異世界最強のレベル1

銀狐

文字の大きさ
上 下
15 / 60
クラーの町

10

しおりを挟む
 このクラーという町は小さい町だった。
 町というだけあって、お店はちらほらあるがやはり小さい。
 村に比べたらもちろん大きいが。

「ここじゃない?」
「たぶんそうかな」

 数ある家の一軒。
 普通の家に見えるが、ドアの上にギルドのマークがあった。
 こっちだと冒険所のマークとして使われているんだろう。

「とりあえず入ってみましょう」

 中には人がちらほら。
 人間もいればエルフもいる。
 種族がたくさん、というわけでもない。
 そりゃあ冒険者なんだからそこまで人がいるわけないよな。

 中には話し合うための机に椅子。
 依頼を受けるための掲示板。
 それに依頼を受理するための受付がある。
 本当にゲームみたいだな。

「あの、冒険者になりたいんですが」
「わかりました。ではこちらにお名前をどうぞ」

 人数分の紙を渡された。
 どうしよう、こっちの文字とかあったりするのかな?
 俺、日本語しか書けないぞ。

「これでいいですか?」
「はい、ではカードをつくりますのでお待ちください」

 そういうと後ろの部屋へと行ってしまった。
 よかった!日本語でもよかったみたい。

「おい、てめえ」
「ん?」

 後ろを振り向くと俺たちを見ている男が3人座っていた。
 一人はフードを被っている魔法使い。
 もう一人は気軽な装備で瞬発力のある暗殺者アサシン
 そして真ん中にいるボスであろう屈強な戦士。

「てめえらみたいなのが冒険者だと?家で大人しく掃除でもしていろ」

 いかにも「弱い奴はいらない」みたいなことを言っているな。
 それにしても怖え……。
 身長なんて悪魔と同じく2メートルを超えている。
 ちらりと見た腕には無数のキズがある。

「おい!聞いてんのか!」
「それより横の二人を見てみろよ」
「いい女だぜ」

 うわあ、横の二人ゲスい。
 そんなに見ても渡さねえぞ?
 というかそんな目で見るなよ。

「そこの嬢ちゃんたち、そんなもやしみたいなやつほっといて飯でも行かねえか?」
「俺たちならどんだけでも食べても飲んでも払えるぜ?それに宿泊代まで出せる」
「いい加減に――」
「るせえ!!もやしは黙ってろ!」
「「は?」」

 もやしもやしって。
 俺もカチーンと来たけど、声を出したのはファラとメルだった。
 えっ、なんでそんなにキレているの?

「「そのもやしみたいなところがいいんだよ(わ)!!」」
「それは俺にとってうれしくないいいい!!」

 フォローになっていないから!
 全然うれしくないよ!
 アバターをデフォルトからあまり変えなかったからこうなっただけだし!

「こほん、それは置いといて」
「いや、終わってよ」
「ディラをバカにしたのは私たちが許さないわ」

 俺のために……。
 うれしいよ。このパーティに入ってよかったよ!

「ほら、おいでおいで」
「このガキ、なめたことを!」
「ほっ!」

 大きく腕を上げた時、メルは懐に入り蹴りを一発入れた。

「君たち程度、何も使わなくてもよさそうだね」
「そうなの?メルが接近戦を得意としているからじゃなく?」
「やってみればわかるよ」
「何をグダグダと……。死ねえぇ!!」
「本当ね。遅すぎるわ」

 ファラも懐に入り、今度はグーで一発。
 うん、遅すぎる。
 初心者ビギナーにしても、もうちょっとマシだぞ。

「女相手に何をしているんだ。おい、後ろに隠れているお前」
「俺か?」
「女の背中に隠れるとはどういうこった?まさか腰が抜けて動けねえのか?」

 やっすい挑発だなあ。
 厄介事はめんどうだから嫌だけど、まあいい。
 買ってやるか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ユウ
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます

ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。 何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。 何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。 それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。 そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。 見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。 「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」 にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。 「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。 「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。

処理中です...