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第一章 帰還と波乱
第九話 フィオナの冒険(フィオナ視点)
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はじめまして。私の名前はフィオナ・ラー・リライク。ユレイラとイリアスの一人娘です。とはいえ、年中ラブラブな二人を見て、そのうち弟か妹はできると確信しています。そして現在、私達は下界の見学に勤しんでいます。
「あっ、あれは何ですかねっ!」
「小さいけれど、建物、かしら?」
「ちょっ、ユレイラ様の言いつけを破ったら不味いでしょう? 早く戻ろうよっ」
メンバーは、ルクレチア叔母様と、私の愛する人、ラルフ・ルマンド。ルクレチア叔母様は、黄金の髪に黄金の瞳を持つ審判の神。その顔立ちは、双子ゆえに、お父様であるイリアスにとても良く似ていて、目や髪の色を除けば、たれ目かそうでないかの違いしかありません。ちなみに、タレ目なのはお父様の方で、私も、それを受け継いでいたりします。……お母様にどこもかしこも似ているとは言われますが、この目つきだけは、お父様譲りなんです。
そして、異世界の神であるラルフ・ルマンド。彼は、私が猛アタック中の神であり、同性愛者です。なぜ、同性愛者なのかと言いますと、ラルフが居た世界では、それが普通の世界であり、お母様はびーえる世界とか言っていました。ですが、諦めるつもりは毛頭ありません。アタックして、アタックして、アタックして……ラルフが折れるまで、私は戦うことをやめようとは思えないのです。
淡い新緑のふわふわとした髪に、パッチリとした可愛い黄金のお目々。まあるく愛らしい顔立ちと、白磁のように美しい肌と低く、柔らかく、心地良い声。全てにおいて、ラルフは私のお嫁さんとしてピッタシなのです。そして、そんな私に怯える姿も、とってもそそります。確か、お母様はラルフのことを『おとこのこ』と言っていましたが、ラルフは成長した姿をとっても、可愛らしさに変わりはないので、言い得て妙というやつですね。
小さな門らしきものを飛び越えてやってきたその場所には、随分とたくさんの人間が細々と動いていました。一応、驚かせてはいけないだろうと彼らに見えないようにはしていますが、小さな建物では、様々なものが並べられていて、何の役に立つのかも分かりませんが、見ていてとても楽しいものでした。
「ラルフ、デート、楽しいですねっ」
「デート? いや、僕は、そんなつもりじゃあ」
「フィーちゃんは、こういうところはユレイラ様の娘よね」
ラルフの腕にギュッと抱きつけば、ラルフは困ったように視線をさまよわせます。ですが、私のこの恋は、とても難関のものなんです。何がなんでも、ラルフを逃すわけにはいかないんです。
「こちらの世界の通貨を知らないので、また今度、お母様にお願いしてお金をもらいましょう! そうしたら、色々と買えるはずですよ!」
「い、いや、でも、働かないといけないんじゃあ?」
「何言っているんですか! もちろん、ちゃんと働きますよ! お母様にもらうのはお小遣いというやつです。私達も、まずは社会勉強をしなきゃいけないでしょう?」
ラルフは戸惑うけれど、当然、私だって働くつもりはあります。と、いうか、働くにしても、ここのお金の価値だとか、物価だとか、色々と知らなければならないことが多いので、まずは、それを実地で学ぶ体制をお母様達に整えてもらいたいだけなのです。本来は、世界の知識を学んでから下界に降りるものですが、今回は、それを知る神が二柱居るということで許可が降りたのです。それを説明すれば、ラルフは、『僕、行くこと決まってたの……?』と呆然としていました。
「当然よ。ラルフは、私の運命なんだからっ!」
そう言えば、決まってラルフは困ったような表情を浮かべます。ですが……きっと、いつの日か、その表情を笑顔に変えてみせます。努力を怠るつもりはありません。私の運命。私の愛しい人。絶対、ぜーったい、振り向かせてみせます!
