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クラーの町
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「それじゃあ行こうか」
「おっけー」
ファラとメルはディエイダムに乗った。
鱗が固いから長くは座っていたくないなあ。
「じゃあ行ってきます、サリーさん」
「ちょっと待って!少ししゃがんでもらえる?」
「こうですか?」
サリーさんと同じ目線の高さまでしゃがんだ。
これけっこう腰にくるぞ。
「あなたの旅が無事でありますよに」
おでことおでこを合わせてお祈りをした。
顔が近いんだけど……。
「ありがとう、行ってくる」
「何か用があったらまた来てね!」
ディエイダムに乗ると飛び始めた。
いい高さまで上がると教えてもらった道の上を飛んで行った。
「まさかディラがロリコンなんてね」
「意外だよねー」
「ちょっと待って、俺は違うぞ」
「……否定しなくてもいいのよ。人それぞれなんだから」
「そうそう、気にしなくても大丈夫だよ」
「なぜだあああ!!」
勝手にロリコン扱いされた。
……うん、でもいい匂いがした。
上品な花の匂いみたいな感じ。
*
「結構遠いなあ」
「ゆっくり飛んでいるからねー」
別に急いでいる旅ではない。
せっかくだから周りをみながら飛んでいる。
だが見渡す限り森が続いている。
ドゴーンッ!!
森の中で大きな物音がした。
そこから煙が上がっている。
「あそこね」
『寄ってみますか?』
俺たちは顔を見合わせ、軽く頷いた。
「少し寄ってみましょう」
煙が昇っている方へ行ってみると煙を中心に森の木が無くなっていた。
おかげで降りやすくなっている。
『主様、誰かいます』
そっちのほうを見てみると2人の人間と一匹の生物がいた。
人間のほうは遠くてあまり見えないが、生物のほうは遠めでも何か分かった。
攻撃しているようだけど、戦闘中かな。
「イグザタートルだな。戦い方としてはいいけど」
「あのままだと負けちゃうよー」
イグザタートルは一言で言えば大きい亀。
ただ、他のモンスターに比べて硬さが尋常ではない。
ただの剣で攻撃するなら一生倒せない。
その上魔法まで使う。
使う魔法は木から生えているつるで攻撃をしてくる。
周りを焼き野原にしたのはいい判断だ。
「おせっかいでしょうが手伝ってあげましょうかしら」
『あの亀を倒せばいいのでしょうか?』
「ええ、お願い」
ディエイダムは一旦空へ飛び、降下すると亀の上に乗った。
そしてそのまま爪を使い、めりめりと地面に押し付け潰した。
「な、何が起きたの?」
「分からない。ただ恐ろしいドラゴンがやってきたのは分かる」
ここからだと話しにくいな。
いったん降りよう。
「誰だ!」
「俺はディラ、ファラとメルだ」
「一体何の用だ」
「用っていうか、あのままだと負けるだろうなあって」
「助けてくれた、ということか?」
「そうそう、いい加減に剣を向けないでほしいけど」
一人は男の剣士でもう一人は女の剣士。
二人とも似たような鎧を着ているところから同じパーティとかなんだろう。
「もう一つ聞きたい、そのドラゴンは」
「仲間だよ」
「……ふ、ふむ」
あまり納得してはいないようだな
そりゃあサリーさんがあれほど驚いたからね。
「まずはお礼を、ありがとう」
「別に構わないよ。こっちが勝手にやったんだし」
「俺はガルガン王国3番隊隊長、デルガン・ムートと言います」
「同じく3番隊の副隊長、ミラ・フェイシスです」
ガルガン王国だって?
今向かっている王国じゃないか。
しかも隊長だって言っている。
「俺たちはガルガン王国へ向かっていた途中なんだ」
「それでしたら案内しますよ」
「いえ、その前にお願いがあります」
「お願い?」
「そのイグザタートルを譲ってもらいたいのです」
あの潰れている亀を?
