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第二章 戻された世界
第八十五話 真実1
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サミュエルとアルガが倒れた頃。実は、レアナは一足先にこの荒れた大地に足を踏み入れて、目を覚ましていた。
「あ……そう、いうことだった、のね」
その場所を見て、レアナは立ち尽くして、涙を流す。
「まだ、足りなかったの? お母様」
そう呟けば、王妃としてフィリアダ王国に居たはずの女性が背後から現れる。
「そうですね。シェナの苦しみや絶望は、まだ、解消されていないようです。でも、これ以上試すのは不可能だと、世界が判断したのでしょうね」
王妃であった彼女は、今は真っ白な衣服を身に纏う女神だった。そして、それはレアナも同じであり、そんな姿に一切の疑問を抱くことなく、レアナは母親を見つめる。
「システムを、オーバーした、ということなのね」
「えぇ、疑似魂によって作り上げた箱庭。そこで、シェナの魂の浄化を行うつもりだったのでしょうけど、上手くいったと思う?」
そんな問いかけに、レアナは首を横に振る。
「……お母様の言う通り、私達は、間違っていたのですね」
人間として何度も転生したと思っていたレアナ。しかし、それは真実とは少しばかり異なる。
「……シェナは、様々な裏切りによって、死にました。ですが、貴方達はそれを受け入れられなかった。貴方達は、シェナをとても大切にしていたから」
「シェナ、お姉ちゃん。私のお姉ちゃんで、サミュエル様の伴侶」
「シェナの魂を浄化することはできません。そして、それを無視して彼女の魂を手にした貴方達を罰しないわけにもいきませんでした」
「うん、分かってるよ。お母様。それなのに、私達の思いを汲んでくれて、お姉ちゃんの魂の浄化を手伝ってくれたんだから、私の方が謝らなきゃ」
そうして、レアナは涙を流したまま、母親に頭を下げる。
「三の神、レアナは、二の神、アニエス様に謝罪を申し上げます」
「三の神の謝罪を受け入れます」
それはまるで、レアナも母親も神であるかのような言い回し。いや、実際に、レアナも王妃も、神であった。ただ、その記憶を、今までのレアナは封印していたに過ぎなかったのだ。
「では、まずは息子達を迎えて、全ての話をしましょう」
母親の言葉を受けて、レアナは力強くうなずいた。
「あ……そう、いうことだった、のね」
その場所を見て、レアナは立ち尽くして、涙を流す。
「まだ、足りなかったの? お母様」
そう呟けば、王妃としてフィリアダ王国に居たはずの女性が背後から現れる。
「そうですね。シェナの苦しみや絶望は、まだ、解消されていないようです。でも、これ以上試すのは不可能だと、世界が判断したのでしょうね」
王妃であった彼女は、今は真っ白な衣服を身に纏う女神だった。そして、それはレアナも同じであり、そんな姿に一切の疑問を抱くことなく、レアナは母親を見つめる。
「システムを、オーバーした、ということなのね」
「えぇ、疑似魂によって作り上げた箱庭。そこで、シェナの魂の浄化を行うつもりだったのでしょうけど、上手くいったと思う?」
そんな問いかけに、レアナは首を横に振る。
「……お母様の言う通り、私達は、間違っていたのですね」
人間として何度も転生したと思っていたレアナ。しかし、それは真実とは少しばかり異なる。
「……シェナは、様々な裏切りによって、死にました。ですが、貴方達はそれを受け入れられなかった。貴方達は、シェナをとても大切にしていたから」
「シェナ、お姉ちゃん。私のお姉ちゃんで、サミュエル様の伴侶」
「シェナの魂を浄化することはできません。そして、それを無視して彼女の魂を手にした貴方達を罰しないわけにもいきませんでした」
「うん、分かってるよ。お母様。それなのに、私達の思いを汲んでくれて、お姉ちゃんの魂の浄化を手伝ってくれたんだから、私の方が謝らなきゃ」
そうして、レアナは涙を流したまま、母親に頭を下げる。
「三の神、レアナは、二の神、アニエス様に謝罪を申し上げます」
「三の神の謝罪を受け入れます」
それはまるで、レアナも母親も神であるかのような言い回し。いや、実際に、レアナも王妃も、神であった。ただ、その記憶を、今までのレアナは封印していたに過ぎなかったのだ。
「では、まずは息子達を迎えて、全ての話をしましょう」
母親の言葉を受けて、レアナは力強くうなずいた。
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