13 / 13
私を満たしてくれるもの
しおりを挟むある時
詩と出会った。
美しくも儚くて
足掻いているようで、諦めているような……
それは、心の旅の中で餓えていた私にとって
あまりに眩しく見えた。
この旅で感じた出来事を
詩として綴ることが出来たなら
きっと美しい物語になるだろう。
そう思い 私は記録し始めた。
心の旅で出会ったモノや得てきたモノ
感じてきたその全てを書いた。
初めは、餓えている現状ばかりを綴っていたが
良い詩を求めて、心の叫びを聞いていたら
少しずつ、書きたいことも分かってきた。
ある時、道の途中で別の旅人に出会った。
その人もまた、自分の心を歩んで来たのだろう。
旅人は私の詩を見ると、
何も言わず道を進んでいった。
共感してくれたのか、あるいは呆れられたのか……
だが、自分にとってはそんなことより
ただ見てくれた事が嬉しかった。
それからの私は
誰かに見て貰うために詩を綴っていった。
道の助けになりたかったのか、
自分の歩んできた場所を知って欲しかったのか……
それは今もよく分からない。
だが、
詩を書いて
誰かにそれを読んで貰う度に
私の餓えは消えていった。
やがて、
多くの人に詩を見て貰えるようになっていき……
気が付いた時には、
私は満たされていた。
詩を書く自分に酔っているのかも知れないし、
すぐにまた渇いていくのもかも知れない。
だが少なくとも
今、私が満たされているのは
この詩を見てくれている人達のお陰だ。
“私を満たしてくれる者” 全てに
「ありがとう」
私はただ、誰かに知って欲しかったのかも知れない。
自分は此処に居るんだと。
……そして今、
満たされた私の心は、その叫びを止めようとしている。
しかし、どんな物語にもその後があるように
私の旅もまだまだ続く。
いつかまた
旅の途中で
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……
紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz
徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ!
望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。
刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる