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第二章 戻された世界
第八十六話 真実2
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遥か遠い昔。シェナとレアナという仲良し姉妹の女神が居た。彼女達は、それぞれサミュエルとアルガという名前の神に恋をして、シェナはサミュエルと結婚までしていた。この四人の神は、お互いをとても大切に思っており、このまま、平穏な生活が続くのだと誰も疑ってはいなかった。
ただ……シェナに嫉妬した女神達が、シェナを貶めて、殺さなければ、何も起こらなかったはずなのだ。
「主犯の女神は、シエラ、アルリエ、エリアナ、メルフィー、アマンダの五人。彼女達は、神としての仕事でサミュエルが居ない隙に、シェナを攫って、あらゆる手段でシェナを傷つけ、殺した。私にとっても、あの五人は憎むべき相手なのですよ」
レアナが……歴代聖女達が復讐をしてきた相手の人数は、決まって五人だった。その時々で名前は変われど、その性質は同じ。彼女達は、シェナを殺した女神の写し身だった。
「今、そいつらは?」
「えぇ、当然、まだとびっきりの悪夢の中で眠り続けていますよ」
とびっきりの悪夢は、レアナが行った復讐そのものを見せられているはずだ。
「私は、お姉ちゃんの復讐心を、サミュエル様は、お姉ちゃんの良心を、そして、アルガはその調整役だったかな?」
その内容は、かつて、レアナが女神に教わったといっていた内容と被る。
「えぇ、その通り。そして、その状態で、神としての記憶を失ったまま過ごすことが、私達からの罰でした。ですが、浄化は失敗。復讐を遂げる前に、良心が復讐心を殺してしまったことで、負の感情が暴走してしまった」
「その前に、アルガを一度こちらに引き上げたんじゃないの? ……理由の心当たりはあるけど」
「確かに、アルガは一度こちらに引き上げました。アルガの魂の傷が随分と進行していたので、一度、全てを思い出してもらい、傷を癒やしてから、記憶を封じて、同じサイクルの中に戻す予定だったのです」
レアナが復讐を遂げようとしていた世界で、アルガが居なくなったのは致命的だったのかもしれない。なぜなら、アルガは調整という役を担っており、不測の事態に対して対応できる唯一だったのだから。
「箱庭は、もう……?」
「使えないでしょうね。レアナが何度も死んだあの世界は、レアナを異物として排除してしまおうとしていましたから。当然、主犯の女神達も、その影響を受けましたが」
レアナだけが記憶を引き継いで何度も転生したあの世界も、神の箱庭であり、本物の魂はレアナ、サミュエル、アルガ、そして主犯の女神達しか持ってはいなかった。ただ、それまでの箱庭と異なっていたのは、箱庭そのものが限界を迎えていたということ。どんなものも、使い続ければ朽ちていく。箱庭は、世界になりきれなかったものであったため、何度も繰り返す崩壊に耐えられず、それを引き起こす魂の持ち主を排除しようとした。それが、聖女であったレアナであり、その復讐対象であった五人だ。
「……シェナお姉ちゃんの魂は、このまま浄化できないの、かな……?」
レアナの憎しみは、本来シェナが抱いたものだ。そして、それを身を持って知っているレアナであるからこそ、そんな問いかけを口にしてしまう。
「……まだ、希望はあります。貴方達が諦めずにここまで手を尽くしてくれたおかげで、ね?」
そして、思いがけず与えられた希望を前に、レアナは目を丸くした。
ただ……シェナに嫉妬した女神達が、シェナを貶めて、殺さなければ、何も起こらなかったはずなのだ。
「主犯の女神は、シエラ、アルリエ、エリアナ、メルフィー、アマンダの五人。彼女達は、神としての仕事でサミュエルが居ない隙に、シェナを攫って、あらゆる手段でシェナを傷つけ、殺した。私にとっても、あの五人は憎むべき相手なのですよ」
レアナが……歴代聖女達が復讐をしてきた相手の人数は、決まって五人だった。その時々で名前は変われど、その性質は同じ。彼女達は、シェナを殺した女神の写し身だった。
「今、そいつらは?」
「えぇ、当然、まだとびっきりの悪夢の中で眠り続けていますよ」
とびっきりの悪夢は、レアナが行った復讐そのものを見せられているはずだ。
「私は、お姉ちゃんの復讐心を、サミュエル様は、お姉ちゃんの良心を、そして、アルガはその調整役だったかな?」
その内容は、かつて、レアナが女神に教わったといっていた内容と被る。
「えぇ、その通り。そして、その状態で、神としての記憶を失ったまま過ごすことが、私達からの罰でした。ですが、浄化は失敗。復讐を遂げる前に、良心が復讐心を殺してしまったことで、負の感情が暴走してしまった」
「その前に、アルガを一度こちらに引き上げたんじゃないの? ……理由の心当たりはあるけど」
「確かに、アルガは一度こちらに引き上げました。アルガの魂の傷が随分と進行していたので、一度、全てを思い出してもらい、傷を癒やしてから、記憶を封じて、同じサイクルの中に戻す予定だったのです」
レアナが復讐を遂げようとしていた世界で、アルガが居なくなったのは致命的だったのかもしれない。なぜなら、アルガは調整という役を担っており、不測の事態に対して対応できる唯一だったのだから。
「箱庭は、もう……?」
「使えないでしょうね。レアナが何度も死んだあの世界は、レアナを異物として排除してしまおうとしていましたから。当然、主犯の女神達も、その影響を受けましたが」
レアナだけが記憶を引き継いで何度も転生したあの世界も、神の箱庭であり、本物の魂はレアナ、サミュエル、アルガ、そして主犯の女神達しか持ってはいなかった。ただ、それまでの箱庭と異なっていたのは、箱庭そのものが限界を迎えていたということ。どんなものも、使い続ければ朽ちていく。箱庭は、世界になりきれなかったものであったため、何度も繰り返す崩壊に耐えられず、それを引き起こす魂の持ち主を排除しようとした。それが、聖女であったレアナであり、その復讐対象であった五人だ。
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「……まだ、希望はあります。貴方達が諦めずにここまで手を尽くしてくれたおかげで、ね?」
そして、思いがけず与えられた希望を前に、レアナは目を丸くした。
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