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第一章 帰還と波乱
第十一話 不審者発見
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フィオナとルクレチア、それと、ラルフを回収した私は、早足でイリアスの元へと向かう。
イリアスの様子は常に確認しているものの、神界でほとんど一緒に居ることが多かったせいか、今、無性にイリアスを抱きしめたい気分だ。ただ、まぁ…………馬鹿というのはどこにでも居るもので。
(…………あれ、絶対不審者なんだけど)
ミーシャは今、何やら疲れたとのことで、今、ここには居ない。代わりになぜかブルブル震える騎士が二人ほどつけられている。もちろん、フィオナ達をそこら辺に放置したら、またどこかにお出かけしてしまうかもしれないので、その三人も私についてきていた。ただ、問題なのは……。
(騎士達、全然気づいてないけど、あれって、そんなに高度な魔法、かな?)
私の視線の先に居る不審者達は、どうにも先程のテロリストとかぶる赤の装備を纏っている。と、いうか、十中八九、あのテロリスト達の仲間だろう。人数は五人。そして、それぞれが認識されづらくなる程度の効果を発揮する魔法で、その姿を隠しているようだった。
(フィー達は、そもそもあれが不審者だなんて認識はないだろうし……そうなると、騎士達に気づいてほしいところだけど、多分、あの魔法のせいで見えない、のかなぁ?)
原因はそのくらいしか考えられない。と、いうわけで、以前はストレージと呼んでいた収納用の異空間から、一つの魔道具を取り出す。
「? お母様? それ、無効化君ですよね?」
「そうだね。とりあえず、出力は最小限で、範囲は……うん、これなら、周りに影響はなさそうだね」
フィオナが不思議に思うのも仕方がない。これは、私が実験に失敗した時、それが魔法によるものであれば、その全てを無効化してくれるように、という目的で作成したものなのだから。形状は、へのへのもへじが書かれた拳大の白いクッション。多分、これを作成した時の私は疲れていたのだろうけども、まぁ、仕方ない。
「出力を最小限って、そのモードを使うような魔法なら、普通に打ち消しても良いんじゃないです?」
「それでも良いけど、やっぱり、作った道具は使いたくなるでしょう?」
「なるほどです!」
私達の会話を黙って聞いているのは、ルクレチアとラルフ。道具談義になると長いということで、二人は私が道具を取り出した時は滅多に口を開かない。私としては、色々な機能を自慢したいところではあるものの、多分、神界で普通に使っていたものをそのまま使うのは不味いという良識はちゃんとあるので、それは止めておく。ちなみに、騎士達はというと、一番この道具による結果を見せたいのに、どっちが報告に行くかで揉めているらしい。
(何の報告かは知らないけど、報告するなら、これを使った後にしてほしいな……まぁ、今発動しちゃえば良いよねっ!)
そんなわけで、私はへのへのもへじなクッションを両手で挟むと、不審者にクッションの顔を向けて、ムギュっとした。
イリアスの様子は常に確認しているものの、神界でほとんど一緒に居ることが多かったせいか、今、無性にイリアスを抱きしめたい気分だ。ただ、まぁ…………馬鹿というのはどこにでも居るもので。
(…………あれ、絶対不審者なんだけど)
ミーシャは今、何やら疲れたとのことで、今、ここには居ない。代わりになぜかブルブル震える騎士が二人ほどつけられている。もちろん、フィオナ達をそこら辺に放置したら、またどこかにお出かけしてしまうかもしれないので、その三人も私についてきていた。ただ、問題なのは……。
(騎士達、全然気づいてないけど、あれって、そんなに高度な魔法、かな?)
私の視線の先に居る不審者達は、どうにも先程のテロリストとかぶる赤の装備を纏っている。と、いうか、十中八九、あのテロリスト達の仲間だろう。人数は五人。そして、それぞれが認識されづらくなる程度の効果を発揮する魔法で、その姿を隠しているようだった。
(フィー達は、そもそもあれが不審者だなんて認識はないだろうし……そうなると、騎士達に気づいてほしいところだけど、多分、あの魔法のせいで見えない、のかなぁ?)
原因はそのくらいしか考えられない。と、いうわけで、以前はストレージと呼んでいた収納用の異空間から、一つの魔道具を取り出す。
「? お母様? それ、無効化君ですよね?」
「そうだね。とりあえず、出力は最小限で、範囲は……うん、これなら、周りに影響はなさそうだね」
フィオナが不思議に思うのも仕方がない。これは、私が実験に失敗した時、それが魔法によるものであれば、その全てを無効化してくれるように、という目的で作成したものなのだから。形状は、へのへのもへじが書かれた拳大の白いクッション。多分、これを作成した時の私は疲れていたのだろうけども、まぁ、仕方ない。
「出力を最小限って、そのモードを使うような魔法なら、普通に打ち消しても良いんじゃないです?」
「それでも良いけど、やっぱり、作った道具は使いたくなるでしょう?」
「なるほどです!」
私達の会話を黙って聞いているのは、ルクレチアとラルフ。道具談義になると長いということで、二人は私が道具を取り出した時は滅多に口を開かない。私としては、色々な機能を自慢したいところではあるものの、多分、神界で普通に使っていたものをそのまま使うのは不味いという良識はちゃんとあるので、それは止めておく。ちなみに、騎士達はというと、一番この道具による結果を見せたいのに、どっちが報告に行くかで揉めているらしい。
(何の報告かは知らないけど、報告するなら、これを使った後にしてほしいな……まぁ、今発動しちゃえば良いよねっ!)
そんなわけで、私はへのへのもへじなクッションを両手で挟むと、不審者にクッションの顔を向けて、ムギュっとした。
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