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15話、姉。

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「姉ちゃんの中に挿れたい。挿れさせて?」

 ショウの切ない声に、じわじわと下腹部が潤み、私はどうにかなってしまいそうだ。
 背徳に身を委ねたら、私はどうなってしまうのだろう。
 一時の感情で、一生消えることのない秘密と罪悪感を背負うことになるのなら、その代償ははるかに重い。

「お願い」

 眉を下げた、ショウの切なげな顔。
 あぁ、私は。
 困ったことに、それでも。
 この人が好きなんだ。

「……ゴム、つけてね?」

 そう小さく主張するのが、精一杯だった。

 ショウは一瞬目を見開いたあと、柔らかな笑みを浮かべる。
 そして、私の両手を押さえつけていた左手を離し、私の秘部からも右手を引き抜いた。満たされていた部分から何か足りなくなった気分で、寂しくなる。
 そんな私の表情を知ってか、ショウはぐいと私を抱きしめる。
 厚い胸板に、ドキドキする。

「ありがとう、姉ちゃん」

 ショウのバイト先の居酒屋の、油と食べ物の混ざった複雑な匂いがする。

「ちょっと待ってて」

 ソファに私を残したまま、ショウは一旦寝室に入り、すぐに出てきた。手には小さな箱。何が入っているのか、想像して恥ずかしくなる。

「な、なんで、持ってるの?」
「男だからね」

 箱の中身を手早く取り出すと、ショウはそのまま私に覆いかぶさって、触れるだけの口づけを落とす。
 視線が交わり、お互いようやく笑みを浮かべる。

「使ったことあるの?」

 ショウは笑顔のまま、私の質問には応じることなく、首筋に唇を這わせていく。この、慣れた感じ。ショウは誰か女の子を抱いたことがあるみたいだ。
 ちょっとだけ、イヤな気持ちになる。
 ショウの過去に嫉妬したところで、何かが変わるわけではないのに。

「っあ」

 ショウが鎖骨に歯を立てる。痛い。

「余計なこと考えないで」
「……はい」

 ショウは私の体のそこかしこにキスを落としていく。くすぐったいような、心地よい感触。
 タンクトップの上からも指と舌を這わせていく。
 胸を指でするすると撫でられると、腰が浮きそうになる。

「あっ、つ」
「いいよ、声出して」
「や……はずかし」

 ショウの手のひらが胸をさわさわと触る。布越しの刺激でこんなにも気持ちがいいなんて、ダメだ。
 じかに触られたら、どうなってしまうの?

 怖い。
 ショウに、私の恥ずかしいところがいろいろと暴かれていくようで、怖い。
 怖いよ。

「大丈夫、そんなに固くならないで」

 耳元に、ショウの優しい声。

「優しくするし、痛くもしないから、姉ちゃんはただ、俺に任せて」

 うぅ、お任せ、します。
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