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前々日の夜(二)
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屹立した肉棒が膣口を舐(ねぶ)る。指はさらに肉芽を嬲る。快楽がもたらされるたび、愛液が泉のように溢れてくる。
「嫌だ」も「ダメ」も聞き届けてもらえない。涙が溢れてくる。
「美味しい、由美」
余ったホイップクリームが胸に落とされて、亮太がそれを舐める。クリームの冷たさと、亮太の舌の熱さが、私の思考をドロドロに溶かしていく。
「本当は肉とかが食べたいんだけど」
「あぁ、いや、っ、あ」
「ん、美味しい」
エプロンとショーツは剥ぎ取られ、ブラウスはボタンがぜんぶ外され、ブラとスカートはまだ引っかかったまま。ブラもブラウスもクリームでベタベタだ。
「そろそろ挿入て欲しくなった?」
クリームを頬につけたまま、ニヤリと亮太は笑って私を見上げてくる。
「だ、めぇ」
「嘘ばっかり。濡れすぎだよ、もう。挿入て欲しくて仕方ないでしょ、由美」
唇を噛む。
許して。やめて。
もう、思考回路が焼き切れてしまいそう。
だらしなく開いた口からは甘い嬌声しか出てこない。止めることができない。
ダメだ、やめて、と言いながら、早く挿入て欲しいと心のどこかで思っている。
「ほら、由美」
クリームを指につけ、私の口に無理やり押し込んで、亮太は笑う。
「おねだりしてごらん」
口に広がる甘い味。ぐずぐずになってしまった頭ではもう本能に従うしかない。亮太の甘い中指を舐めて、クリームを吸う。裏切りの味だ。
亮太は満足そうに目を細めて、ぬるぬると肉棒を膣口に宛てがう。
「由美、もう我慢しなくていいよ」
「ん、ふ、あぁ……」
「気持ち良くさせてあげる。さあ」
あぁ、ダメ……とろける。
隆也さん、隆也さん……ごめん、なさい。
亮太を見上げて、手を伸ばす。亮太の頬は上気して熱い。そのまま、亮太の首の後ろまで手を伸ばして――引き寄せる。
「……て」
「うん?」
「……いれ、て?」
ごめんなさい。
亮太の太くて硬い肉棒が一気に突き立てられる。体が歓喜に震える。奥まで届くその熱い質量に、私はもう嬌声を我慢することができない。ダメなのに、気持ちいい。
「あぁあっ!」
「っあ、相変わらず気持ちいいな、由美の中」
ごめんなさい。
肉襞を堪能するように亮太が膣口の近くを擦り、ゆっくりと奥まで挿入ってくる。亀頭が子宮口を強く擦り上げると、根元までしっかり咥え込んでいる私の膣内が、快感を逃さないようにと収縮する。
「由美」
「や、やぁ、だ、っ」
ごめんなさい。
唇を噛んで声を我慢しても、どうしても漏れてしまう。亮太は目を細めて私の痴態を見下ろす。
「ふ、あ、っ、つ、や」
「イキたい? イカせてもらってないんでしょ? 由美の中は俺のでしかイケないから」
ごめんなさい。
膣口の少し奥の襞を亀頭が擦る。それだけなのに、一気に高められてしまう。亮太は私の一番気持ちいい場所を知っている。
「由美、我慢しなくていいから」
「や、だ、あ、あぁ、っん」
ごめんなさい。
ゆるゆると膣壁を擦られ、たまに奥に穿たれ、徐々に体の奥に熱が生まれる。苦しい。早く解放して欲しい。
「っ、あ、ふ、あ、あぁ」
「由美、いいよ。連れていってあげる」
ごめんなさい。
もっと欲しい。もっと奥まできて欲しい。もっと強く、乱暴に、揺すって、欲しい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
「おいで」
ごめ――。
「――ッ、あああぁ!」
肉芽を強く弾かれると、だめ。白い光が爆ぜる。亮太の太くて硬い肉棒をぎゅうと締め上げて――快感に身を委ねる。
だめ、気持ちいい……。
「あ、っ、あ……」
何度も何度も収縮を繰り返しながら、快楽の波は緩やかに収まる。
その間、亮太は動かない。痙攣が収まるまで、恍惚の笑みを浮かべながら、私の痴態をじっと見つめている。
「気持ち良かったね? じゃあ、俺もイクよ」
引き抜かれるかと思うくらいまで腰を引いて、一気に奥まで熱を埋め込まれる。イッたばかりで敏感な膣壁が甘い痺れを誘う。
「あ、だめ、りょ、た」
「うん?」
「ピル、飲んで、な……っ、あ!」
亮太と別れてからピルを飲むのをやめた。隆也さんはきちんと避妊してくれたから、必要がなかったのだ。
「ピル飲むのやめたの?」
「うん、うん、だか、やめ……」
「それは好都合」
亮太は嬉しそうに笑って、ぐりぐりと子宮口を抉る。
「っあ、や、やぁっ」
「由美、前の生理から何日目?」
ドロドロにとろけ切った頭で考える。二週間? 三週間? ゾッとする。
ダメだ、ダメだ、それは、ダメ!
