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第一章 どうして魔族なんかに……
第二十五話 魔族の国へ(ゲイン視点)
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俺が前世の記憶を思い出したのは、成人してからだった。
明らかに日本とは異なる国。いや、そもそも魔法が存在している時点で、地球ですらない世界に転生したと分かった時は、そこそこ興奮した。
俺が生まれた家は、ログデン侯爵家。そこの四男として育った俺は、すでに家ぐるみで様々な悪事に手を染めていた。
特に、違法とされる奴隷を手に入れて、そいつを嬲る時の快感は、日本ではあり得なかったものだ。
「ゲイン。また、女の奴隷を壊したのか?」
「あー、今回は保った方だと思うが、つい、力が入ったみたいだ。悪いな、兄さん」
「男の方が長持ちするぞ?」
「いや、俺の趣味じゃないから」
俺の上にいる三人の兄のうち、次男であるガイは、俺とは違って男の奴隷を好む。確かに、男の方が体力もあるし、長持ちしやすいのだろうが、男色家ではないため、そちらの方へは食指が動かない。
「そうか。ただ、気をつけろ。最近、ヴァイラン魔国が違法奴隷市の取り締まりを厳しくした影響で、こちらの国まで取り締まりが強化されている。奴隷が中々手に入らない状況になりかねないから、もう少し保たせるように努力しておけ」
「そういえば、そうだったな。傍迷惑なことだよ。まったく……」
いかに侯爵家とはいえ、魔族の国と敵対するのは不可能だ。そんなことになれば、侯爵家そのものがこの国の王から潰される。それほどに、魔族は脅威なのだ。
「ほどほどにしておけよ。それと、来週、ヴァイラン魔国への視察予定が入っているのだが、お前も一緒にどうだ?」
「視察って……店を開けるかどうか、だよな?」
「そうだ。無理だとは思うが、一応、な」
奴隷市を魔族の国で開くなど、無謀でしかない。しかし、それでも視察する、ということは何かあるのだろう。
「行く。それに、魔族は美しいと聞くしな」
魔族は、片翼のために努力を惜しまない。それは当然、外見に関することでもそうだ。そのため、魔族は美しいというのが一般的だった。
そうして決めた、ヴァイラン魔国への視察旅行。そこでまさか、前世の恋人と会うことになるなど、夢にも思っていなかった。
明らかに日本とは異なる国。いや、そもそも魔法が存在している時点で、地球ですらない世界に転生したと分かった時は、そこそこ興奮した。
俺が生まれた家は、ログデン侯爵家。そこの四男として育った俺は、すでに家ぐるみで様々な悪事に手を染めていた。
特に、違法とされる奴隷を手に入れて、そいつを嬲る時の快感は、日本ではあり得なかったものだ。
「ゲイン。また、女の奴隷を壊したのか?」
「あー、今回は保った方だと思うが、つい、力が入ったみたいだ。悪いな、兄さん」
「男の方が長持ちするぞ?」
「いや、俺の趣味じゃないから」
俺の上にいる三人の兄のうち、次男であるガイは、俺とは違って男の奴隷を好む。確かに、男の方が体力もあるし、長持ちしやすいのだろうが、男色家ではないため、そちらの方へは食指が動かない。
「そうか。ただ、気をつけろ。最近、ヴァイラン魔国が違法奴隷市の取り締まりを厳しくした影響で、こちらの国まで取り締まりが強化されている。奴隷が中々手に入らない状況になりかねないから、もう少し保たせるように努力しておけ」
「そういえば、そうだったな。傍迷惑なことだよ。まったく……」
いかに侯爵家とはいえ、魔族の国と敵対するのは不可能だ。そんなことになれば、侯爵家そのものがこの国の王から潰される。それほどに、魔族は脅威なのだ。
「ほどほどにしておけよ。それと、来週、ヴァイラン魔国への視察予定が入っているのだが、お前も一緒にどうだ?」
「視察って……店を開けるかどうか、だよな?」
「そうだ。無理だとは思うが、一応、な」
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「行く。それに、魔族は美しいと聞くしな」
魔族は、片翼のために努力を惜しまない。それは当然、外見に関することでもそうだ。そのため、魔族は美しいというのが一般的だった。
そうして決めた、ヴァイラン魔国への視察旅行。そこでまさか、前世の恋人と会うことになるなど、夢にも思っていなかった。
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