souls game

文月

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29.友だちが増えるって素敵です。(side 梛木)

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 男なんだか女なんだか分からないってことはない。
 しかも、性同一障害とかでもなさそう。アレだ。「オネエの話し方を好む、オネエっぽい格好した男性」って感じだ。だから‥

 ‥どう扱っていいのか分からん。
 個性の強い男として扱うのが正解か? 

 俺はこころの中でコッソリ首を傾げた。
 テーラードジャケットと白いカットソーと、ジャケットとは素材の違うスラックス‥男物なんだけど、華奢な高橋が着たら、女物のパンツスーツにも見える。ジャケットの色もキャメル? コーヒー? どっちなんだか分からないけど、オッサンには着られない色味を、お洒落に着こなしている。

 三十歳超えてるか超えてないかって歳? 楠たちより年上って感じ? 
 全然ファッションの種類が違うって感じだよな。楠はスーツを着てても「昨日まで学生してました」感がぬぐえないのに、高橋は社会人3年目スーツにも慣れてきました‥って感じ。

 つい、しみじみ観察しちゃったよ‥。
 だけど、観察してるのはどうやら俺だけじゃなさそうだ。さっきから柳の兄ちゃんは「‥居たっけ‥。まあ‥政策のメンバーはそう表に出てこないから‥。‥なんで今日ここに?? 」とか言ってるし、柊はアレだ「コイツ楠に危害与えないだろうな」って威嚇しながら‥観察してる。桂ちゃんは‥一瞬は見たけど、もうどうでもいいのか俺のプログラムを見ている。(ホントにマイペースだね! )
 そんな感じで皆が動かないから俺は高橋の観察を再開した。

 ‥特段、男前ってわけじゃない。
 華奢‥というか痩せすぎだし、肌つるつるで色白で、一見したら「化粧してるの? 」って風に見える様なオネエ顔だし、背も‥小柄だ。(だいぶ小さい160そこそこって感じ)だけど、童顔ってわけではないから、少年っぽさ‥とかはない。あれだ。年齢不詳で、老け顔の女子‥「30歳になっても40歳になってもあんたかわんないわね~」って友達に言われるタイプ。‥丁度その感じ。不細工ではないんだけど、若々しさや可愛らしさ、華やかさはないよねって感じ。

 ‥おばさんっぽいんじゃないんだよな~。でも、「おっさん」は、彼とは対極にある。近いのは、「オネエ顔」にコンプレックスを持っていて、女子らしく振舞うことに抵抗があるけど‥でも、女を捨てる気はない‥って感じの女子。(←分かる様な分からない様な)

 体つきは‥よく見ると骨ばってて、女らしくはない。‥なのに、男らしさは皆無。がっしりしてるアスリート女子の方がよっぽど男らしい。
 絶妙なバランス(ある意味)‥なんじゃそりゃ。(← 自分で言っていて何を言ってるのか分からなくなっている)

 でも、ガリなら‥柊の兄ちゃんもそうだしな。全然、見慣れてる。柊の兄ちゃんはゆったりとした丸首のTシャツとか着てるから寒々しい鎖骨とかが見える。それが見えないだけ高橋の方が目に優しい。(水が溜まりそうなぐらいの鎖骨って、寒々しいよね?? )

 ‥で、コイツ(高橋)は一体何なんだ? なんでここに来たんだ? 

「で、高橋君。僕に用事で間違いないのかな? 」
 口を開いたのは、柳の兄ちゃんだった。ああそうか、柳の兄ちゃんはこの事務所にいることが多いけど、そもそもこの会社全体の偉いさんなんだった。(どんな役職かは知らないけど)
 つまり‥高橋は柳さんに用事があってここに来たのか。
「ええ。この書類を渡そうと思いまして。今日までですよね? それで探してたんですけど見つからなくて‥。総務課に聞いたら、今はこちらにいらっしゃるって聞いたから」
 にこっと微笑んで、高橋が書類を柳の兄ちゃんに渡す。
 笑ったら幼く? ‥人懐こく見える笑顔は随分親しみが持てるって感じがした。
 この人は、アレだ。
 別に人付き合いに消極的なタイプでもないらしい。柊の兄ちゃんとかまるで無関心なのに。‥人付き合いそのものに。兄ちゃんは「楠さえいればいい」タイプなんだろう。‥いっそ、すがすがしい感じもする。
「そりゃそうと! 少年! さっきのあれ、見せてよ! 
 (コインを振るキャラクターを見て)あら~‥なにこのキャラクター。可愛くないわね~」
「ほっとけ! 別に誰に見せるわけじゃないんだからいいだろ! 」
 ってか、少年ってなんだ! 
「‥って言うか‥。少年。‥随分幼くない? 童顔って言われない? 」
 高橋が首を傾げて俺をしみじみ見る。
「気にしてることを言わないでくれないか! そう言うのは、スルーするのが社会人の礼儀ってもんだぜ?! 」
 ‥何言ってんだかと思いながら言ったら、高橋は
「そうよね。ごめんなさいね。私ってほら、老け顔じゃない? だから、童顔の人が羨ましくって仕方ないのよね~」
 って言って俺に謝った。
 結構いい奴っぽい。
 そして、「裏紙、計算用紙コーナー」と書いてある机の横の段ボールから紙を一枚取ると「これ、貰っていいかしら? 」って断ってサラサラってデザイン画を描いた。
「キャラクターこういうのはどう? 」
 う‥うまい‥! 
「高橋さん! 俺と一緒にゲームを作らない? 」
「いいわよ~! 」
 意気投合してたら
「‥いや、そういうこと、伊吹さん無視して話すのやめなよ‥」
 呆れ顔の楠に止められた。

 あ、そうだった。プレゼンしてるんだった。

 苦笑いしたら、伊吹さんにも苦笑いされた。
 失敗失敗。だけど、‥ちょっと面白くなりそう。使えそうな面白友だちが出来た今日の良き日だった。
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