「や、やだ、ダメ、ダメっ」
「危ないんだね? でも、やめないから。中に出すから」
ゆるして。お願い、それだけは。
溢れる涙は、亮太の指ですくい取られる。腰を捻って逃げようとしても、力では敵わない。肩を押して突っ張っていた私の腕はマットに押さえつけられて、さらに身動きが取れなくなる。
「逃げないと、孕むよ? 濃いのをたくさん由美の奥に出してあげる」
「いや、やめ、あっあ」
逃げようにも逃げられない。体が動かない。それどころか、亮太の言葉を聞いて、一層体が熱くなる。燻っていたはずなのに、また火が点いたかのように。
「由美、締めないで。すぐイッちゃう」
「や、や、あ、んっ」
「そんなに欲しいの? 仕方ないね」
私を絶望の淵に追いやって、亮太は腰の動きを速める。とろけ切った膣壁を擦り、奥に、奥に、何度も穿たれる。
「っあ、イク……由美、受けとめて」
「あっ、ああぁ」
亮太の肉棒が張りつめ、最奥で精を放つ。熱が吐き出される感覚を、私の中はしっかりと覚えている。
目を閉じて快感に震えている亮太が、何度も腰を揺する。そのたびに私の体は震える。その長い時間と回数に、吐き出された精液の量を想像してゾッとする。
「由美の中は気持ちいい」
落ちてくる甘い声と甘いキス。酷い。少し痩せたけど、性格はちっとも変わっていない。酷い。
「気持ちいいから、まだイケそう」
ぐずぐずになった結合部分で、亮太の肉棒は未だ熱を帯び、硬さを保っている。その意味に気づいて、恐怖する。
「由美、上がいい? 後ろからがいい? 座るのもいいけど、中の精液が出ちゃうから、今はやめておこうね」
「や、やだ、抜いて、抜いてっ」
「何、言ってるの。繋がったまま、今から二回目だよ」
ぶんぶんと頭を振る。
そんなことをされたら壊れてしまう。体も心も。
いやだ。やめて。だって、私は、隆也さんのことが。
「由美」
耳元で聞こえた低音に、背中がしなる。助けて。助けて。
耳から頬、そして唇にキスを落として、亮太は甘い言葉を植え付けていく。
「いい子だね。由美の体はちゃんと俺のことを覚えていたね」
「……」
「もっと深くイキたいでしょ? もっと気持ち良くなりたいでしょ?」
乳輪を、円を描くように舌で舐めて、クリームを取っていく。舐め取りながら、肌の上、ところどころに赤い痕と歯型を残していく。
酷い。明日隆也さんになんて言えばいいの。
「指輪、買っていないの?」
「……結婚、指輪だけ」
「そう。入籍はいつ? 式と同じ日?」
頷くと、亮太はニッと笑った。
ゆるゆるとした緩慢な動きでさえ、気持ちいい。決定的な刺激を与えないで、ゆっくり繋がるつもりのようだ。
「ねぇ、由美」
「……」
「由美、愛してる」
なんで、今さら、そんなことを。
「結婚しようか」
「っ!?」
驚いて目を見開くと、いつの間にどこから取り出したのか、銀色の輪っかを亮太が差し出してきた。
「サイズ変わってないみたいだから、合うと思うよ。つけてあげる」
力の入らない私の左手を持ち上げて、亮太は薬指にリングをはめた。リングはぴったり、左手薬指に収まる。
「結婚指輪ね、それ」
「なん、で」
「婚約指輪も欲しかった? 由美はワガママだなぁ。じゃああとで作ってあげるよ」
「ち、ちが」
別れたはずの元カレから求婚されている今の状況がわからない。とろけた体が思考の邪魔をする。
「じゃあ、動かすよ」
「っひ!」
