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第二章 異質な神界
第百二話 嫌がらせの日々2(ピンク頭視点)
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あまりにもどぎつい臭いに、覚醒しては気絶するを繰り返して……いつの間にか、私は、誰かに救出されていたらしい。どうにか目を覚ますと、どこかのベッドの上だった。
いや、きっと、同じ上位世界から来た仲間なのだろうけど、もうちょっと早くきてほしかった。
「くぅ、臭いが、取れない……」
「あれは、恐らく腐敗の神の生み出したモノに、何らかの手を加えたモノじゃないかな?」
「何でっ、そんなものがあるのよっ!」
「いやぁ……嫌がらせのためじゃない?」
「度が過ぎてるわよっ!!」
あまりにもとんでもない嫌がらせに、私は被っていた猫を全て投げる勢いで怒鳴る。
私の目の前に居るのは、聖を司る男神。赤茶色のクルクルとした鳥の巣のような頭に、真っ青な瞳。ただし、その顔は、どう見ても意地悪く見える。こんな姿の神が聖を司るなど、言われて実際に力を行使してもらわなければ信じられないことだが、実際、彼は私の臭いを浄化でどうにかしようとはしている。
「あ、ごめん、近づかないで。臭いから」
「っ、悪かったわねっ」
ただ、どうにも腐敗の神の力だけではないことが問題なのか、臭いは中々取れない。
「くっ、こんなんじゃあ、ゲームが成り立たないじゃない」
「いや、でもさぁ、一応、待ち望んだ嫌がらせでしょ?」
「その言い方だと、私が変態みたいじゃないっ」
「えー、変わらないと思うけど……まっ、俺もちょっとは興味があるし、転校生って設定で探ってみようかなぁ?」
「……あんたも来るの?」
学校で猫を被っている姿を、こいつに見られたくない。そうは思うものの、こいつの中ではもはや決定事項らしく、『もっちろんっ』と返事が来る。
そんな様子に、思わずため息をこぼした直後、だった。ハラリ、と何かが視界の端で舞い落ちる。
「何?」
「え? 何が?」
目の前のやつは気づいていないようだが、私が視線を向けた先には、確かに、何か紙らしきものが落ちていた。
「あそこ、何か落ちたわよ」
「え? うーん? 何置いてたっけ?」
まだ(動いたら臭いを振りまくことになるため)動けない私の代わりに、こいつを動かしてみるが、特にそのもの自体に興味はなかった。
「うわっ」
そいつが、それを見て声をあげるまでは。
「何よ。ビックリするじゃない」
「い、いや……これはさすがに、ビビるって」
「何なのよ。私にも見せなさい」
そう要求すると、やつはしばらく躊躇う。
「いや、でも、これは見ない方が……いや、むしろ見せるべき? うーん……」
いっこうにこちらへ来ようとしないそいつに痺れを切らせた私は、臭いを振りまくことになろうと関係ないとばかりに詰め寄って、悲鳴をあげるそいつからソレを奪い取る。
「全く。いったい何なのよ……っ」
ソレは、汚液にまみれて、白目を剥いて気絶した私の写真でヒロインにあるまじき姿の証明だった。
いや、きっと、同じ上位世界から来た仲間なのだろうけど、もうちょっと早くきてほしかった。
「くぅ、臭いが、取れない……」
「あれは、恐らく腐敗の神の生み出したモノに、何らかの手を加えたモノじゃないかな?」
「何でっ、そんなものがあるのよっ!」
「いやぁ……嫌がらせのためじゃない?」
「度が過ぎてるわよっ!!」
あまりにもとんでもない嫌がらせに、私は被っていた猫を全て投げる勢いで怒鳴る。
私の目の前に居るのは、聖を司る男神。赤茶色のクルクルとした鳥の巣のような頭に、真っ青な瞳。ただし、その顔は、どう見ても意地悪く見える。こんな姿の神が聖を司るなど、言われて実際に力を行使してもらわなければ信じられないことだが、実際、彼は私の臭いを浄化でどうにかしようとはしている。
「あ、ごめん、近づかないで。臭いから」
「っ、悪かったわねっ」
ただ、どうにも腐敗の神の力だけではないことが問題なのか、臭いは中々取れない。
「くっ、こんなんじゃあ、ゲームが成り立たないじゃない」
「いや、でもさぁ、一応、待ち望んだ嫌がらせでしょ?」
「その言い方だと、私が変態みたいじゃないっ」
「えー、変わらないと思うけど……まっ、俺もちょっとは興味があるし、転校生って設定で探ってみようかなぁ?」
「……あんたも来るの?」
学校で猫を被っている姿を、こいつに見られたくない。そうは思うものの、こいつの中ではもはや決定事項らしく、『もっちろんっ』と返事が来る。
そんな様子に、思わずため息をこぼした直後、だった。ハラリ、と何かが視界の端で舞い落ちる。
「何?」
「え? 何が?」
目の前のやつは気づいていないようだが、私が視線を向けた先には、確かに、何か紙らしきものが落ちていた。
「あそこ、何か落ちたわよ」
「え? うーん? 何置いてたっけ?」
まだ(動いたら臭いを振りまくことになるため)動けない私の代わりに、こいつを動かしてみるが、特にそのもの自体に興味はなかった。
「うわっ」
そいつが、それを見て声をあげるまでは。
「何よ。ビックリするじゃない」
「い、いや……これはさすがに、ビビるって」
「何なのよ。私にも見せなさい」
そう要求すると、やつはしばらく躊躇う。
「いや、でも、これは見ない方が……いや、むしろ見せるべき? うーん……」
いっこうにこちらへ来ようとしないそいつに痺れを切らせた私は、臭いを振りまくことになろうと関係ないとばかりに詰め寄って、悲鳴をあげるそいつからソレを奪い取る。
「全く。いったい何なのよ……っ」
ソレは、汚液にまみれて、白目を剥いて気絶した私の写真でヒロインにあるまじき姿の証明だった。
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