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第二章 旅と王都
第二十七話 ドキドキなネリア(ネリア視点)
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ゼス様は……あまりにも、美しかった。銀の長い髪を結わえ、黄金の瞳をこちらに向ける彼は、神か何かかと思うくらいの神々しさを持っている。一応、オチ国で公爵令嬢だった私は、色々と美しい見た目の人を見てはきた。しかし、ゼス様は、そんな有象無象とは一線を画するほどの美を有していたのだ。
「っ、ネリアさん、目が覚めたんだなっ!」
ニカッと笑うゼス様に、私は、心臓がドクリと音を立てるのを聞く。
(あ、あれ? どう、しよう。ゼス様のお顔を、まともに見れないっ……)
今までももちろん、ゼス様の距離の近さにドギマギすることはあった。しかし、今は見える分、色々と、ダメージというか、衝撃というかが凄まじい。
「ちょうど良かった。夕食を持ってきたところなんだ。一緒に食べよう」
そう言われて、どうにかゼス様の方へ視線を移せば、思いの外近い場所で、蕩けるような笑みを浮かべていらっしゃいまして……。
(……う、うぅ、こ、これは、何? 何で、急に、ゼス様を見たらドキドキするの?)
返事をしなければと思って、一応コクコクとうなずくと、ゼス様はテーブルの上にワゴンに載っていた料理を並べていく。そして、椅子を二つ持ってきて……。
(……あれ? 二つ……?)
そこで、私の頭の中で、もう一度、ゼス様の発言がリピートされる。
『一緒に食べよう』
(…………うあぁぁぁあっ!!)
もちろん、その言葉にうなずいた記憶はある。それも、必死にうなずいた記憶が。その結果を、私は全く、これっぽっちも理解していなかったことを除けば、問題などない反応だったのだが……まぁ、今は、ゼス様を見ると何だか危険な気がするわけで、大問題だった。
「ゼス様、は……その、ご家族の方と食事をなさる予定などは……?」
懸命に、丁寧な言葉を心がけて話せば、ゼス様は、その美しい顔をキョトンとしたものに変えて、とても可愛らしくな……違ぁあうっ。
よく分からないながらも、何やらゼス様がおかしく見える私は、自分に突っ込みながら、はたと気づく。
(もしかして、私の目は、まだ完全に治っていない!?)
そう考えれば、全てに説明がつくような気がした。
「予定はないが……あぁ、気遣ってくれたんだな。大丈夫だ。俺は、できる限りネリアさんを優先させるから。邪魔者の排除も任せて」
(わ、私を優先? それだと、やっぱり私はゼス様と食事を……?)
最後に物騒な言葉を告げていたことなど、私の耳には入っていなかった。今は、ただただ、このピンチをどう乗り切るかでいっぱいいっぱいだったから。
「さぁ、食べよう。ネリアさんには、ちゃんと食べさせてあげるよ」
……そして、さらなる危機を前に、私は、完全に硬直した。
「っ、ネリアさん、目が覚めたんだなっ!」
ニカッと笑うゼス様に、私は、心臓がドクリと音を立てるのを聞く。
(あ、あれ? どう、しよう。ゼス様のお顔を、まともに見れないっ……)
今までももちろん、ゼス様の距離の近さにドギマギすることはあった。しかし、今は見える分、色々と、ダメージというか、衝撃というかが凄まじい。
「ちょうど良かった。夕食を持ってきたところなんだ。一緒に食べよう」
そう言われて、どうにかゼス様の方へ視線を移せば、思いの外近い場所で、蕩けるような笑みを浮かべていらっしゃいまして……。
(……う、うぅ、こ、これは、何? 何で、急に、ゼス様を見たらドキドキするの?)
返事をしなければと思って、一応コクコクとうなずくと、ゼス様はテーブルの上にワゴンに載っていた料理を並べていく。そして、椅子を二つ持ってきて……。
(……あれ? 二つ……?)
そこで、私の頭の中で、もう一度、ゼス様の発言がリピートされる。
『一緒に食べよう』
(…………うあぁぁぁあっ!!)
もちろん、その言葉にうなずいた記憶はある。それも、必死にうなずいた記憶が。その結果を、私は全く、これっぽっちも理解していなかったことを除けば、問題などない反応だったのだが……まぁ、今は、ゼス様を見ると何だか危険な気がするわけで、大問題だった。
「ゼス様、は……その、ご家族の方と食事をなさる予定などは……?」
懸命に、丁寧な言葉を心がけて話せば、ゼス様は、その美しい顔をキョトンとしたものに変えて、とても可愛らしくな……違ぁあうっ。
よく分からないながらも、何やらゼス様がおかしく見える私は、自分に突っ込みながら、はたと気づく。
(もしかして、私の目は、まだ完全に治っていない!?)
そう考えれば、全てに説明がつくような気がした。
「予定はないが……あぁ、気遣ってくれたんだな。大丈夫だ。俺は、できる限りネリアさんを優先させるから。邪魔者の排除も任せて」
(わ、私を優先? それだと、やっぱり私はゼス様と食事を……?)
最後に物騒な言葉を告げていたことなど、私の耳には入っていなかった。今は、ただただ、このピンチをどう乗り切るかでいっぱいいっぱいだったから。
「さぁ、食べよう。ネリアさんには、ちゃんと食べさせてあげるよ」
……そして、さらなる危機を前に、私は、完全に硬直した。
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