いきなり膣内から熱が抜き去られる。ドロリと精液と愛液が混じった体液が溢れてくる。片足を上げられてくるりと体を引っ繰り返されると、マットが目の前に見えた。
ぐっと腰を持ち上げられ、もっと気持ち良くなりたいとひくつく孔に、再度楔が穿たれる。
「あぁっ!」
「……っ、相変わらず後ろからだとキツいな」
性急な体位変換は、精液が出ないように押し留めるためのものだろう。
私の腰を強くつかんで、亮太は「あぁ」と甘いため息を吐く。
「気持ちいい……すぐ出そう」
亮太にとって私は元カノだという認識ではないようだ。まだ付き合っている彼女だと思われている。
困った。
明日は土曜日だから、産婦人科は開いているはず。午前中にアフターピルを処方してもらうとして……この人をどうしよう。
「あっ、あ、ん、ん、っ」
目の前に指輪が見える。シンプルなラインの指輪。小さいけれど、ダイヤモンドとペリドットが嵌っている。
ペリドット、八月の誕生石。誕生日を覚えていてくれたのかと思って、それに驚く。
「由美、由美」
背後から求められると、ぞくぞくする。後ろから、は私も亮太も好きな体位。私は「犯されている」みたいで、亮太は「犯している」みたいで、一気に高まるのだ。
隆也さんとは、正常位がほとんど。淡白なのか、性欲が乏しいのか、彼はあまり私を求めてこない。半年でセックスをしたのは四回。片手で足りる。一緒にいられるだけでいい、というのが彼の口癖だ。
気持ちよくさせてあげたいと思ってフェラをしようとしたら、強く拒否されたこともある。曰く、「そんなことさせられない」のだと。
亮太との乱暴なセックスに慣れてしまっていた私には、隆也さんのそこだけが、不満だった。それ以外は不満なんてないのに。すごくいい人なのに。
私が、きっと、普通じゃないのだ。
「りょ、た……あっ、ん」
「ん? どうしたの?」
膣口でずぶずぶと動く亀頭に、私は嬌声を押し殺して「おねだり」する。
「っねがい、りょう、たぁ……奥に」
「うん?」
「奥まで、来てっ」
入口の近くでちょっと焦らされていただけで、我慢できなくなる。奥まで欲しい。奥に欲しい。
「いいよ。あげる」
「っは、あああ……」
ぐちょぐちょと体液が混ざり合い、思考を溶かす。ただの雄と雌になって、本能のままに抱き合い、一つになってしまいたい。
奥に到達した亀頭が、違う角度で子宮口を抉る。ぐっ、ぐっ、と腰を押し付けて、亮太は笑う。
「あぁ、気持ちいい……由美、一緒にイク?」
うんうんと頷くと、亮太がのしかかってきた。背中の少し下のあたりに亮太の胸。指が内股を撫で、肉芽を潰す。もう片方の指が乳首を掠める。びくびくと体が跳ねても、亮太の重みで押し戻される。
「俺と結婚する?」
イヤイヤと頭を振ると、「じゃあ、イカせてあげない」と手も腰も止められてしまう。酷い。こんな体にしておいて、酷い。
火照った体を持て余してしまって、さっきとは違う理由で涙が溢れる。
「強情だね、由美は。体はこんなに素直なのに」
手と腰を止められても、肉襞はひくひく収縮している。だからこそ、亮太には中の様子がつぶさにわかるらしく、「締めないで」と笑われる。
「里中さんと結婚するの?」
「……っえ?」
なんで、隆也さんの名前――?
「あ、そろそろ出すよ」
止められていた指がまた動く。肉芽をくにくにと捏ねられると、膣奥が疼く。その奥に亮太の先端が当たり、快楽が誘発される。震えるほど気持ちいい。
あ、だめ、イッちゃう――!
