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第二章
第三十七話 レレ様
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病院に行ったところで、私自身は健康体そのもの。そのため、精神的なものだろうとの判断が下され、セインさんとともに帰宅することとなった。
どうして、こうなったの……?
『セインさんの片翼は、ミーナさんだったのではなかろうか?』そうは思えども、セインさんの様子を見る限り、それはなさそうに思える。
「やはり、あの男が原因ですねっ。せっかくのリコさんとのデー……お出かけを……やはり、抹殺するべきでしたか……」
ふとしたタイミングで呟かれる恐ろしい言葉に関しては、嬉しさの方が勝ってしまう。
ミーナさんが片翼というわけじゃないなら……仕事関連、なのかな?
ミーナさんが片翼であるということよりはマシだとはいえ、仕事で良くしてくれているというのも複雑だ。
馬車の用意をしてくるといって、セインさんは席を外し、病院の待合室でぼんやりとしていると、ふいに背後に見知った気配があることに気づく。そしてそれは、相手も同じだったようで……。
「あら、傷物令嬢がなぜこんなところにいらっしゃるの?」
「……レレ様」
傷物令嬢、と私のことを呼んだ彼女は、レレ・ナイティアール様。侯爵令嬢である彼女は、私が通う騎士科で、数少ない女子生徒の一人だ。
「まぁっ、そのワンピース、あなたにとってもお似合いですわね。主に、可愛過ぎるところが」
「ありがとう、ございます」
「っ、褒めたのではなくてよっ」
獣人の中でも嫌われ者の蛇の獣人であるレレ様の腕は、綺麗な青い鱗で覆われている。青の令嬢と呼ばれる彼女は、その名の通り、髪も瞳も輝くような青さを持っている。私から見れば、彼女はとても美しく見えるし、彼女のレイピア捌きも凄まじく、尊敬する人だ。ただ……。
「それで、なぜ、こんなところに居るのかしら? 体調が悪くて、明日の試合をすっぽかすなど、許さなくてよ?」
微妙に素直ではないのがたまに傷だ。
最初の言葉は、『あら、(ここには他にも貴族が来るというのに)傷物令嬢(なんて呼ばれているあなた)がなぜこんなところ(誰かから攻撃されかねない場所)にいらっしゃるの?』という意味だし、『まぁっ、そのワンピース、あなたにとってもお似合いですわね。主に可愛過ぎる(本当に可愛いですわっ)ところが』とかだったりする。そして、先程の言葉は、私を心配するものなのだというのも当然、理解できていた。
何せ、彼女は言葉と行動が一致していないのだ。周囲を警戒していたり、ほんのり頬を染めて嬉しそうにしていたり、心配そうな表情だったりと、わりと、色々ダダ漏れだ。
「大丈夫、です。……ただ、ちょっと疲れただけで……」
「なら、早く休んで明日に備えなさいな。今度こそ、完璧に……いえ、少しは手加減して伸して差し上げるわっ」
「ありがとう、ございます」
いつもいつもこんな調子に話してくる彼女は、もしかしたら、友達と言っても過言ではない、存在かもしれない。
そう、思ったところで、ふと、妙案を思いつく。
「レレ様」
「な、何かしら?」
グイッと迫れば、レレ様はほんの少し頬を赤く染めて、嬉しそうにする。
「相談、乗ってください!!」
そして、私は勢い込んでそう告げた。
どうして、こうなったの……?
『セインさんの片翼は、ミーナさんだったのではなかろうか?』そうは思えども、セインさんの様子を見る限り、それはなさそうに思える。
「やはり、あの男が原因ですねっ。せっかくのリコさんとのデー……お出かけを……やはり、抹殺するべきでしたか……」
ふとしたタイミングで呟かれる恐ろしい言葉に関しては、嬉しさの方が勝ってしまう。
ミーナさんが片翼というわけじゃないなら……仕事関連、なのかな?
ミーナさんが片翼であるということよりはマシだとはいえ、仕事で良くしてくれているというのも複雑だ。
馬車の用意をしてくるといって、セインさんは席を外し、病院の待合室でぼんやりとしていると、ふいに背後に見知った気配があることに気づく。そしてそれは、相手も同じだったようで……。
「あら、傷物令嬢がなぜこんなところにいらっしゃるの?」
「……レレ様」
傷物令嬢、と私のことを呼んだ彼女は、レレ・ナイティアール様。侯爵令嬢である彼女は、私が通う騎士科で、数少ない女子生徒の一人だ。
「まぁっ、そのワンピース、あなたにとってもお似合いですわね。主に、可愛過ぎるところが」
「ありがとう、ございます」
「っ、褒めたのではなくてよっ」
獣人の中でも嫌われ者の蛇の獣人であるレレ様の腕は、綺麗な青い鱗で覆われている。青の令嬢と呼ばれる彼女は、その名の通り、髪も瞳も輝くような青さを持っている。私から見れば、彼女はとても美しく見えるし、彼女のレイピア捌きも凄まじく、尊敬する人だ。ただ……。
「それで、なぜ、こんなところに居るのかしら? 体調が悪くて、明日の試合をすっぽかすなど、許さなくてよ?」
微妙に素直ではないのがたまに傷だ。
最初の言葉は、『あら、(ここには他にも貴族が来るというのに)傷物令嬢(なんて呼ばれているあなた)がなぜこんなところ(誰かから攻撃されかねない場所)にいらっしゃるの?』という意味だし、『まぁっ、そのワンピース、あなたにとってもお似合いですわね。主に可愛過ぎる(本当に可愛いですわっ)ところが』とかだったりする。そして、先程の言葉は、私を心配するものなのだというのも当然、理解できていた。
何せ、彼女は言葉と行動が一致していないのだ。周囲を警戒していたり、ほんのり頬を染めて嬉しそうにしていたり、心配そうな表情だったりと、わりと、色々ダダ漏れだ。
「大丈夫、です。……ただ、ちょっと疲れただけで……」
「なら、早く休んで明日に備えなさいな。今度こそ、完璧に……いえ、少しは手加減して伸して差し上げるわっ」
「ありがとう、ございます」
いつもいつもこんな調子に話してくる彼女は、もしかしたら、友達と言っても過言ではない、存在かもしれない。
そう、思ったところで、ふと、妙案を思いつく。
「レレ様」
「な、何かしら?」
グイッと迫れば、レレ様はほんの少し頬を赤く染めて、嬉しそうにする。
「相談、乗ってください!!」
そして、私は勢い込んでそう告げた。
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