悪役令嬢の神様ライフ

第一章 帰還と波乱

第七十二話 危機到来（フィオナ視点）

　捕まったのは、何も問題ではありませんでした。問題なのは、その後、鬼の形相と呼ばれて然るべき顔でエイリーンさんが説教をしようとした瞬間に起こった。


「あんた達ねぇ」


　エイリーンさんが言えた言葉はそこまで、次の瞬間には、私達の視界は切り替わり、だだっ広い荒れ地だけが周囲にあるという状況になっていました。


「「「っ！！？！？」」」


　咄嗟に周囲を警戒する私達。当然、この現象が私達の誰かの行いであれば、私達は気づけていたはずです。もちろん、一人だけ神ではないために例外が居ることも確かですが、それでも、そんな私達全員が、何者かによって移動させられたと認識したのは確実です。


『うむうむ、すまんのぉ。こんな風に異空間に呼び寄せてしもうて』

「その声は……」

「創世神様！？」


　どこからともなく聞こえてきたのは、創世神様の声。ラルフと私が声をあげるものの、創世神様の姿はどこにも見当たりません。


『予想以上に、事態が悪化しておるからのぉ。すまぬが、お前達の力を借りたい』

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよっ。創世神様って、ワタシ達にとって天上の存在よ！？」

「これは、予想外の事態ですね」

「竜神様、何か、俺、動けないんですけど？」

「あぁ、それは、創世神様の存在感のせいでしょう」


　エイリーンさんやロードさん、ローランさん達が戸惑いを浮かべる中、私は必死に、この異常事態の原因を考える。


（私達がやったのは、邪神の討伐……でも、もしそれが、やってはいけないことだったとしたら……？）


　もし、私達がやったことが封印されているべき邪神を討伐したということだとしたら、世界に危機が訪れようとしているのかもしれません。


『うむ……フィオナの懸念は最もじゃが、それは違う。それ以上の危機が、世界に訪れようとしておるのじゃ』


　ただ、その懸念は一蹴されて、代わりに、どうやらもっと大事なのだということを知らされてしまいました。


（……それ、私達はともかく、ローランさんは聞いても良いのでしょうか……？）

『それに伴い、ローランには神になってもらおうと思う』

「「「はっ！？」」」


　驚きの声をあげたのは、名指しされた本人とエイリーンさんとロードさん。


「そうですか。それで、世界の危機とは、どういうことでしょうか？　それに、お母様達も関わっているのでしょうか？」


　そう問いかければ、創世神様は徐に説明を始めます。その内容は、私達が予想もしなかった内容でした。