異世界最強のレベル1

銀狐

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ガルガン王国

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「着きました。ガルガン王国です」

 ゲームにある国のような見た目だ。
 だけど今はまだ門の前。
 まずはここを通ってから。

「デルガンさん、お疲れ様です」
「おう、そっちこそ」
「そちらの方々は?」
「お客様だ。通してくれ」

 門番の人は頭にハテナが浮かび上がりそうな顔をしていた。
 そんな顔をするあたり俺たちは珍しいのかな。

「隊長に友人がいたんですね」
「バカなことを言うな!!」
「……俺でよかったら」
「しっかりいますから!!」

 俺は肩に手を置いた。
 友達がいないと、つらいだろ?

「それはどうでもよくて、通っていいか?」
「あ、はい。どうぞ」

 敵から襲われているのに楽々入れるなあ。
 さっそく心配になってきたぞ。

「では行きましょうか」

 国の中はどこかで見たことあるような風景だった。

「これってメインタウンのところだよね?」
「そうみたいだわ。だけどあんな城はなかったけど」

 ゲームを始めた時に飛ばされる場所にそっくりだ。
 いつもいたところだけあって少し落ち着く。

 歩いて5分ぐらいで中心にある城に着いた。
 途中、街ではみんな元気みたいで子供の遊び声も響いていた。
 城の入口には数人の門番がいて、さっきと似たような会話をしていた。
 どんだけ友達いないと思われているんだよ。

「では私はこれで。これを置いてきます」
「みなさんはこちらへどうぞ」

 ミラさんはイグザタートルを別のところへと持っていった。
 さっそく加工でもするのかな?
 ゲームでも加工は本物のようにやっていたから、こっちだとどうやるのか少し気になる。

 それは置いておき、連れて行かれたの長い机がある部屋。
 これよく見るけど先と先で座ったらほとんど声が聞こえないよな。

「こちらでお待ちください」

 中にはメイドがいて、椅子を引いてくれた。
 ちなみに先と先ではなく、真ん中らへんに椅子があった。
 場所の無駄使いじゃねぇか……。

 全然来ねぇ。
 茶と茶菓子をくれたけどもう3杯ぐらいお替りしている。
 でもうめぇ……。

 そんなとき、白いひげを生やした人が入ってきた。

「待たせて申し訳ない。サン・ガルガンだ」
「よろしく、俺は――」
「話は聞いた。話が本当なら、ぜひ頼みたい」

 国王は苦しい顔をしながら下を向いた。
 そこまで切羽詰まっているのか。

「それならさっそく会議を始めよう。という前に」
「どうかしたのか?報酬ならそれ相応に用意するつもりだが」
「入り口にいるやつ。姿を現せ」
「!?」

 隠れているつもりだろうが、俺たちには丸わかりだ。
 隠れていたやつは徐々に姿を現した。

「誰だこやつは!?」
「ちっ!」

 姿を完全に現すと同時に何か凶器みたいなのを投げてきた。
 俺は瞬時に国王の前へ出て、手でその凶器をつかんだ。

「これは投げるのに特化したナイフか。暗殺しようとしていたようだな」
「こんなやつがいるとは聞いていない!!」
「残念だったわね。邪魔だから寝ていてちょうだい、催眠スリープ

 初期のほうに使える魔法だが、ファラが使うと効果は強い。
 一瞬で寝てしまった。

「推測だが、作戦を練っても練っても敵に弱点を突かれていたんじゃないのか?」
「どうしてそれを……」
「それも大事だが、一度長い間休んだ方がいいぞ。ひどい顔をしている」

 最初見た時にすぐ気づいた。
 誤魔化すために何か化粧みたいなのをしているが、よく見ればすぐわかる。

「攻められたのはいつから?」
「最近からだが……」
「そういえばデルガンさんがそう言っていたな。
 そうなると今まで戦力を溜めていたのか、もしくは新しい技術を手に入れたとか。それなら今後の対策として何かこっちでも用意しておかないとまた攻められる」
「一つ、聞いていいか?」
「ん?別にいいよ」
「なぜそこまでやってくれるのだ」

 助けるためなら相手の国を潰せばいい。
 だがそれ以上に今後のことまで考えてくれている。
 そんなことでも思っているんだろう。

「ここに来る途中、街の人は自分の国が襲われているとは思えないほど明るかった。それなのに国王のあなたは弱っている。全部自分で何かやり遂げようとしている」
「……」
「だけど俺はしっかり助けようと思ったんだ」
「本当に……ありがとう。民が苦しむ姿だけは見たくないのだ」
「その気持ちはわかるけど、自分が死んだから元も子もないからな。次からは気を付けろよ」
「わかった。今後気を付けよう」
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