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第二章 旅と王都
第三十五話 知識を得るネリア(ネリア視点)
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ゼス様が会いに来なくなって三日。私は、アルマさんの提案で、この国のことについて学んでいるところだった。
知識もマナーも何もかも、今の私には足りないとのことで、連日、アルマさんが私の講師として様々なことを教えてくれている。ちなみに、アルマさんが持ってきてくれた上着は、すぐに返したかったものの、アルマさんの妙な威圧に負けて、今はクローゼットの片隅に置いてある。
「では、ここまでで何かご質問はありますか?」
「あの、一つだけ、良いですか?」
「一つと言わず、いくらでも」
今日学んでいたのは、この国の王家だけに引き継がれる半身というものに関する知識。それを最初は、不思議なこと、くらいの気持ちで聞いていたものの、徐々にそれどころではなくなってしまった。何せ、ゼス様も、その特徴を引き継ぐ王族だということを知ってしまったのだから。
「ゼス様は、もう、半身を見つけていますか……?」
ゼス様の年齢は知らないが、二十に近い年齢に見えないこともない。そして、もし半身を見つけていないのであれば、ゼス様は二十歳を越えると眠りに就いてしまう。いつ目覚めるともしれない、長い眠りに。
(見つけていてほしい。けど、見つけないでほしい、だなんて……)
ゼス様が居なくなるのは耐えられない。しかし、ゼス様が誰かをひたすらに愛する姿というのは、何だか見たくない気もする。
「……? おや、殿下は話しておいででなかったのでしょうか? 殿下はすでに、半身を見つけておられますよ?」
「っ、そう、ですか……」
ゼス様が眠りに落ちなくて済むことは喜ぶべきことなのに、その答えは、想像以上に衝撃的だった。
(じゃあ、ゼス様には、愛する人が居るのね……)
ズキズキと痛む胸。それがどういう意味を持つものかは分からないが、きっと、ゼス様を取られたくないなんていう気持ちがあったから、こんなにも辛いのだろう。大切なモノを奪われる時の痛みと今の痛みは、とても良く似ているから。
「……あんのヘタレ王子がっ」
そんな風に胸の痛みに気を取られていた私は、アルマさんがそんな悪態をついていたことなど知らない。ただ、その直後、アルマさんが急用を思い出したとかで授業を中断してしまったため、私はただ一人、落ち込んでいることとなった。
知識もマナーも何もかも、今の私には足りないとのことで、連日、アルマさんが私の講師として様々なことを教えてくれている。ちなみに、アルマさんが持ってきてくれた上着は、すぐに返したかったものの、アルマさんの妙な威圧に負けて、今はクローゼットの片隅に置いてある。
「では、ここまでで何かご質問はありますか?」
「あの、一つだけ、良いですか?」
「一つと言わず、いくらでも」
今日学んでいたのは、この国の王家だけに引き継がれる半身というものに関する知識。それを最初は、不思議なこと、くらいの気持ちで聞いていたものの、徐々にそれどころではなくなってしまった。何せ、ゼス様も、その特徴を引き継ぐ王族だということを知ってしまったのだから。
「ゼス様は、もう、半身を見つけていますか……?」
ゼス様の年齢は知らないが、二十に近い年齢に見えないこともない。そして、もし半身を見つけていないのであれば、ゼス様は二十歳を越えると眠りに就いてしまう。いつ目覚めるともしれない、長い眠りに。
(見つけていてほしい。けど、見つけないでほしい、だなんて……)
ゼス様が居なくなるのは耐えられない。しかし、ゼス様が誰かをひたすらに愛する姿というのは、何だか見たくない気もする。
「……? おや、殿下は話しておいででなかったのでしょうか? 殿下はすでに、半身を見つけておられますよ?」
「っ、そう、ですか……」
ゼス様が眠りに落ちなくて済むことは喜ぶべきことなのに、その答えは、想像以上に衝撃的だった。
(じゃあ、ゼス様には、愛する人が居るのね……)
ズキズキと痛む胸。それがどういう意味を持つものかは分からないが、きっと、ゼス様を取られたくないなんていう気持ちがあったから、こんなにも辛いのだろう。大切なモノを奪われる時の痛みと今の痛みは、とても良く似ているから。
「……あんのヘタレ王子がっ」
そんな風に胸の痛みに気を取られていた私は、アルマさんがそんな悪態をついていたことなど知らない。ただ、その直後、アルマさんが急用を思い出したとかで授業を中断してしまったため、私はただ一人、落ち込んでいることとなった。
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