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263.あんな怖いザッカさんは初めて見た‥って思ったんです。(side コリン)

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 あの後、アンバーとフタバちゃんはナナベルさんの誤解(アンバーとフタバちゃんが付き合ってる)をとく‥ことなく、ナナベルさんと別れた。
 なんで否定しなかったの? って聞いたら、
「だって! 嬉しいじゃない! 」(フタバちゃん)
「否定する意味はあるかなぁって(面倒くさい)」(アンバー)
 って答えられた。
 まあ‥アンバーがナナベルさんが好き、とかだったらアンバーとしても否定する意味はあるんだろうけど、そういうのでもなかったら、面倒くさいからそういうことにしておくか、になる‥のかな。
 フタバちゃんの方は‥
 ロナウかわいそ~って感じ。一応‥だけど、婚約者なのにね‥。


 結局あの後どうなったか‥というと、

 ナナベルさんの尾行は、アンバーがすることになった。
 別にナナベルさんが怪しい、とかじゃなくて、ナナベルさんを狙ってる奴がいてそいつが悪の組織に関係ある奴かもって懸念したから。
「関係あると思う? もう5年も前の話だし、ペリドットは「ナナベルは使えない」って判断してそれ以後の接触はないわけだし。まあ‥今でも時々ニックと会ってるって言ってたから、ニック経由でペリドットに情報が流れてて‥そういう関係で何かあるのかもしれないけど‥」
 僕が聞くと、アンバーは
「まあ‥一応ね」
 って曖昧な返事をしていた。
 だけど、驚く様な行動でもない。アンバーは根っからの悪人じゃないから。尾行がついてるって知ってるのにそれを放っておくことなんて出来ないんだろう。アンバーのそういうところ、ここにいる皆知っている。
 全然素直じゃないから「心配だし」とか言えないこともね。
 それにね。
 僕としても全然反対してない。
 だって、知り合い‥って程でもないけど、さっきまで話してた人がが殺されるかもしれないって言うのはやっぱり嫌だよ。まして、あの人が「思ってたような嫌な人」じゃなくって‥それどころか、ナナフルさんと同じ笑顔で笑う人って言うならなおさらだよ。
 その気持ちは‥ザッカさんも同じだったようだ。
 ザッカさんはアンバーの勝手な行動を止めなかった。(それどころか、知らない振りしてた)
 きっと‥
 ナナフルさんの為。
 ナナフルさんと同じ笑顔で笑う彼女をやっぱり切り捨てきれなかったんだろう。
 きっと、ナナフルさんだってそうする。
 ‥でもやっぱり、彼女の事ナナフルさんには絶対言わないだろう。僕なら絶対そうするし‥きっと、ザッカさんもそうするだろうって思う。

