78 / 132
第二章 異質な神界
第七十八話 乙女ゲーム
しおりを挟む
「報告、なのですが……何方か、『おとめげーむ』なるものについての知識を持っていませんでしょうか?」
ピンク頭にとことん嫌われて、嫌がらせ、らしきものを色々とされる中、淡々と調査を続けていた私達。今日もまた、報告のために人気のない教室に集まると、ロードさんが困ったような表情で問いかけてきました。
「「『乙女ゲーム』??」」
「なぁに、それ? なんだか、とっても素敵なもののような気がするわっ」
私達は、一応、お母様から乙女ゲームがどういうものなのか教えてもらっています。ただし、あの世界に縛られていた神のロードさんやエイリーンさんに関しては、そういった別世界の娯楽に関する知識はないらしく、『乙女ゲーム』が何なのか分かっていなさそうでした。
「『乙女ゲーム』がこの歪みと何か関係がある、とでも言うんですか?」
「そこまではまだ何とも……ですが、この世界の創世神様がいらっしゃったであろう場所へ、先日、ようやく侵入することに成功しまして、そこで、これを見つけたのです」
そうして、ロードさんが出してきたのは、真っ白な一冊のノート。そこには、神界の文字で、『乙女ゲームに関する考察』と書かれています。
「……もし、これの出処がそんな場所でなければ、くだらないと捨てていたかもしれませんね」
「確かに」
私とラルフの反応に、ロードさんは戸惑っていましたが、乙女ゲームがどんなものなのかを知っていれば、こういう反応があり得るものだということも理解できるはずです。
「それで? 内容は? 何が書かれてるのよ?」
「それが、私が開けるのはここだけでした」
そうして、ロードさんが開いてみせた場所に書かれていたのは、ただ一言。
「『乙女ゲームに呑まれる』ですか……」
「「「…………」」」
乙女ゲームを知らないロードさんやエイリーンさんはもちろんですが、私やラルフでも、この言葉の意味は理解できませんでした。
「フィー、まずは、乙女ゲームの説明をしてみよう」
「そうですね、ラルフ」
二人で考えるより、四人で考えられた方が、何か発見があるかもしれない。そう思って、私達は、乙女ゲームが架空の世界で主人公が恋愛を楽しむ遊び道具だという内容を説明します。
「なるほど、要するに、物語の筋を分岐させる条件をいくつも重ねて、物語の結末を見るというものですね」
「へぇ、ちょっと変わった恋愛小説ってところかしら?」
「実際、小説がゲームになることもあるらしいので、その認識で間違ってはいませんね」
そんな話をしていると、ふと、ラルフが呟きます。
「……『悪役令嬢』って、乙女ゲームに使われる言葉じゃなかったっけ……?」
その一言で、私は、面倒なピンク頭のことを思い出したのでした。
ピンク頭にとことん嫌われて、嫌がらせ、らしきものを色々とされる中、淡々と調査を続けていた私達。今日もまた、報告のために人気のない教室に集まると、ロードさんが困ったような表情で問いかけてきました。
「「『乙女ゲーム』??」」
「なぁに、それ? なんだか、とっても素敵なもののような気がするわっ」
私達は、一応、お母様から乙女ゲームがどういうものなのか教えてもらっています。ただし、あの世界に縛られていた神のロードさんやエイリーンさんに関しては、そういった別世界の娯楽に関する知識はないらしく、『乙女ゲーム』が何なのか分かっていなさそうでした。
「『乙女ゲーム』がこの歪みと何か関係がある、とでも言うんですか?」
「そこまではまだ何とも……ですが、この世界の創世神様がいらっしゃったであろう場所へ、先日、ようやく侵入することに成功しまして、そこで、これを見つけたのです」
そうして、ロードさんが出してきたのは、真っ白な一冊のノート。そこには、神界の文字で、『乙女ゲームに関する考察』と書かれています。
「……もし、これの出処がそんな場所でなければ、くだらないと捨てていたかもしれませんね」
「確かに」
私とラルフの反応に、ロードさんは戸惑っていましたが、乙女ゲームがどんなものなのかを知っていれば、こういう反応があり得るものだということも理解できるはずです。
「それで? 内容は? 何が書かれてるのよ?」
「それが、私が開けるのはここだけでした」
そうして、ロードさんが開いてみせた場所に書かれていたのは、ただ一言。
「『乙女ゲームに呑まれる』ですか……」
「「「…………」」」
乙女ゲームを知らないロードさんやエイリーンさんはもちろんですが、私やラルフでも、この言葉の意味は理解できませんでした。
「フィー、まずは、乙女ゲームの説明をしてみよう」
「そうですね、ラルフ」
二人で考えるより、四人で考えられた方が、何か発見があるかもしれない。そう思って、私達は、乙女ゲームが架空の世界で主人公が恋愛を楽しむ遊び道具だという内容を説明します。
「なるほど、要するに、物語の筋を分岐させる条件をいくつも重ねて、物語の結末を見るというものですね」
「へぇ、ちょっと変わった恋愛小説ってところかしら?」
「実際、小説がゲームになることもあるらしいので、その認識で間違ってはいませんね」
そんな話をしていると、ふと、ラルフが呟きます。
「……『悪役令嬢』って、乙女ゲームに使われる言葉じゃなかったっけ……?」
その一言で、私は、面倒なピンク頭のことを思い出したのでした。
0
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
当て馬の悪役令嬢に転生したけど、王子達の婚約破棄ルートから脱出できました。推しのモブに溺愛されて、自由気ままに暮らします。
可児 うさこ
恋愛
生前にやりこんだ乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。しかも全ルートで王子達に婚約破棄されて処刑される、当て馬令嬢だった。王子達と遭遇しないためにイベントを回避して引きこもっていたが、ある日、王子達が結婚したと聞いた。「よっしゃ!さよなら、クソゲー!」私は家を出て、向かいに住む推しのモブに会いに行った。モブは私を溺愛してくれて、何でも願いを叶えてくれた。幸せな日々を過ごす中、姉が書いた攻略本を見つけてしまった。モブは最強の魔術師だったらしい。え、裏ルートなんてあったの?あと、なぜか王子達が押し寄せてくるんですけど!?
転生した悪役令嬢は破滅エンドを避けるため、魔法を極めたらなぜか攻略対象から溺愛されました
平山和人
恋愛
悪役令嬢のクロエは八歳の誕生日の時、ここが前世でプレイしていた乙女ゲーム『聖魔と乙女のレガリア』の世界であることを知る。
クロエに割り振られたのは、主人公を虐め、攻略対象から断罪され、破滅を迎える悪役令嬢としての人生だった。
そんな結末は絶対嫌だとクロエは敵を作らないように立ち回り、魔法を極めて断罪フラグと破滅エンドを回避しようとする。
そうしていると、なぜかクロエは家族を始め、周りの人間から溺愛されるのであった。しかも本来ならば主人公と結ばれるはずの攻略対象からも
深く愛されるクロエ。果たしてクロエの破滅エンドは回避できるのか。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる