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第一章 復讐の聖女候補
第四十三話 もう一つの復讐4*
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長男が絶命するのも時間の問題。しかし、その時、突如として部屋を覆う結界が消失する。
「誰かっ! 兄上を助けてくれぇっ!!」
その瞬間、外に居た二人の護衛達は、すぐさま部屋へと入る。そして……何度も何度も結界を叩き続けて、血塗れとなった拳を垂らした次男と、その背後で、急速に全身を殴打されたような状態になり、絶命する長男を目撃することとなる。
「これはっ、マルク様! 何が、あったのですか!?」
賊の気配、などというものは、護衛達にも察知できない。しかし、それでも、自分達が気づかないままに、彼らが閉じ込められ、殺害され、必死に助けを求めていた、ということだけは明らかだった。
「分からない……分からないんだよぉっ! とにかく、兄上をっ、兄上……を……?」
兄を助けてほしいと振り返った次男は、明らかに生きてはいないであろう兄の姿を目撃してしまう。
「っ、マルク様、ここは危険です。今は、安全な場所へ移動しましょう。この場所には、すぐに、騎士を派遣します」
呆然と立ちすくむ次男。騎士は、長男の姿を隠すように次男の目の前に立って、この場所から立ち去るように促す。
「あ、あぁ……あに、う、ぇ……」
しかし、次男は動かない。いや、動けない。だって、見えてしまったのだ。目の前の護衛が、長男の姿を隠す直前、もう一人の、先程から一言も言葉を発さなかった護衛が、すでに息絶えた長男を踏みつけるところを。
「あ、あぁぁぁあっ!! おま、お前ぇぇぇえっ!!」
「マルク様!?」
瞬時に激高した次男は、目の前を遮る護衛を振り切り、未だに長男を踏みつける護衛へと襲いかかる。しかし……。
「がはっ」
「どうされました? マルク様?」
次男は、護衛に襲いかかった直後、床に引き倒される。彼らは、日々鍛えている騎士達とは違い、毎日書類と格闘する文官だ。ただの文官が、騎士に適うわけなどない。
「なっ、何をしているんだ!!」
ただ、幸いなのは、もう一人の護衛は次男の敵ではなさそうだということくらいだろうか。
「マルク様は被害者でしかないのだぞ!?」
「被害者? あの家の人間ってだけで、罪は大きいと思いますが?」
「っ、それは……」
いや、どうやら、それも少し違うらしい。彼らは、現状とは別の、何かについて話しているようで、次男は痛む体をどうにか起こして、もう一度護衛に飛びかかるも、もう一度、床に叩きつけられる。
「俺自身は、何かされたわけじゃねぇ。けど、俺の幼馴染は、コイツらの妹にやられたんだ。許せるはず、ないでしょ?」
そうして、騎士は、次男が起き上がる前に、その腹を思いっきり踏みつける。
「がぼぉっ!」
「コイツらの妹が、俺の幼馴染を殺した。けど、コイツらは、自分達の権力でもみ消した。『可愛い妹がそんなことするわけない』だぁ? テメェらの目は節穴か!?」
そう言いながら、騎士は何度も何度も、次男を踏みつけ、蹴り上げる。そうして、次男が虫の息になったところで、その暴行は止まった。
「誰かっ! 兄上を助けてくれぇっ!!」
その瞬間、外に居た二人の護衛達は、すぐさま部屋へと入る。そして……何度も何度も結界を叩き続けて、血塗れとなった拳を垂らした次男と、その背後で、急速に全身を殴打されたような状態になり、絶命する長男を目撃することとなる。
「これはっ、マルク様! 何が、あったのですか!?」
賊の気配、などというものは、護衛達にも察知できない。しかし、それでも、自分達が気づかないままに、彼らが閉じ込められ、殺害され、必死に助けを求めていた、ということだけは明らかだった。
「分からない……分からないんだよぉっ! とにかく、兄上をっ、兄上……を……?」
兄を助けてほしいと振り返った次男は、明らかに生きてはいないであろう兄の姿を目撃してしまう。
「っ、マルク様、ここは危険です。今は、安全な場所へ移動しましょう。この場所には、すぐに、騎士を派遣します」
呆然と立ちすくむ次男。騎士は、長男の姿を隠すように次男の目の前に立って、この場所から立ち去るように促す。
「あ、あぁ……あに、う、ぇ……」
しかし、次男は動かない。いや、動けない。だって、見えてしまったのだ。目の前の護衛が、長男の姿を隠す直前、もう一人の、先程から一言も言葉を発さなかった護衛が、すでに息絶えた長男を踏みつけるところを。
「あ、あぁぁぁあっ!! おま、お前ぇぇぇえっ!!」
「マルク様!?」
瞬時に激高した次男は、目の前を遮る護衛を振り切り、未だに長男を踏みつける護衛へと襲いかかる。しかし……。
「がはっ」
「どうされました? マルク様?」
次男は、護衛に襲いかかった直後、床に引き倒される。彼らは、日々鍛えている騎士達とは違い、毎日書類と格闘する文官だ。ただの文官が、騎士に適うわけなどない。
「なっ、何をしているんだ!!」
ただ、幸いなのは、もう一人の護衛は次男の敵ではなさそうだということくらいだろうか。
「マルク様は被害者でしかないのだぞ!?」
「被害者? あの家の人間ってだけで、罪は大きいと思いますが?」
「っ、それは……」
いや、どうやら、それも少し違うらしい。彼らは、現状とは別の、何かについて話しているようで、次男は痛む体をどうにか起こして、もう一度護衛に飛びかかるも、もう一度、床に叩きつけられる。
「俺自身は、何かされたわけじゃねぇ。けど、俺の幼馴染は、コイツらの妹にやられたんだ。許せるはず、ないでしょ?」
そうして、騎士は、次男が起き上がる前に、その腹を思いっきり踏みつける。
「がぼぉっ!」
「コイツらの妹が、俺の幼馴染を殺した。けど、コイツらは、自分達の権力でもみ消した。『可愛い妹がそんなことするわけない』だぁ? テメェらの目は節穴か!?」
そう言いながら、騎士は何度も何度も、次男を踏みつけ、蹴り上げる。そうして、次男が虫の息になったところで、その暴行は止まった。
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