「あぁぁっ!」
「っく……」
亮太の腰の動きが一瞬の間のあと、穏やかになる。一緒にイッてしまったみたいだ。
ため息を吐き出しながらぴったりと背中に張り付いてきて、亮太は笑う。
「はぁー、やっぱり由美の中が一番だ」
……誰と比べて?
「一年ずっと右手ばっかりだったから……はぁ、ほんと好き」
好きなら、どうして。
言いかけた言葉は飲み込む。言う必要はない。亮太とはもう――。
「亮太」
「うん?」
「もう、うちには来ないで。鍵返して。私は結婚するの」
「里中さんと?」
そう。里中隆也さんと私の誕生日に結婚するの。もう決めたことなの。
ずるりと熱が抜けると、びくりと体が震える。ぼとりと体液が落ちてくる。マットではなく、いつの間にか敷かれていたエプロンがそれを受け止める。白濁液がエプロンを汚す。
それを見て、亮太は「あーあ」と呟いてティッシュを探す。
「……新しいエプロン、買ってくるよ」
「だから――」
「由美は俺と結婚するよ。里中さんと結婚しても、由美は幸せになれない」
なんで、里中さんを知っているの?
なんで、そんなこと言うの?
なんで、なんで。
うまく頭が回らない。
「だったら、どうして、私の前からいなくなったりしたの?」
涙が溢れて止まらない。一度飲み込もうとした言葉が、出てきてしまった。
一年も前に突然、家から出ていって、連絡も取れなくなった恋人を、どれだけ心配して、どれだけ嘆いたことか、亮太にはわからない。
なんで、今、現れるの?
なんで、そんなに、いつも通りなの?
亮太の顔が悲しみに歪む。
「私、もう、亮太を信じられない」
「……そう、だよね」
「指輪は返すから、鍵を返して」
「それはできない」
ボロボロと涙が溢れて零れる。陰部から流れ出る体液がエプロンを汚す。何なの、もう。
「クリームでベトベト。美味しかったけど。お風呂、入る?」
自分の家のような気軽さで亮太が尋ねてくるものだから、私はため息をつくしかない。
「ほんと、何なの!?」
「嫌だ」も「ダメ」も聞き届けてもらえない。涙が溢れてくる。
「美味しい、由美」
余ったホイップクリームが胸に落とされて、亮太がそれを舐める。クリームの冷たさと、亮太の舌の熱さが、私の思考をドロドロに溶かしていく。
「本当は肉とかが食べたいんだけど」
「あぁ、いや、っ、あ」
「ん、美味しい」
エプロンとショーツは剥ぎ取られ、ブラウスはボタンがぜんぶ外され、ブラとスカートはまだ引っかかったまま。ブラもブラウスもクリームでベタベタだ。
「そろそろ挿入て欲しくなった?」
クリームを頬につけたまま、ニヤリと亮太は笑って私を見上げてくる。
「だ、めぇ」
「嘘ばっかり。濡れすぎだよ、もう。挿入て欲しくて仕方ないでしょ、由美」
唇を噛む。
許して。やめて。
もう、思考回路が焼き切れてしまいそう。
だらしなく開いた口からは甘い嬌声しか出てこない。止めることができない。
ダメだ、やめて、と言いながら、早く挿入て欲しいと心のどこかで思っている。
「ほら、由美」
クリームを指につけ、私の口に無理やり押し込んで、亮太は笑う。
「おねだりしてごらん」
口に広がる甘い味。ぐずぐずになってしまった頭ではもう本能に従うしかない。亮太の甘い中指を舐めて、クリームを吸う。裏切りの味だ。
亮太は満足そうに目を細めて、ぬるぬると肉棒を膣口に宛てがう。
「由美、もう我慢しなくていいよ」
「ん、ふ、あぁ……」
「気持ち良くさせてあげる。さあ」
あぁ、ダメ……とろける。
隆也さん、隆也さん……ごめん、なさい。
亮太を見上げて、手を伸ばす。亮太の頬は上気して熱い。そのまま、亮太の首の後ろまで手を伸ばして――引き寄せる。
「……て」
「うん?」
「……いれ、て?」
ごめんなさい。
亮太の太くて硬い肉棒が一気に突き立てられる。体が歓喜に震える。奥まで届くその熱い質量に、私はもう嬌声を我慢することができない。ダメなのに、気持ちいい。
