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第二章 少女期 瘴気編
第二百七十九話 変わった状況(ローラン視点)
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目を覚ますと、なぜか、セイとコウがとても心配そうに俺を見ていた。
「? いったい、何が……?」
俺達は……いや、俺は、いったい何をしていたのだろうかと考え込むものの、なぜか、意識を失う前のことが思い出せない。
「ローラン、大丈夫……?」
「気持ち悪くない? 吐きそうだったら、言ってね? あぁ、それよりも、何か飲み物がほしいかな?」
酷く心配するコウに、甲斐甲斐しく世話を焼こうとするセイ。その姿に違和感はあれど、仲間である彼らを無下にするつもりはない。
「あぁ、大丈夫だ。セイも、ありがとうな。けど、悪いが、何があったのか、どうしても思い出せなくて……何か、知らないか?」
そう問えば、セイは一瞬、痛ましいものを見るような目で俺を見て、すぐに穏やかな微笑みを浮かべる。
「ローラン。世の中、思い出さない方が良いこともあるんだよ?」
物語に描かれる神のごとく、綺麗な微笑みを浮かべるセイに、俺は、薄ら寒いものを感じながら、それでも、自分の中の何かが、頑なに思い出してはいけないと警鐘を鳴らすのを確認して、素直にうなずいておく。
「今はとにかく、リーリス国に戻ろう。そうすれば、何か、進展があるはずだから」
「っ、ちょっと待て! まだ、あの国の状態は変わってないんじゃないのか!?」
セイの今後の方針に対して、俺は、すぐさま反論する。
「それは変わらないけど、状況が変わったんだ。ローランは、五日間も目覚めなかったんだよ?」
「五日!?」
「ごめんね、ローラン。助けられなくて、ごめん……」
セイから告げられた現実が衝撃的過ぎて、コウの言葉が頭に入ってこない。
「すぐにどうこうというわけじゃないけど、今は、ユミリアが危険だ。だから、ローランの状態が調い次第、僕達は帰国しようと思う」
「っ、俺を待たずとも、セイ達だけでもユミリア様の側に行くわけにはいかなかったのか!?」
眠った五日間は戻らない。しかし、セイが、なぜユミリア様の側にすぐ戻ろうとしなかったのか、理解できないのは当然だった。
「それは……」
「ローランが居ないと、意味ないの。だから、ぼく達、ローランが目覚めるの、待ってたっ」
答えたのは、セイではなく、コウ。そして、そこから導き出した答えに、俺は気を引き締める。
「俺は、何をすれば良い? どんな危険なことだろうと、ユミリア様のためなら乗り越えてみせる」
「詳しくは、セイが知ってる!」
そう言われ、セイへと視線を向ければ、セイは苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
(セイに、こんな表情をさせるほどの危険、か……)
きっと、何らかの理由で、俺にしか、その任務を成し遂げることはできないと判断したのであろうセイ。それは、今までのどんな戦いよりも危険なものかもしれないと分かっていながら、セイの瞳を真正面から見つめる。
「……詳しく、話すよ。だから、少し、歩こう」
進む先は、リーリス国。もちろん、走ればもっと早くに着けるし、転移を使えば一瞬だ。それでも、セイは、歩くという選択をした。俺に、現状を説明し、どんな危険を冒すことになるのかを話すために。
ただ、その途中で、ディランが落ちてきて、少しの間、それどころではなくなるのだが、それは、もう少し先の話。
「? いったい、何が……?」
俺達は……いや、俺は、いったい何をしていたのだろうかと考え込むものの、なぜか、意識を失う前のことが思い出せない。
「ローラン、大丈夫……?」
「気持ち悪くない? 吐きそうだったら、言ってね? あぁ、それよりも、何か飲み物がほしいかな?」
酷く心配するコウに、甲斐甲斐しく世話を焼こうとするセイ。その姿に違和感はあれど、仲間である彼らを無下にするつもりはない。
「あぁ、大丈夫だ。セイも、ありがとうな。けど、悪いが、何があったのか、どうしても思い出せなくて……何か、知らないか?」
そう問えば、セイは一瞬、痛ましいものを見るような目で俺を見て、すぐに穏やかな微笑みを浮かべる。
「ローラン。世の中、思い出さない方が良いこともあるんだよ?」
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「今はとにかく、リーリス国に戻ろう。そうすれば、何か、進展があるはずだから」
「っ、ちょっと待て! まだ、あの国の状態は変わってないんじゃないのか!?」
セイの今後の方針に対して、俺は、すぐさま反論する。
「それは変わらないけど、状況が変わったんだ。ローランは、五日間も目覚めなかったんだよ?」
「五日!?」
「ごめんね、ローラン。助けられなくて、ごめん……」
セイから告げられた現実が衝撃的過ぎて、コウの言葉が頭に入ってこない。
「すぐにどうこうというわけじゃないけど、今は、ユミリアが危険だ。だから、ローランの状態が調い次第、僕達は帰国しようと思う」
「っ、俺を待たずとも、セイ達だけでもユミリア様の側に行くわけにはいかなかったのか!?」
眠った五日間は戻らない。しかし、セイが、なぜユミリア様の側にすぐ戻ろうとしなかったのか、理解できないのは当然だった。
「それは……」
「ローランが居ないと、意味ないの。だから、ぼく達、ローランが目覚めるの、待ってたっ」
答えたのは、セイではなく、コウ。そして、そこから導き出した答えに、俺は気を引き締める。
「俺は、何をすれば良い? どんな危険なことだろうと、ユミリア様のためなら乗り越えてみせる」
「詳しくは、セイが知ってる!」
そう言われ、セイへと視線を向ければ、セイは苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
(セイに、こんな表情をさせるほどの危険、か……)
きっと、何らかの理由で、俺にしか、その任務を成し遂げることはできないと判断したのであろうセイ。それは、今までのどんな戦いよりも危険なものかもしれないと分かっていながら、セイの瞳を真正面から見つめる。
「……詳しく、話すよ。だから、少し、歩こう」
進む先は、リーリス国。もちろん、走ればもっと早くに着けるし、転移を使えば一瞬だ。それでも、セイは、歩くという選択をした。俺に、現状を説明し、どんな危険を冒すことになるのかを話すために。
ただ、その途中で、ディランが落ちてきて、少しの間、それどころではなくなるのだが、それは、もう少し先の話。
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