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第二章 旅と王都
第四十九話 突入前のゼス(ゼス視点)
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ネリアさんの様子がおかしいことを聞いていながらも、俺は行動できなかった。本当ならば、何もかもを振り切ってネリアさんに会いたい。しかし、それをすれば、ネリアさんが本当に半身なのかという疑いを持たれ続けることになってしまう。
「というわけで、すまないが、任せることになりそうだ」
「もちろん、お任せください。役に立たない殿下よりも、私どもが活躍してみせますので」
トゲのあるアルマの言い分に、俺は、当然反論などできない。今の俺は、本当に情けない状態だと自分で自覚できている上、アルマが俺の尻を叩くつもりでそう告げていることが分かっているからだ。
「殿下、ご心配なく。全力で、姫様のサポートをさせていただきますので」
「あぁ、頼む」
ネリアさんに会いたければ、早く全てを終わらせなければならない。
「俺は、シシエラ家へ向かう」
アルモニア家当主の調べによって、やはり、シシエラ家が関与しているらしいという情報は掴めた。そして、そこから更に影による調査を進めたところで、俺はようやく、シシエラ家の悪事の証拠を掴むに至っていた。
早く向かうためには、馬を駆るべきではあるが、それでは相手を警戒させかねない。かの家で生成されている薬を使われてしまえば、どんな人間であっても、薬の使用者を半身だと思い込んでしまうらしく、そんな手を使われる前に、俺達はシシエラ家の面々を捕らえなければならなかった。
「ギド。頼むぞ」
近衛騎士団の団長という立場にあるギドという名の男に声をかければ、彼はコクリとうなずく。ギドは、声を出すことができない男ではあるが、その剣の腕は誰にも劣らない。今回の大捕物には、もちろん多くの騎士を導入するが、正面から入るのは、俺と、最低限の護衛のみという形を取る。そのため、精鋭のメンバーを揃える必要があった。
大柄なギド、ヒョロリとした体躯ながらも変則的な攻撃を得意とする副団長のマルク。そして、小柄でスピード重視で動き回ることができる団員のロイス。この三人が居れば、大抵の危機は乗り越えられる。
(恐らくは、ルキウスもジェスも、シシエラ家に居るはずだ……)
その点に関してはまだ確信は持てない。それでも、薬に関する証拠は十分。全ての準備は整った。
「というわけで、すまないが、任せることになりそうだ」
「もちろん、お任せください。役に立たない殿下よりも、私どもが活躍してみせますので」
トゲのあるアルマの言い分に、俺は、当然反論などできない。今の俺は、本当に情けない状態だと自分で自覚できている上、アルマが俺の尻を叩くつもりでそう告げていることが分かっているからだ。
「殿下、ご心配なく。全力で、姫様のサポートをさせていただきますので」
「あぁ、頼む」
ネリアさんに会いたければ、早く全てを終わらせなければならない。
「俺は、シシエラ家へ向かう」
アルモニア家当主の調べによって、やはり、シシエラ家が関与しているらしいという情報は掴めた。そして、そこから更に影による調査を進めたところで、俺はようやく、シシエラ家の悪事の証拠を掴むに至っていた。
早く向かうためには、馬を駆るべきではあるが、それでは相手を警戒させかねない。かの家で生成されている薬を使われてしまえば、どんな人間であっても、薬の使用者を半身だと思い込んでしまうらしく、そんな手を使われる前に、俺達はシシエラ家の面々を捕らえなければならなかった。
「ギド。頼むぞ」
近衛騎士団の団長という立場にあるギドという名の男に声をかければ、彼はコクリとうなずく。ギドは、声を出すことができない男ではあるが、その剣の腕は誰にも劣らない。今回の大捕物には、もちろん多くの騎士を導入するが、正面から入るのは、俺と、最低限の護衛のみという形を取る。そのため、精鋭のメンバーを揃える必要があった。
大柄なギド、ヒョロリとした体躯ながらも変則的な攻撃を得意とする副団長のマルク。そして、小柄でスピード重視で動き回ることができる団員のロイス。この三人が居れば、大抵の危機は乗り越えられる。
(恐らくは、ルキウスもジェスも、シシエラ家に居るはずだ……)
その点に関してはまだ確信は持てない。それでも、薬に関する証拠は十分。全ての準備は整った。
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