全然かまわないし、こいつの素材は防御特化の装備。
俺たちはまず使わない。
「別にいいよ。何か防具でも作るのか?」
「そうです」
「でもなんでこいつにその人数?普通なら何人か連れてくるだろう?」
「その、大変言いづらいのですが」
「現在ガルガン王国は近くにある王国、メルメシア王国に攻められているのです」
「おっけー」
ファラとメルはディエイダムに乗った。
鱗が固いから長くは座っていたくないなあ。
「じゃあ行ってきます、サリーさん」
「ちょっと待って!少ししゃがんでもらえる?」
「こうですか?」
サリーさんと同じ目線の高さまでしゃがんだ。
これけっこう腰にくるぞ。
「あなたの旅が無事でありますよに」
おでことおでこを合わせてお祈りをした。
顔が近いんだけど……。
「ありがとう、行ってくる」
「何か用があったらまた来てね!」
ディエイダムに乗ると飛び始めた。
いい高さまで上がると教えてもらった道の上を飛んで行った。
「まさかディラがロリコンなんてね」
「意外だよねー」
「ちょっと待って、俺は違うぞ」
「……否定しなくてもいいのよ。人それぞれなんだから」
「そうそう、気にしなくても大丈夫だよ」
「なぜだあああ!!」
勝手にロリコン扱いされた。
……うん、でもいい匂いがした。
上品な花の匂いみたいな感じ。
*
「結構遠いなあ」
「ゆっくり飛んでいるからねー」
別に急いでいる旅ではない。
せっかくだから周りをみながら飛んでいる。
だが見渡す限り森が続いている。
ドゴーンッ!!
森の中で大きな物音がした。
そこから煙が上がっている。
「あそこね」
『寄ってみますか?』
俺たちは顔を見合わせ、軽く頷いた。
「少し寄ってみましょう」
煙が昇っている方へ行ってみると煙を中心に森の木が無くなっていた。
おかげで降りやすくなっている。
『主様、誰かいます』
そっちのほうを見てみると2人の人間と一匹の生物がいた。
人間のほうは遠くてあまり見えないが、生物のほうは遠めでも何か分かった。
攻撃しているようだけど、戦闘中かな。
「イグザタートルだな。戦い方としてはいいけど」
「あのままだと負けちゃうよー」
イグザタートルは一言で言えば大きい亀。
ただ、他のモンスターに比べて硬さが尋常ではない。
ただの剣で攻撃するなら一生倒せない。
その上魔法まで使う。
使う魔法は木から生えているつるで攻撃をしてくる。
周りを焼き野原にしたのはいい判断だ。
「おせっかいでしょうが手伝ってあげましょうかしら」
『あの亀を倒せばいいのでしょうか?』
「ええ、お願い」
ディエイダムは一旦空へ飛び、降下すると亀の上に乗った。
そしてそのまま爪を使い、めりめりと地面に押し付け潰した。
「な、何が起きたの?」
「分からない。ただ恐ろしいドラゴンがやってきたのは分かる」
ここからだと話しにくいな。
いったん降りよう。
「誰だ!」
「俺はディラ、ファラとメルだ」
「一体何の用だ」
「用っていうか、あのままだと負けるだろうなあって」
「助けてくれた、ということか?」
「そうそう、いい加減に剣を向けないでほしいけど」
一人は男の剣士でもう一人は女の剣士。
二人とも似たような鎧を着ているところから同じパーティとかなんだろう。
「もう一つ聞きたい、そのドラゴンは」
「仲間だよ」
「……ふ、ふむ」
あまり納得してはいないようだな
そりゃあサリーさんがあれほど驚いたからね。
「まずはお礼を、ありがとう」
「別に構わないよ。こっちが勝手にやったんだし」
「俺はガルガン王国3番隊隊長、デルガン・ムートと言います」
「同じく3番隊の副隊長、ミラ・フェイシスです」
ガルガン王国だって?
今向かっている王国じゃないか。
しかも隊長だって言っている。
「俺たちはガルガン王国へ向かっていた途中なんだ」
「それでしたら案内しますよ」
「いえ、その前にお願いがあります」
「お願い?」
「そのイグザタートルを譲ってもらいたいのです」
あの潰れている亀を?
全然かまわないし、こいつの素材は防御特化の装備。
俺たちはまず使わない。
「別にいいよ。何か防具でも作るのか?」
「そうです」
「でもなんでこいつにその人数?普通なら何人か連れてくるだろう?」
「その、大変言いづらいのですが」
「現在ガルガン王国は近くにある王国、メルメシア王国に攻められているのです」
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