「あぁあっ!」
「っあ、相変わらず気持ちいいな、由美の中」
ごめんなさい。
肉襞を堪能するように亮太が膣口の近くを擦り、ゆっくりと奥まで挿入ってくる。亀頭が子宮口を強く擦り上げると、根元までしっかり咥え込んでいる私の膣内が、快感を逃さないようにと収縮する。
「由美」
「や、やぁ、だ、っ」
ごめんなさい。
唇を噛んで声を我慢しても、どうしても漏れてしまう。亮太は目を細めて私の痴態を見下ろす。
「ふ、あ、っ、つ、や」
「イキたい? イカせてもらってないんでしょ? 由美の中は俺のでしかイケないから」
ごめんなさい。
膣口の少し奥の襞を亀頭が擦る。それだけなのに、一気に高められてしまう。亮太は私の一番気持ちいい場所を知っている。
「由美、我慢しなくていいから」
「や、だ、あ、あぁ、っん」
ごめんなさい。
ゆるゆると膣壁を擦られ、たまに奥に穿たれ、徐々に体の奥に熱が生まれる。苦しい。早く解放して欲しい。
「っ、あ、ふ、あ、あぁ」
「由美、いいよ。連れていってあげる」
ごめんなさい。
もっと欲しい。もっと奥まできて欲しい。もっと強く、乱暴に、揺すって、欲しい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
「おいで」
ごめ――。
「――ッ、あああぁ!」
肉芽を強く弾かれると、だめ。白い光が爆ぜる。亮太の太くて硬い肉棒をぎゅうと締め上げて――快感に身を委ねる。
だめ、気持ちいい……。
「あ、っ、あ……」
何度も何度も収縮を繰り返しながら、快楽の波は緩やかに収まる。
その間、亮太は動かない。痙攣が収まるまで、恍惚の笑みを浮かべながら、私の痴態をじっと見つめている。
「気持ち良かったね? じゃあ、俺もイクよ」
引き抜かれるかと思うくらいまで腰を引いて、一気に奥まで熱を埋め込まれる。イッたばかりで敏感な膣壁が甘い痺れを誘う。
「あ、だめ、りょ、た」
「うん?」
「ピル、飲んで、な……っ、あ!」
亮太と別れてからピルを飲むのをやめた。隆也さんはきちんと避妊してくれたから、必要がなかったのだ。
「ピル飲むのやめたの?」
「うん、うん、だか、やめ……」
「それは好都合」
亮太は嬉しそうに笑って、ぐりぐりと子宮口を抉る。
「っあ、や、やぁっ」
「由美、前の生理から何日目?」
ドロドロにとろけ切った頭で考える。二週間? 三週間? ゾッとする。
ダメだ、ダメだ、それは、ダメ!
「や、やだ、ダメ、ダメっ」
「危ないんだね? でも、やめないから。中に出すから」
ゆるして。お願い、それだけは。
溢れる涙は、亮太の指ですくい取られる。腰を捻って逃げようとしても、力では敵わない。肩を押して突っ張っていた私の腕はマットに押さえつけられて、さらに身動きが取れなくなる。
「逃げないと、孕むよ? 濃いのをたくさん由美の奥に出してあげる」
「いや、やめ、あっあ」
逃げようにも逃げられない。体が動かない。それどころか、亮太の言葉を聞いて、一層体が熱くなる。燻っていたはずなのに、また火が点いたかのように。
「由美、締めないで。すぐイッちゃう」
「や、や、あ、んっ」
「そんなに欲しいの? 仕方ないね」
私を絶望の淵に追いやって、亮太は腰の動きを速める。とろけ切った膣壁を擦り、奥に、奥に、何度も穿たれる。
「っあ、イク……由美、受けとめて」
「あっ、ああぁ」
亮太の肉棒が張りつめ、最奥で精を放つ。熱が吐き出される感覚を、私の中はしっかりと覚えている。
目を閉じて快感に震えている亮太が、何度も腰を揺する。そのたびに私の体は震える。その長い時間と回数に、吐き出された精液の量を想像してゾッとする。
「由美の中は気持ちいい」
落ちてくる甘い声と甘いキス。酷い。少し痩せたけど、性格はちっとも変わっていない。酷い。
「気持ちいいから、まだイケそう」
