。
「私を呼んだのは誰?」
「私ですよ。ヴェル・ユーラスと言います」
「もしかして、あなたがここの?」
「そうです。あなたの名前は?」
「私はシン」
「よろしくお願いします、シン」
降りてきたと思ったらヴェルとずっと話をしている。
引っかかるところもあったが、ヴェルを仕留めるのが先だ。
「すみません、待たせてしまい」
「ああ、じゃあ今すぐ――」
「ここは一旦引かせてもらいます。ちょうど戦争も終わったことですし」
「俺が逃がすと思うか?裁きの光!」
「これは……」
避けるにはもう遅い。
俺が使える魔法Lv.100のカンスト魔法だ。
跡形もなく消えるだろう。
「女神の鏡」
「なっ!?」
嘘だろ!?
あの魔法を跳ね返すのかよ!って感心している場合じゃねぇ!
防御に回らないとまずい!
俺はすぐに防御に回り、誰一人ケガをすることなく守りきれた。
威力があったせいで、周りは砂ぼこりが舞っている。
「ゴホッ!ゴホッ!」
「すごいですね。今の魔法も跳ね返してしまうんですか」
「うん、でもそれより早く何処かへ行こう。ここでは話し合いができない」
「そうですね」
ヴェルが答えると、シンという天使は移動用のゲートを開いた。
「ではディラさん、またお会いしましょう」
「待っ――」
くそっ!逃げられた!!
防御のせいで出遅れてしまった。
「待って、殺さないで」
「ディラ、国王に引っ付いていたやつは捕らえたよ!」
「ナイスだ!」
メルは逃げる瞬間を見逃さず、確実に捕らえられる一番近くにいたエマという子を捕らえていた。
「それで何が成功したの?吐かないとどうなるかわかるよね?」
「分かった。話すからそんなに強くしない」
メルは槍を使って取り押さえている。
話せるように少しだけ緩めた。
「成功したのは他の所にいる5人を呼ぶこと」
「5人?1人しか出てこなかったが」
「1人呼ぶのに生贄が必要。今回は1人しか呼べなかった」
「あの人数を生贄にして1人しか呼べないって随分おかしい儀式だね」
「じゃあなんでヴェルは俺たちとゲームしようといいんだしたんだ?」
「努力して積み上げたのを崩すのが楽しいからって言っていた」
ヴェルはガルガン王国では1番隊隊長に、メルメシア王国では指令総括になった。
相当な努力と年月を費やしただろう。
それを崩すのが楽しいなんて変なやつだ。
「じゃあ君は何者なんだ?」
「エマ?エマは――」
『こんなところにいたんですか。帰りますよ』
「……はーい」
「うわぁ!?」
ヴェルの声がすると、エマという子はドロっと溶けた。
メルは気持ち悪がって手を放してしまった。
溶けたエマはそのまま地面へと消えていった。
『ああ、言い忘れていました。メルメシア王国の国王は開放しておきましたよ』
「どうせまた嘘なんだろう?」
『信じるのはあなた次第です。私にとってはあの国は用済みなんで。今度こそさようならです』
ヴェルの声は消え、エマという子も消えた。
こうしてヴェルとの戦いは終わった。
「もうだめだ……。私一人ではもうやっていけない」
国王はまだ泣いている。
下を向き、地面に手をつき、ずっと泣いている。
「……まだそんなこと言っているのか?」
「えっ?」
「もっと周りをみろ!自分一人で国が成り立つわけがない。もっと仲間を頼れ!何から何かまで自分で抱え込むな!」
俺はいつの間にか泣いている国王の胸ぐらを無理やりつかんでいた。
「あんたの周りにはあんたを信頼して、必死についていこうとしている人たちがいるんだぞ。そんな人達まで信頼できないのか?そんなわけないんだろ?もっと周りを頼れ!そして少しだけでもいいから相談をしてみろ。少しでも気が楽になる」
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これは俺の体験談だ。
過去に学校から追い出されることがあった。
でも、そんな俺を支えてくれた人達がいる。
恐る恐る相談をしたらその人達も真剣に考えてくれ、心のどこかにあったモヤが晴れ始めた。
いつまでも自分一人で抱えてはいけない。前に進めない。
一人で抱えて苦しんでいたら尚更だ。
「国王様……」
「デルガン…今まですまなかった」
「いいんです、国王様。これから頑張ればいいんですから」
「……ありがとう」
国王と会って初めて笑顔を見た気がする。
そう、そんな風に笑っていればきっといいことが訪れるはずだ。
*
「よし!早くこの件を片付けちゃうか!」
「片付ける?もう戦いは終わったのでは?」
「確かに戦いは終わったが、他はまだ終わっていない。俺が頼まれたのはこの国を救うことだからな」
「は、はあ。それで我々は何をすれば?」
「まず今回の被害者はガルガン王国とメルメシア王国だ。そしてメルメシア王国は軍を失い壊滅状態だ」
今回はヴェルの身勝手で二つの国が被害にあった。
同じ被害者同士ならやることは一つ。
「今回の件を踏まえ、同盟を組もうかと思ってな」
「攻め落とす、のではなく?」
「そうだ。攻め落としても命令して動くことになる。そうなるといつかは裏切られるかもしれない。それなら共に手を組み、今後同じようなことが起きないようにしていったほうがいいだろう。それに貿易などできるオマケ付きだ」
「は、はは…あはははっ!あなたが国王でしたらよかったのに!」
国王は豪快に笑い飛ばした。
「それはそれでも面白いけど、それは無理な話だ」
「なぜですか?今から建国されるならガルガン王国は全力でお手伝いしますぞ」
「バカを言うな。俺たちはそういうのにはならない。なぜなら――」
「なぜなら?」
「俺たちは同士に会いたくて体が勝手に動いちゃうからだよ。どっちが本当の強者か比べたくてね」
「……面白い方たちだ」
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