異世界最強のレベル1

銀狐

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初めての村

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「ディラはどうなの?」
「ちょっと試してみるか」

 今までレベル1で相手をしていた。
 二人を見る限り、もしかしたら俺もステータスがカンスト時のままかもしれない。
 しっかり調整できるか?

「この木でいいか。破っ!」

 俺は木をグーで殴った。
 バキボキバギという音とともに木は粉々になった。
 折れたりではなく、粉々に。

「そこまでりきまなくても……」
「木がかわいそうだよ……」
「いや、いつもLv.1だったから調整できなかったみたい」

 これでわかった。
 レベルは1でもステータスがカンスト時のまま。
 なんていう調整ミスだよ!!

「どうやら俺たち、最強のままこっちにきたみたい」
「えー!でもLv.1だよ?」
「だから、もしだよ?もしかしたらレベルが上がる可能性があるなら……」
「これ以上強くなれるってことね」

 ただでさえここまで強いのに。
 これ以上強くなれるチャンスがあるなんてやばいだろ!

「そろそろ戻ろうか。少し暗くなってきたし」

 こっちに来た時は夕方近くだったみたいで空が薄暗くなってきた。
 夜に戻ると言ったから戻らないと。
 俺たちは村長の家へと向かった。

「でもまさかこの姿で魔法を使えるなんて」
「僕は結構うれしいかなー!」
「まったくのんきな人たちだ……」

 いきなり知らないところに連れてこられたんだぞ?
 俺は不安しかないよ。

「んー、えいっ!」
「ど、どうしたの?いきなりこんなこと」
「嬉しくないの?僕けっこうこのアバター気に入っているんだよ?頑張って調整したんだから」
「ちょっ、メル!抜け駆けはずるいわよ!えいっ!」
「ファラもどうしたの!?」

 二人とも俺の腕に抱きついた。
 何!?モテ期!?
 モテ期は都市伝説だったのは嘘だったのか?

「その、冒険者方。これから悪魔が来るのにそんなので大丈夫なのか?」
「ご、ごめんなさい。だけど悪魔に関しては大丈夫ですよ」
「本当なんでしょうか……。そういえばレベルも見せてもらっていませんし」
「あー、それなんだけど、どうやら神のいたずらみたいでLv.1のままなんだ」
「なんですと!?それだと死にに行くようなものでは――」
「でも大丈夫。安心して」

 さっき俺たちは試してきてわかったんだ。
 今は負ける気がしない。

「村長!悪魔が来ました!」
「なんだと!?いつもより早いではないか!」
「それに、一体ではなく三体います!」

 お、ちょうどいい頭数。
 俺とファラ、それにメル一体ずつ。
 都合がいいな。

「よし!それじゃあ行くか!」
「がんばるぞー!」
「楽しみね」

 俺たちが今から遊びに行くようなことを言うと村長は口をポカーンと開けていた。

「く、くれぐれも気をつけてくれ。お主たちが負ければわしらは終わりなのだから」
「わかってるって」
「お茶でも飲んでて待っててください」
「すぐもどってくるよー」

 俺たちは外へ出た。
 空には三体の悪魔がいる。
 村長は気になったのか、悪魔にばれないように俺たちを見ている。

「貴様らは誰だ?」
「俺たちはただの村の助っ人だ。それよりなぜこの村を襲う?」
「所詮ただの人間。俺たち悪魔にとってはおもちゃにすぎない」
「おもちゃだと?」

 少し、癪に障る。
 俺もその人間なんだ。
 馬鹿にされているようでむかつく。

「ああ!恐怖の表情をしながら殺すのが楽しいんだ。おもちゃだから遊ばないともったいないだろう?」
「気に食わねぇ……。ファラ、メル。あいつら俺がもらっていいか?」
「私も気に食わないけど、ここは譲るわ」
「僕もかまわないよ!でもコテンパンにしてね」

 これで俺がこいつらの相手をできる。
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