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第二章
第六十一話 間一髪(セイン視点)
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そろそろ13時。リコが来るはずの時間だ。
もう何度目ともしれない時間の確認。もうすぐ、リコが差し入れを持ってきてくれる。それだけのことがとても楽しみで、待ち切れない。
そんな風に呑気に考えていた俺は、ふと、胸騒ぎを覚えた。
「っ?」
普段ならば、気の所為で済ませたであろうその感覚は、今に限ってはそれで済ますことなどできない。
「……リコさんに、何かあった……?」
魔族は、片翼至上主義。そして、そんな魔族は、時に片翼の危機を第六感のようなもので感じ取ることがある。
一度、そうかもしれないと思えば、のんびり待つことなどできなかった。
「っ、リコさん!」
宿の人間にリコの特徴を伝えて、もしもここに来たら知らせてほしいと、連絡用の魔法陣を用意してから飛び出す。
リコなら、どの道を選ぶ!?
魔族の習性として、片翼が居る街の全体像は、細い路地に至るまで把握したくなる、というものがあり、俺ももれなくそういった習性の下、この街の地図は頭に入っている。
一番近い道ならば、あの路地か!?
宿屋のほど近くに存在する細い路地。この宿屋を知っているのであれば、近道としてこの路地を利用していてもおかしくはない。
一直線にその場所へと走ると、フワリと、リコの香りと、血の匂いがしてくる。そして……。
「っ、リコを返しなさいっ!!」
目の前に現れた光景は、グッタリとしたリコを俵のように担ぐ覆面の二人組。それを目にした瞬間、怒りで頭が沸騰する。
一瞬にして、奴らの前へと肉迫し、剣を振るう。
「ぎゃっ」
その腹を一振りで両断すると、俺が肉迫した瞬間、まだ呆然としていた覆面の者は慌てたようにリコを抱えたまま逃げようとする。
「返せっ!!」
「ひっぎゃあぁっ!」
その背中を斬りつければ、そいつは、リコを落とす。当然、そのまま地面に激突させるなんてことを許すはずもなく、風魔法でクッションを作り、リコの体を支える。
「リコっ!」
グッタリとしたリコを抱きかかえ、その傷の多さに、再び頭の中が怒りに支配されそうになる中、どうにか治癒魔法を展開する。
ゆっくりと、その傷が消えていく様子を見ながら、俺は、まだ生きている襲撃者が逃げようとしているのを察知して、その背中を踏みつける。
「ぐっ、あぁっ!」
「あなた達は何者ですか? リコをどうするつもりだったのですか? あぁ、逃げられるなんて思わないでくださいね? 俺は、そこそこ治癒魔法が上手いので、そこらの毒は簡単に解毒できますし、死なないギリギリを保つための治癒、なんてこともそれなりに良くやっていましたので、自害しようとしても無駄ですよ? それに、拷問もお手の物ですので……ほら、まだ痛くないうちに吐いた方が身のためですよ?」
斬りつけた背中を容赦なく踏みつけながら問いかけると、覆面の襲撃者は、そのうち、泣きながら全てを話してくれた。
もう何度目ともしれない時間の確認。もうすぐ、リコが差し入れを持ってきてくれる。それだけのことがとても楽しみで、待ち切れない。
そんな風に呑気に考えていた俺は、ふと、胸騒ぎを覚えた。
「っ?」
普段ならば、気の所為で済ませたであろうその感覚は、今に限ってはそれで済ますことなどできない。
「……リコさんに、何かあった……?」
魔族は、片翼至上主義。そして、そんな魔族は、時に片翼の危機を第六感のようなもので感じ取ることがある。
一度、そうかもしれないと思えば、のんびり待つことなどできなかった。
「っ、リコさん!」
宿の人間にリコの特徴を伝えて、もしもここに来たら知らせてほしいと、連絡用の魔法陣を用意してから飛び出す。
リコなら、どの道を選ぶ!?
魔族の習性として、片翼が居る街の全体像は、細い路地に至るまで把握したくなる、というものがあり、俺ももれなくそういった習性の下、この街の地図は頭に入っている。
一番近い道ならば、あの路地か!?
宿屋のほど近くに存在する細い路地。この宿屋を知っているのであれば、近道としてこの路地を利用していてもおかしくはない。
一直線にその場所へと走ると、フワリと、リコの香りと、血の匂いがしてくる。そして……。
「っ、リコを返しなさいっ!!」
目の前に現れた光景は、グッタリとしたリコを俵のように担ぐ覆面の二人組。それを目にした瞬間、怒りで頭が沸騰する。
一瞬にして、奴らの前へと肉迫し、剣を振るう。
「ぎゃっ」
その腹を一振りで両断すると、俺が肉迫した瞬間、まだ呆然としていた覆面の者は慌てたようにリコを抱えたまま逃げようとする。
「返せっ!!」
「ひっぎゃあぁっ!」
その背中を斬りつければ、そいつは、リコを落とす。当然、そのまま地面に激突させるなんてことを許すはずもなく、風魔法でクッションを作り、リコの体を支える。
「リコっ!」
グッタリとしたリコを抱きかかえ、その傷の多さに、再び頭の中が怒りに支配されそうになる中、どうにか治癒魔法を展開する。
ゆっくりと、その傷が消えていく様子を見ながら、俺は、まだ生きている襲撃者が逃げようとしているのを察知して、その背中を踏みつける。
「ぐっ、あぁっ!」
「あなた達は何者ですか? リコをどうするつもりだったのですか? あぁ、逃げられるなんて思わないでくださいね? 俺は、そこそこ治癒魔法が上手いので、そこらの毒は簡単に解毒できますし、死なないギリギリを保つための治癒、なんてこともそれなりに良くやっていましたので、自害しようとしても無駄ですよ? それに、拷問もお手の物ですので……ほら、まだ痛くないうちに吐いた方が身のためですよ?」
斬りつけた背中を容赦なく踏みつけながら問いかけると、覆面の襲撃者は、そのうち、泣きながら全てを話してくれた。
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