ぐずぐずになった結合部分で、亮太の肉棒は未だ熱を帯び、硬さを保っている。その意味に気づいて、恐怖する。
「由美、上がいい? 後ろからがいい? 座るのもいいけど、中の精液が出ちゃうから、今はやめておこうね」
「や、やだ、抜いて、抜いてっ」
「何、言ってるの。繋がったまま、今から二回目だよ」
ぶんぶんと頭を振る。
そんなことをされたら壊れてしまう。体も心も。
いやだ。やめて。だって、私は、隆也さんのことが。
「由美」
耳元で聞こえた低音に、背中がしなる。助けて。助けて。
耳から頬、そして唇にキスを落として、亮太は甘い言葉を植え付けていく。
「いい子だね。由美の体はちゃんと俺のことを覚えていたね」
「……」
「もっと深くイキたいでしょ? もっと気持ち良くなりたいでしょ?」
乳輪を、円を描くように舌で舐めて、クリームを取っていく。舐め取りながら、肌の上、ところどころに赤い痕と歯型を残していく。
酷い。明日隆也さんになんて言えばいいの。
「指輪、買っていないの?」
「……結婚、指輪だけ」
「そう。入籍はいつ? 式と同じ日?」
頷くと、亮太はニッと笑った。
ゆるゆるとした緩慢な動きでさえ、気持ちいい。決定的な刺激を与えないで、ゆっくり繋がるつもりのようだ。
「ねぇ、由美」
「……」
「由美、愛してる」
なんで、今さら、そんなことを。
「結婚しようか」
「っ!?」
驚いて目を見開くと、いつの間にどこから取り出したのか、銀色の輪っかを亮太が差し出してきた。
「サイズ変わってないみたいだから、合うと思うよ。つけてあげる」
力の入らない私の左手を持ち上げて、亮太は薬指にリングをはめた。リングはぴったり、左手薬指に収まる。
「結婚指輪ね、それ」
「なん、で」
「婚約指輪も欲しかった? 由美はワガママだなぁ。じゃああとで作ってあげるよ」
「ち、ちが」
別れたはずの元カレから求婚されている今の状況がわからない。とろけた体が思考の邪魔をする。
「じゃあ、動かすよ」
「っひ!」
いきなり膣内から熱が抜き去られる。ドロリと精液と愛液が混じった体液が溢れてくる。片足を上げられてくるりと体を引っ繰り返されると、マットが目の前に見えた。
ぐっと腰を持ち上げられ、もっと気持ち良くなりたいとひくつく孔に、再度楔が穿たれる。
「あぁっ!」
「……っ、相変わらず後ろからだとキツいな」
性急な体位変換は、精液が出ないように押し留めるためのものだろう。
私の腰を強くつかんで、亮太は「あぁ」と甘いため息を吐く。
「気持ちいい……すぐ出そう」
亮太にとって私は元カノだという認識ではないようだ。まだ付き合っている彼女だと思われている。
困った。
明日は土曜日だから、産婦人科は開いているはず。午前中にアフターピルを処方してもらうとして……この人をどうしよう。
「あっ、あ、ん、ん、っ」
目の前に指輪が見える。シンプルなラインの指輪。小さいけれど、ダイヤモンドとペリドットが嵌っている。
ペリドット、八月の誕生石。誕生日を覚えていてくれたのかと思って、それに驚く。
「由美、由美」
背後から求められると、ぞくぞくする。後ろから、は私も亮太も好きな体位。私は「犯されている」みたいで、亮太は「犯している」みたいで、一気に高まるのだ。
隆也さんとは、正常位がほとんど。淡白なのか、性欲が乏しいのか、彼はあまり私を求めてこない。半年でセックスをしたのは四回。片手で足りる。一緒にいられるだけでいい、というのが彼の口癖だ。
気持ちよくさせてあげたいと思ってフェラをしようとしたら、強く拒否されたこともある。曰く、「そんなことさせられない」のだと。
亮太との乱暴なセックスに慣れてしまっていた私には、隆也さんのそこだけが、不満だった。それ以外は不満なんてないのに。すごくいい人なのに。
私が、きっと、普通じゃないのだ。
「りょ、た……あっ、ん」
「ん? どうしたの?」
膣口でずぶずぶと動く亀頭に、私は嬌声を押し殺して「おねだり」する。