この時の私は、すでに、お母様から姿を消したことがバレていることなど知らず、ただただ、ラルフのためにと燃えていましたが……見つかってこってり絞られるまで、後数分……。
「あっ、あれは何ですかねっ!」
「小さいけれど、建物、かしら?」
「ちょっ、ユレイラ様の言いつけを破ったら不味いでしょう? 早く戻ろうよっ」
メンバーは、ルクレチア叔母様と、私の愛する人、ラルフ・ルマンド。ルクレチア叔母様は、黄金の髪に黄金の瞳を持つ審判の神。その顔立ちは、双子ゆえに、お父様であるイリアスにとても良く似ていて、目や髪の色を除けば、たれ目かそうでないかの違いしかありません。ちなみに、タレ目なのはお父様の方で、私も、それを受け継いでいたりします。……お母様にどこもかしこも似ているとは言われますが、この目つきだけは、お父様譲りなんです。
そして、異世界の神であるラルフ・ルマンド。彼は、私が猛アタック中の神であり、同性愛者です。なぜ、同性愛者なのかと言いますと、ラルフが居た世界では、それが普通の世界であり、お母様はびーえる世界とか言っていました。ですが、諦めるつもりは毛頭ありません。アタックして、アタックして、アタックして……ラルフが折れるまで、私は戦うことをやめようとは思えないのです。
淡い新緑のふわふわとした髪に、パッチリとした可愛い黄金のお目々。まあるく愛らしい顔立ちと、白磁のように美しい肌と低く、柔らかく、心地良い声。全てにおいて、ラルフは私のお嫁さんとしてピッタシなのです。そして、そんな私に怯える姿も、とってもそそります。確か、お母様はラルフのことを『おとこのこ』と言っていましたが、ラルフは成長した姿をとっても、可愛らしさに変わりはないので、言い得て妙というやつですね。
小さな門らしきものを飛び越えてやってきたその場所には、随分とたくさんの人間が細々と動いていました。一応、驚かせてはいけないだろうと彼らに見えないようにはしていますが、小さな建物では、様々なものが並べられていて、何の役に立つのかも分かりませんが、見ていてとても楽しいものでした。
「ラルフ、デート、楽しいですねっ」
「デート? いや、僕は、そんなつもりじゃあ」
「フィーちゃんは、こういうところはユレイラ様の娘よね」
ラルフの腕にギュッと抱きつけば、ラルフは困ったように視線をさまよわせます。ですが、私のこの恋は、とても難関のものなんです。何がなんでも、ラルフを逃すわけにはいかないんです。
「こちらの世界の通貨を知らないので、また今度、お母様にお願いしてお金をもらいましょう! そうしたら、色々と買えるはずですよ!」
「い、いや、でも、働かないといけないんじゃあ?」
「何言っているんですか! もちろん、ちゃんと働きますよ! お母様にもらうのはお小遣いというやつです。私達も、まずは社会勉強をしなきゃいけないでしょう?」
ラルフは戸惑うけれど、当然、私だって働くつもりはあります。と、いうか、働くにしても、ここのお金の価値だとか、物価だとか、色々と知らなければならないことが多いので、まずは、それを実地で学ぶ体制をお母様達に整えてもらいたいだけなのです。本来は、世界の知識を学んでから下界に降りるものですが、今回は、それを知る神が二柱居るということで許可が降りたのです。それを説明すれば、ラルフは、『僕、行くこと決まってたの……?』と呆然としていました。
「当然よ。ラルフは、私の運命なんだからっ!」
そう言えば、決まってラルフは困ったような表情を浮かべます。ですが……きっと、いつの日か、その表情を笑顔に変えてみせます。努力を怠るつもりはありません。私の運命。私の愛しい人。絶対、ぜーったい、振り向かせてみせます!
この時の私は、すでに、お母様から姿を消したことがバレていることなど知らず、ただただ、ラルフのためにと燃えていましたが……見つかってこってり絞られるまで、後数分……。
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