悪役令嬢の神様ライフ

第二章 異質な神界

第八十六話 戻ったレレア

「学校とは、突然私達を洗脳した神達が設立した、巨大な牢獄です。創世神様を害した害虫どもに植えつけられた常識によって疑問を抱くこともできませんでしたが、今なら分かります。このままでは、神界が滅びますっ」


　……ニッコリと笑っているのに、目が全く笑っていないどころか、話が進むにつれて、ジワリ、ジワリと害虫と称した神々に対する殺気を滲ませるレレア。


（レレアって、こんな性格だったんですね……）

「それで、質問ですけど、フィーちゃん達は、どうして私の洗脳を解くことができたんです？　もちろん、洗脳を解いてくれたことには感謝していますが……」


　殺気が高まる様子をピリピリと感じていた私達でしたが、私達に向けての質問では、その殺気は完全に霧散します。どうやら、切り替えはかなり早いようです。


「そうですね。まだ、それを教えるには、私達だけの判断ではできません。ですから、もう少し、時間をください」

「……そう。分かりました。なら、せめて、目的だけでも教えてもらえないでしょうか？　そうでなきゃ、私も動けませんし？」


　異世界から来たということは、今はまだ、教えるに値しないと判断を下した私でしたが、確かに、私達の目的はしっかりと話すべきでしょう。


「私達は、この神界を守るために行動しています。今のままでは、遠くない未来、この神界は破滅しますので、それを防ぐのが目的ですね」

「……それだけ？」


　じっと私を見つめるレレアの目は、先程までとは違い、さらに理知的な光を宿しています。そして、しっかりと物事を疑える状態ということに、少しだけ、安堵も覚えました。


「いえ、もう少し掘り下げれば、この神界が滅びてしまうと、他の神界にも凄まじい影響が出るので、それを止めるため。そして、お母様達を助けるため、ですね」


　嘘を混ぜるわけにはいかないというのは、レレアの目を見ればすぐに分かりました。もし、嘘を吐けば、レレアは私達を信用しないでしょう。だから、私は、本当のことを告げました。


「……そう、分かりました。とりあえず、嘘を吐いている様子もないですし、私も協力します。具体的には……情報提供と、戦闘時の戦力として活躍しましょうかね？」


　レレアは、私達を味方として認定してくれたようです。そして、そこから聞いたレレアの情報に、私達は揃って頭を抱えることになりました。