「っねがい、りょう、たぁ……奥に」
「うん?」
「奥まで、来てっ」
入口の近くでちょっと焦らされていただけで、我慢できなくなる。奥まで欲しい。奥に欲しい。
「いいよ。あげる」
「っは、あああ……」
ぐちょぐちょと体液が混ざり合い、思考を溶かす。ただの雄と雌になって、本能のままに抱き合い、一つになってしまいたい。
奥に到達した亀頭が、違う角度で子宮口を抉る。ぐっ、ぐっ、と腰を押し付けて、亮太は笑う。
「あぁ、気持ちいい……由美、一緒にイク?」
うんうんと頷くと、亮太がのしかかってきた。背中の少し下のあたりに亮太の胸。指が内股を撫で、肉芽を潰す。もう片方の指が乳首を掠める。びくびくと体が跳ねても、亮太の重みで押し戻される。
「俺と結婚する?」
イヤイヤと頭を振ると、「じゃあ、イカせてあげない」と手も腰も止められてしまう。酷い。こんな体にしておいて、酷い。
火照った体を持て余してしまって、さっきとは違う理由で涙が溢れる。
「強情だね、由美は。体はこんなに素直なのに」
手と腰を止められても、肉襞はひくひく収縮している。だからこそ、亮太には中の様子がつぶさにわかるらしく、「締めないで」と笑われる。
「里中さんと結婚するの?」
「……っえ?」
なんで、隆也さんの名前――?
「あ、そろそろ出すよ」
止められていた指がまた動く。肉芽をくにくにと捏ねられると、膣奥が疼く。その奥に亮太の先端が当たり、快楽が誘発される。震えるほど気持ちいい。
あ、だめ、イッちゃう――!
「あぁぁっ!」
「っく……」
亮太の腰の動きが一瞬の間のあと、穏やかになる。一緒にイッてしまったみたいだ。
ため息を吐き出しながらぴったりと背中に張り付いてきて、亮太は笑う。
「はぁー、やっぱり由美の中が一番だ」
……誰と比べて?
「一年ずっと右手ばっかりだったから……はぁ、ほんと好き」
好きなら、どうして。
言いかけた言葉は飲み込む。言う必要はない。亮太とはもう――。
「亮太」
「うん?」
「もう、うちには来ないで。鍵返して。私は結婚するの」
「里中さんと?」
そう。里中隆也さんと私の誕生日に結婚するの。もう決めたことなの。
ずるりと熱が抜けると、びくりと体が震える。ぼとりと体液が落ちてくる。マットではなく、いつの間にか敷かれていたエプロンがそれを受け止める。白濁液がエプロンを汚す。
それを見て、亮太は「あーあ」と呟いてティッシュを探す。
「……新しいエプロン、買ってくるよ」
「だから――」
「由美は俺と結婚するよ。里中さんと結婚しても、由美は幸せになれない」
なんで、里中さんを知っているの?
なんで、そんなこと言うの?
なんで、なんで。
うまく頭が回らない。
「だったら、どうして、私の前からいなくなったりしたの?」
涙が溢れて止まらない。一度飲み込もうとした言葉が、出てきてしまった。
一年も前に突然、家から出ていって、連絡も取れなくなった恋人を、どれだけ心配して、どれだけ嘆いたことか、亮太にはわからない。
なんで、今、現れるの?
なんで、そんなに、いつも通りなの?
亮太の顔が悲しみに歪む。
「私、もう、亮太を信じられない」
「……そう、だよね」
「指輪は返すから、鍵を返して」
「それはできない」
ボロボロと涙が溢れて零れる。陰部から流れ出る体液がエプロンを汚す。何なの、もう。
「クリームでベトベト。美味しかったけど。お風呂、入る?」
自分の家のような気軽さで亮太が尋ねてくるものだから、私はため息をつくしかない。
「ほんと、何なの!?」
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状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
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