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第一章 復讐の聖女候補

第四十九話 魔王を捜す

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 魔王が居なくなって一週間。さすがのレアナも、何かあったのだと確信して、魔王の消息を掴もうと動き出していた。しかし……。


「私じゃあ、魔物達に命令は下せない……」


 一度は復讐に呑まれたレアナ。しかし、今は魔王のことが心配で、それどころではなかった。
 魔王を捜すために、適切な魔物を見つけ出すところまでは、本の知識さえあれば可能だ。イビルバッドや魔鳥、血樹といった魔物ならば、魔王の居場所特定に役立つだろうと踏んではいるものの、実際のところ、彼らがレアナに協力してくれる可能性は低い。彼らの主は魔王であって、レアナではない。今までも、魔王が居たからこそ、レアナは魔物達に力を貸してもらえたのだから。


「……餌付け? それとも、何か条件があれば、それをこなすとか……?」


 無条件に力を貸してもらえるわけがない状態。ならば、レアナは条件付きで力を貸してもらうしかなかった。

 現在、レアナの武器となるものは五つ。一つは、魔王の屋敷。ここには、外敵が入り込むことのない結界を張っている上、生活に必要なものがあらかた揃っている。二つ目は、今まで協力してくれた魔物達との繋がり。シエラに差し向けた魔虫と、アルリエのところに差し向けたナイトメアブルーム。それと、怨霊となった侍女達。それらの力は、今のレアナでも使える。三つ目は、レアナ自身の魔力。聖も邪も扱えるレアナ。そして、誰よりも魔力量の多い彼女ならば、それだけでもある程度の虐殺くらいは行える。四つ目は単純に魔王から与えられた知識。そして、五つ目は……。


「見たいものを映し出す水晶。でも、これでも魔王の姿は見えない」


 アルリエの監視に使っていた水晶玉。魔王の説明によると、これは神々の遺物であり、本来は存在しないはずのアーティファクト。これさえ使えば、どんな場所も映し出せるし、どんな企みも聞くことができる。しかし、そんなとんでもない代物でも、魔王の姿は捕捉できなかった。


「どこかに閉じ込められて、見えないだけ? でも、魔王に近い場所をと願っても、透明なままなのは、さすがに……」


 壊れたのではないかと、何度か別の場所を映してみたものの、しっかりと願った場所を映し出す水晶。だとすると、別の問題があるということになる。


「……死者であっても、その骨が埋まっている場所くらいは映せる。そうなると、この水晶の力を妨害するだけの何かが、魔王のところにある……?」


 それは、当然ながら、レアナの力でどうにかなるものではない。しかし、それでも、レアナは諦めなかった。


「魔王を、見つけなきゃ……」


 復讐は、後回しにして、レアナは魔物達が蔓延る森へと足を踏み入れる。レアナは、味方となる魔物を手に入れるため、真っ直ぐ前を向いて歩き出した。
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