 ナナフルさんとナナベルさん。
 ナナベルさんは自分に異母兄弟がいるなんて知らないんだろうな。
 白い彼女はどうなんだろ。
 ‥なんか知ってる気がするな。
 勝手な妄想だけど‥白い彼女の方が好きなエンヴァッハ伯爵夫人は、白い彼女に自分の夫に他に女がいることや、その女に子供がいるってこと‥愚痴ってる気がする。
 子供なんてどうせ聞いてないだろう。どうせすぐ忘れちゃうだろう‥って思って、大人って子供の前でまるで独り言を言うかのように愚痴ること‥ある。
 ‥僕の母さんはあんな(※凄くたくましかった)だったし、家族仲も問題なかったけど‥幼馴染の中にはそういう家族仲が微妙な子もやっぱりいて「母さんってば、私を置物かなんかだと思ってるのか分からないけど、延々と父さんの愚痴を聞かせて来るの。それに対する私の答えは、「それは酷いね」「‥母さん。大丈夫。私がいるよ」だけ。母さんが期待してるのは‥「用意してる私の答え」はいつもそれ」って言ってた。そういう子は、それが苦痛って感じじゃなくって「まったくたまったもんじゃないわ」って‥半ば呆れた感じで捉えてた‥ってのが僕にとって印象的だった。「‥なんか大人だな。僕だったら、悲しいとか思うけど‥」って思ったんだ。
 ‥でも今思えば、その子も最初はそんな風に思ってたんだろうな。だけど‥そのうち「またか」って‥慣れちゃった。‥慣れたと自分に言い聞かせるようになった‥。
 ‥良くないことだってことには違いない。
 だけど‥お母さんも‥誰かに愚痴らなきゃやってられなかった。そして、それは愚痴る相手の事を知ってる人で‥自分の味方になって欲しい人。
 愚痴りながら「そうでしょ? 」「貴方もそう思うわよね」って感情操作して‥自分の意見に賛成してくれる理解者になってもらいたいって‥思ってる。
 友達とかは力関係が同じだから「まあそうかもしれないわよね」って言ってもらって満足するだけだけど、力関係が下な子供って‥母親の言うことに逆らえないところあるじゃない。逆らったら、母親の事悲しませるし‥もしかしたら見捨てられちゃうかもって思う‥。
 オーバーかもしれないけど、そういうこと‥ある。
 それって‥一種の虐待だよね。
 白い彼女がちょっと(聞いた感じ)いびつだって感じたのは、‥でもそういうことも遠因だったんじゃないのかな‥とか思った。(考えすぎかもしれないけどね)
 きっと、見た目には分からない。
 エンヴァッハ伯爵夫人は子供の教育にも熱心だったらしいから。
 きっと彼女は子供にこう言っただろう。
「完璧な淑女になりなさい。誰にも負けない位‥」
 って。でもそれは‥貴族の教育としては別に珍しいことでもない。
 でも、その「度合」ってのが‥違った。
 彼女の母親は、多分完璧主義者だったんだろう。
 だから、
 自分に自信があった。
 そんな完璧な自分が夫に浮気されたのが許せなかった。
 誰かに「夫に浮気された可哀そうな女」って思われるかもしれないのが許せなかった‥。(そして、それが単なる同情ではなく、嘲りであることも知っていた。‥そもそも、「完璧な女」にはライバルが多いからね)
 だから‥
 子供には、誰にも馬鹿にされない程の淑女になってもらって‥皆を見返したかった。そう思ってもおかしくはない。(きっとそうだろう)
 母親から呪詛の様に父親の恨み言を聞かされ‥貴族として完璧を求められ‥妹からは期待一杯の目で見られる‥白い彼女は‥そんなストレスからどんどん歪んでいった‥。
 ナナベルはそういうのを「私には関係ない」って軽~く流せるタイプだった。だけど‥白い彼女はそういうタイプじゃなかった。
 彼女には「姉として」「跡取り娘として」の責任感があった。
 そして
 自分に自信があった。(母親に刷り込まれたってのもあるだろう)
 こんな美しい素晴しい自分は‥誰よりもいい結婚をしてしかるべきだ。誰よりも褒められて当たり前‥。貴族として、完璧な‥政略結婚をすれば皆から認められる‥。
 そして‥彼女は、理想の結婚を妹を利用することによって手に入れた。
 それを守りたいって思う‥
 そんな彼女が彼女の母親の殺人を知ったとしたら‥
「白の彼女は‥自分の幸せの足を引っ張るかもしれない「人を殺した」母親をそのままにしておくはずがない。でも、自分の手は汚さない‥。
 じゃあ‥誰の手を汚させる? 「誰のせい」にする? 
 母親と「素行の悪い妹」の不仲は皆知っている。そして、妹が家出していることも皆知っている。
 白い彼女は‥妹のせいにして母親を殺そうとしている‥? 」
 ボソリ‥と呟いたら‥フタバちゃんが僕を見た。
「でも、今までそれは世間にバレてなかったんでしょう? ナナフルさんの母子は行方不明。世間の認識はそうだわ。わざわざそんな事件を気にして殺人なんてリスクの高いことする? 」
「そうだよな‥」
 僕がもっともだって納得したら、ザッカさんが首を振った。
「世間にバレたのかもしれない、って「バレるかもしれない」って状況はあり得る」
 ってザッカさんが言う。
 僕らがザッカさんを振り向くと、ザッカさんは‥
「今までは、誰も調べてなかったから分からなかっただけのことだ。
 だけど、もし、きちんと調べたらわかる。絶対に目撃情報がないわけでは無い。そうやっていつかは、俺の村にたどり着けるだろう。エンヴァッハ伯爵夫人の雇った殺し屋がナナフルたちの居所を見つけ出したようにね。
 きっと、それは‥警察や‥騎士たちにとってそう難しいことではない。
 彼らは言っても専門家だから。
 そして、俺の村にたどりついたら‥村人は正直に‥「そういえば‥貴族の母子がここに来て‥何者かに殺されたらしいって聞いた」ってきっと言うだろう。正直にね。(※ 実際、殺されたのはナナフルの母親だけなんだけど、母子が殺されたことになっている。夫人の雇った殺し屋が生存していない今、誰も真実はわからない)。俺たちの村は‥証言も拒まない。聞いていたナナフル‥ヒュージとナナフルの母親の名前を出すこともね。今まで誰にも聞かれなかったから言わなかっただけで、別に隠す必要はない」
 静かな声で言った。
 僕らは全員ぞくっとした。
 ザッカさんの静かな‥冷たい声と表情に‥ぞくっとした。

 寧ろ、二人が死んだ‥殺されたって念を押せるから、こっちからお願いしたい位だ。
 だけど、わざわざ「殺人があった」って調べられるのは困る。あの村は色々あるからね。
 だから「そういえば」「昔‥そんなことがあったって聞いた」程度の曖昧な言い方がちょうどいい‥。

 ザッカさんはそんな僕らを視線だけでぐるりと見回すと‥ふっと穏やかな表情に戻って
「尾行犯は‥ナナベルの姉に間違いないな」
 って言ったんだ。
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