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第二章 少女期 瘴気編
第百八十六話 夢の中へ
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ミルラスが側に居てくれたおかげで、私の中の瘴気の大元との接触は、どうにか目処がつきそうだった。
しかし、ここに至るまで、二週間。きっと、イルト様達も、家族も、皆心配しているだろうことを思えば、少しでも早く、成果を出したい。
「ミル、それじゃあ、お願いね」
「うむ、主様!」
出会ったばかりの頃こそ、どこか暗い様子だったミルラスは、今ではしっかりと私の言うことを聞く忠犬っぽくなっている。尻尾が生えていれば、さぞ、ブンブンと振られていたことだろう。
今から試すのは、夢の中へと意識を守った状態で潜り込むための魔導具。魔力を注ぐのは、ミルラスに頼んで、私は勝手に作り上げた家のベッドに横たわる。
「危険だと思えば、すぐに起こすのじゃっ」
小さく握りこぶしを作りながら真剣な表情で宣言したミルラスに、少し笑ってみせると、私はそっと、まぶたを閉じる。
(瘴気の大元……予測が正しいなら、それはきっと……)
魔導具に魔力が注がれたのか、だんだんと意識が遠退いていく。そして……暗い暗い闇の中で、一人、膝を抱えてうずくまる影を見つけた。
「……まっ、主様っ!」
「みゅ、大丈夫だよ」
ミルラスの呼びかけに対して、私はそっと目を開いて安心させるための言葉を紡ぐ。
「良かった! 丸々一日、全く起きなんだから、どうしたものかと思っておったのじゃ」
「一日もっ!?」
「うむ、起こせば起きるはずだと思って、何度も声をかけたのじゃが、全く起きる様子がなくて……」
ミルラスは目の下に隈を作って、私が起き上がるのを手助けしてくれる。
「心配かけて、ごめんなさい。でも、少しは成果もあったの」
そうして、私は夢の中で魔王と思われる存在と接触したことを話す。
「うむ、うむ、ならば、もう少し眠る時間を短くして、しっかり夢の中に潜れるようにできれば、色々と対策も取れるのじゃな?」
「多分、ね。ただ……いや、今は良いか。それよりも、ミルは、今からゆっくり休んで!」
「う、うむ? しかし、妾は主様の側に居たいのじゃっ! 本当に、大丈夫なのかぇ?」
まだまだ心配だと言わんばかりの視線に、私は苦笑をもらしながらも大丈夫だと告げる。
「ミルが眠くないんだったら、少し外で運動でもしてみる?」
「っ、え、遠慮するのじゃっ! わ、妾、急に眠気がやってきたのじゃっ! うむっ、これは強烈っ。というわけで、妾は寝るのじゃ!」
運動イコール鍛練だと理解しているミルラスは、そのハードさを思い出して顔を青くして、わざとらしく『眠い』と訴えた後、一目散に私の前から逃げ出す。
(うーん、もう少し、軽くした方が良いのかなぁ?)
今、ミルラスが眠ったところで、起きた時には鍛練メニューが出来上がって、すぐにでも試せる状態になるだろうと考えながらも、見守ってくれたミルラスへの感謝のため、ミルラスが好きな筑前煮を作ってあげようと笑みを浮かべた。
しかし、ここに至るまで、二週間。きっと、イルト様達も、家族も、皆心配しているだろうことを思えば、少しでも早く、成果を出したい。
「ミル、それじゃあ、お願いね」
「うむ、主様!」
出会ったばかりの頃こそ、どこか暗い様子だったミルラスは、今ではしっかりと私の言うことを聞く忠犬っぽくなっている。尻尾が生えていれば、さぞ、ブンブンと振られていたことだろう。
今から試すのは、夢の中へと意識を守った状態で潜り込むための魔導具。魔力を注ぐのは、ミルラスに頼んで、私は勝手に作り上げた家のベッドに横たわる。
「危険だと思えば、すぐに起こすのじゃっ」
小さく握りこぶしを作りながら真剣な表情で宣言したミルラスに、少し笑ってみせると、私はそっと、まぶたを閉じる。
(瘴気の大元……予測が正しいなら、それはきっと……)
魔導具に魔力が注がれたのか、だんだんと意識が遠退いていく。そして……暗い暗い闇の中で、一人、膝を抱えてうずくまる影を見つけた。
「……まっ、主様っ!」
「みゅ、大丈夫だよ」
ミルラスの呼びかけに対して、私はそっと目を開いて安心させるための言葉を紡ぐ。
「良かった! 丸々一日、全く起きなんだから、どうしたものかと思っておったのじゃ」
「一日もっ!?」
「うむ、起こせば起きるはずだと思って、何度も声をかけたのじゃが、全く起きる様子がなくて……」
ミルラスは目の下に隈を作って、私が起き上がるのを手助けしてくれる。
「心配かけて、ごめんなさい。でも、少しは成果もあったの」
そうして、私は夢の中で魔王と思われる存在と接触したことを話す。
「うむ、うむ、ならば、もう少し眠る時間を短くして、しっかり夢の中に潜れるようにできれば、色々と対策も取れるのじゃな?」
「多分、ね。ただ……いや、今は良いか。それよりも、ミルは、今からゆっくり休んで!」
「う、うむ? しかし、妾は主様の側に居たいのじゃっ! 本当に、大丈夫なのかぇ?」
まだまだ心配だと言わんばかりの視線に、私は苦笑をもらしながらも大丈夫だと告げる。
「ミルが眠くないんだったら、少し外で運動でもしてみる?」
「っ、え、遠慮するのじゃっ! わ、妾、急に眠気がやってきたのじゃっ! うむっ、これは強烈っ。というわけで、妾は寝るのじゃ!」
運動イコール鍛練だと理解しているミルラスは、そのハードさを思い出して顔を青くして、わざとらしく『眠い』と訴えた後、一目散に私の前から逃げ出す。
(うーん、もう少し、軽くした方が良いのかなぁ?)
今、ミルラスが眠ったところで、起きた時には鍛練メニューが出来上がって、すぐにでも試せる状態になるだろうと考えながらも、見守ってくれたミルラスへの感謝のため、ミルラスが好きな筑前煮を作ってあげようと笑みを浮かべた。
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