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第一章 帰還と波乱
第五十九話 お兄ちゃん達(ミーシャ視点)
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彼らがアイコンタクトを取った段階で、私は本名が分かるかどうか五分五分だろうと判断した。そして……。
「俺はアクーだ」
「僕はジークでーす」
「私は、リンクスと申します」
三人の様子を見る限り、これは偽名だろうと判断する。何せ、黄色の髪の男がジークと名乗った瞬間、アクーと名乗った男が微妙な表情で彼を見たからだ。ついでに、小さく『お前、ジークって柄じゃないだろ』と彼が呟くのも聞こえた。神の地獄耳を舐めてはいけない。
「アクーお兄ちゃんとジークお兄ちゃんとリンクスお兄ちゃんだね?」
「「「お兄ちゃん……」」」
確認のためにそれぞれの名前を呼べば、なぜか、彼らは呆然としたり、感動したりしている様子を見せる。最初に彼らに何と呼べば良いのか尋ねる際、『お兄ちゃん』という単語を使ったはずなのだが……名前つきだと、また違うのかもしれない。
「ねねっ、ナーナちゃん。もう一度、僕のことを呼んでみてくれる?」
「ん? ジークお兄ちゃん?」
「くぅっ、僕、何か変な方向に目覚めるかも?」
「目覚めるなっ、眠っとけ!」
「ジーク、あなたがそんな人だとは思いませんでした。今後の付き合いは控えさせていただきますね?」
「ちょっ、冗談ですってばっ! それに、リンクスもちょっとは反応してましたよね?」
「それは……」
「ほら、もう一度呼んでほしいんじゃないです?」
「ぐっ」
そうして、ジークが私に視線を送ってきた。指示はとっても簡単。『やれ』だ。
「リンクスお兄ちゃん?」
「くっ……」
わざと、コテンと首をかしげて尋ねてみれば、リンクスは胸を押さえてうずくまる。
(何だろう? 魅了とかは全く使ってないけど……なんか、楽しい)
「ええいっ、遊んでないで、さっさと現状把握に努めるぞ!?」
「はーい」
「はっ、すみません」
しかしまぁ、アクーの言う通り、遊んでいるわけにはいかない。
「うん、それじゃあ説明するね?」
説明内容はもちろん、全てではない。
「まず、このお城には、悪い人が居て、その人が色んな人を少しずつ操っていたの。目的までは分からないけど、それを偶然知ったお姉ちゃんが、皆を助けようとして、ここに操られていない人達だけを集めるようにしてくれたの」
「なるほど、では、あなたは案内役や説明役、といったところですか?」
「うんとね。それもあるの。ただ、今からお姉ちゃんがやることを見届けてくれる人を捜して、それを頼むのも含まれてるの」
実際には、『お姉ちゃん』なんて人は実在しない。しかし、そう言っておけば、情報を撹乱させることができるはずだ。
「犯人の目的などは分かりますか?」
だから、私は、嘘を交えながら答えを告げる。全ては、さっさとこの事件を解決して、お姉様達を捕まえるために。
「俺はアクーだ」
「僕はジークでーす」
「私は、リンクスと申します」
三人の様子を見る限り、これは偽名だろうと判断する。何せ、黄色の髪の男がジークと名乗った瞬間、アクーと名乗った男が微妙な表情で彼を見たからだ。ついでに、小さく『お前、ジークって柄じゃないだろ』と彼が呟くのも聞こえた。神の地獄耳を舐めてはいけない。
「アクーお兄ちゃんとジークお兄ちゃんとリンクスお兄ちゃんだね?」
「「「お兄ちゃん……」」」
確認のためにそれぞれの名前を呼べば、なぜか、彼らは呆然としたり、感動したりしている様子を見せる。最初に彼らに何と呼べば良いのか尋ねる際、『お兄ちゃん』という単語を使ったはずなのだが……名前つきだと、また違うのかもしれない。
「ねねっ、ナーナちゃん。もう一度、僕のことを呼んでみてくれる?」
「ん? ジークお兄ちゃん?」
「くぅっ、僕、何か変な方向に目覚めるかも?」
「目覚めるなっ、眠っとけ!」
「ジーク、あなたがそんな人だとは思いませんでした。今後の付き合いは控えさせていただきますね?」
「ちょっ、冗談ですってばっ! それに、リンクスもちょっとは反応してましたよね?」
「それは……」
「ほら、もう一度呼んでほしいんじゃないです?」
「ぐっ」
そうして、ジークが私に視線を送ってきた。指示はとっても簡単。『やれ』だ。
「リンクスお兄ちゃん?」
「くっ……」
わざと、コテンと首をかしげて尋ねてみれば、リンクスは胸を押さえてうずくまる。
(何だろう? 魅了とかは全く使ってないけど……なんか、楽しい)
「ええいっ、遊んでないで、さっさと現状把握に努めるぞ!?」
「はーい」
「はっ、すみません」
しかしまぁ、アクーの言う通り、遊んでいるわけにはいかない。
「うん、それじゃあ説明するね?」
説明内容はもちろん、全てではない。
「まず、このお城には、悪い人が居て、その人が色んな人を少しずつ操っていたの。目的までは分からないけど、それを偶然知ったお姉ちゃんが、皆を助けようとして、ここに操られていない人達だけを集めるようにしてくれたの」
「なるほど、では、あなたは案内役や説明役、といったところですか?」
「うんとね。それもあるの。ただ、今からお姉ちゃんがやることを見届けてくれる人を捜して、それを頼むのも含まれてるの」
実際には、『お姉ちゃん』なんて人は実在しない。しかし、そう言っておけば、情報を撹乱させることができるはずだ。
「犯人の目的などは分かりますか?」
だから、私は、嘘を交えながら答えを告げる。全ては、さっさとこの事件を解決して、お姉様達を捕まえるために。
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