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第二章 戻された世界
第八十七話 真実3
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与えられた希望を前に、立ち止まったレアナだったが、どうやら、目的地には到着していたらしい。
「レアナっ」
駆け寄ってきたのは、アルガ。常に余裕たっぷりといった様子のアルガが、今は欠片たりとも余裕を感じさせなかった。
「レアナっ、ごめん! 俺っ、レアナを苦しめてっ」
「アルガ様……いいえ、これは、私が望んだことなんです。ですから、謝る必要はありません」
レアナをギュッと抱き締めるアルガは、そんなレアナの言葉でレアナを解放することはなく、さらにキツく、レアナを抱き締める。
「レアナさん……。すまない。私も、いや、私こそ、レアナさんにとんでもないことを」
「待ってくださいっ。それを言うなら、私だってサミュエル様に酷いことをしてきましたっ! 本当に、申し訳ありませんっ」
「いや、それは仕方のないことで」
「ですが、私のしたことは、許されることでは」
「はいはいっ! 謝罪合戦は後にしなさい。今は、シェナのことについて話をしますよ?」
パンっと手を叩いて告げる母親の言葉に、サミュエルとアルガ、そしてレアナは、ひとまず謝罪を止める。サミュエルもアルガも、記憶を取り戻して、シェナの夫であった記憶も、レアナと恋仲であった記憶も、それぞれが取り戻していた。
「お母様、お姉ちゃんの魂の浄化は、できるんです、よね?」
「えぇ、あなた達のおかげで、どうしてシェナの魂の浄化が進まないのか判明しましたからね」
シェナは、シエラ達を友達として慕っていたにもかかわらず、手酷く裏切られて魂を傷つけられた。具体的には、超優良物件であったサミュエルを純愛によって射止めたシェナが気に食わない彼女達が、シェナを呼び出して、監禁し、悪神達に喰い物にさせ、ズタボロになったところで嬲り殺しにしたのだ。シェナの恨みは深く、シェナが死んだ翌日、シェナを喰い物にした神々は呪いを受けた。シエラ達はといえば、それなりに神としての格が高かったために呪いを受けることなく、悠然と生き続け、シェナを嘲笑っていた。
レアナ達がシェナの身に何が起こったのかを理解するまで、彼女達はシェナの友人気取りであり、レアナ達は彼女達の裏切りを疑うことすらできなかった。ただ、偶然にも、シェナの浄化されずに残された魂を見つけ、それにレアナが触れてしまったがために、真相が明らかになったのだった。
「シェナの恨みは深過ぎます。そして、その恨みの根幹にあるのが、あなた達への深い愛情だというのが、私達の見解です」
母親の言葉に、レアナ達は真剣に耳を傾ける。
「そして、シェナの魂が浄化できない原因は、あなた達に危険が迫っているからだと考えられます」
「危険?」
「私達に、か?」
「けど、奴らはもう、全員捕らえてあるけど……?」
母親の言葉に、レアナもサミュエルもアルガも、怪訝な表情を浮かべる。しかし、それは次の言葉で憤怒へと変わった。
「レアナっ」
駆け寄ってきたのは、アルガ。常に余裕たっぷりといった様子のアルガが、今は欠片たりとも余裕を感じさせなかった。
「レアナっ、ごめん! 俺っ、レアナを苦しめてっ」
「アルガ様……いいえ、これは、私が望んだことなんです。ですから、謝る必要はありません」
レアナをギュッと抱き締めるアルガは、そんなレアナの言葉でレアナを解放することはなく、さらにキツく、レアナを抱き締める。
「レアナさん……。すまない。私も、いや、私こそ、レアナさんにとんでもないことを」
「待ってくださいっ。それを言うなら、私だってサミュエル様に酷いことをしてきましたっ! 本当に、申し訳ありませんっ」
「いや、それは仕方のないことで」
「ですが、私のしたことは、許されることでは」
「はいはいっ! 謝罪合戦は後にしなさい。今は、シェナのことについて話をしますよ?」
パンっと手を叩いて告げる母親の言葉に、サミュエルとアルガ、そしてレアナは、ひとまず謝罪を止める。サミュエルもアルガも、記憶を取り戻して、シェナの夫であった記憶も、レアナと恋仲であった記憶も、それぞれが取り戻していた。
「お母様、お姉ちゃんの魂の浄化は、できるんです、よね?」
「えぇ、あなた達のおかげで、どうしてシェナの魂の浄化が進まないのか判明しましたからね」
シェナは、シエラ達を友達として慕っていたにもかかわらず、手酷く裏切られて魂を傷つけられた。具体的には、超優良物件であったサミュエルを純愛によって射止めたシェナが気に食わない彼女達が、シェナを呼び出して、監禁し、悪神達に喰い物にさせ、ズタボロになったところで嬲り殺しにしたのだ。シェナの恨みは深く、シェナが死んだ翌日、シェナを喰い物にした神々は呪いを受けた。シエラ達はといえば、それなりに神としての格が高かったために呪いを受けることなく、悠然と生き続け、シェナを嘲笑っていた。
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「シェナの恨みは深過ぎます。そして、その恨みの根幹にあるのが、あなた達への深い愛情だというのが、私達の見解です」
母親の言葉に、レアナ達は真剣に耳を傾ける。
「そして、シェナの魂が浄化できない原因は、あなた達に危険が迫っているからだと考えられます」
「危険?」
「私達に、か?」
「けど、奴らはもう、全員捕らえてあるけど……?」
母親の言葉に、レアナもサミュエルもアルガも、怪訝な表情を浮かべる。しかし、それは次の言葉で憤怒へと変わった。
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