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202.コリンは魔法は一級品だけど、人とのかかわり方は三級品なんです。
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カールからではなくシャルルからの連絡があったのは、次の朝のことだった。
三人で朝食を食べている時にその手紙が届けられ、三人は顔を見合わせた。
ロナウが手紙を受け取り、差出人を確認し
「シャルル嬢本人からだ」
驚いた顔をした。
兄に名前を聞いたのか、あて名がコリン・コーナー様となっている。
フタバに
「シャルル嬢に連絡したの? 」
と尋ねるとフタバは首を振った。
「今日するつもりだったわ」
コリンとロナウが「そりゃそうだ‥」と納得する。
シャルルからの手紙には、ただ「本当にありがとうございました。ご迷惑おかけしてすみませんでした」と丁寧で美しい字で書いてあった。そして「もう大丈夫です」と。詳しいことは何も書かれていない。そして、便箋の一番下に小さな字で「お話がしたいです」と書き加えられている。
ロナウとコリンがフタバを見ると、フタバは無言で頷いた。
「私から連絡しておくわ。場所は‥どうしようかしらね‥。街は‥ダメ。連中の目がある場所は避けたい。尾行されてるかもしれないから我が家はダメ‥いや‥尾行されることなんてあるかしら‥? 」
小声で呟きながら部屋から出ていく。自室で返事を書くのだろう。
「カールもあの手紙を見たのかな。書いてるのを見られてるから詳しいことを書けなかったのかな? 」
ロナウが腕を組み‥思案する
食事はすでに終わっていたが、席に座っていた二人の為に、メイドさんが二杯目のコーヒーを淹れてくれた。お茶請けは、コリンお気に入りの甘くないチーズクラッカーだ。
「見られたらと思うと書けなかった‥というよりも、単純にどういう風に書けばいいかわからなかったんだと思うよ」
言って、コリンはご機嫌な顔でチーズクラッカーを手に取る。
「まあ‥そうだね‥」
ロナウもチーズクラッカーを手に取る。
「ねえ‥シャルル嬢は‥大丈夫なの? 」
ぼそ‥と、小声でロナウが呟いて、心配そうな表情でコリンを見る。
「‥なにが? 」
コリンが首を傾げて‥周りに「気付かれない様に」防音結界を張る。
いつもかけているような本格的な奴じゃない。
周りから見たら「小声で話してるから聞こえない」程度に見える‥軽い防音結界だ。
「その‥麻薬とかって、禁断症状とか‥あるじゃない。ああいうの‥魔薬は大丈夫なの? 」
防音結界を張ってるから‥だろう。ロナウが結構「ヤバ目の話」をしてきた。
因みに周りから見たら、ロナウが「何かを言いたいんだけど‥言いにくそうにおずおずしてる」って様子に見えてる。
チーズクラッカーを嬉しそうに齧っている天使なコリンと、何かを言いたげにもじもじしているロナウ。
ロナウはここん家のお嬢様‥フタバの婚約者だ。
そして、コリンはロナウとフタバの友人。
何の話をしたいんだろうか?
婚約者フタバにプレゼントしたいんだけど‥何をあげれば喜んでくれると思う? って相談?
もしかして‥プロポーズしたいんだけど‥どう言えばいいか悩んでる‥ って相談?
メイドさんたちはちらちらと二人を見ながらそんなことを想像して「きゃー」って盛り上がっている。
だけど‥実際二人が話してるのは
「精神的に弱ってて、魔薬に頼ってる‥て状態だったら、禁断症状も出るかもしれないけど‥シャルルの場合は大丈夫だと思うよ。魔法陣を破壊したら‥契約は破棄されて、それで終わりだ」
って、穏やかに微笑むコリン。
「だけど、体内に入れるわけだろ? 毒素みたいなものが残ったりとかは? 」
心配そうなロナウ。
「大丈夫だ。水に特殊な魔法で魔法陣を転写したものだから、魔法陣が破壊されたら、ただの水になるだけだ。尿として排出されて終わりだ」
コリンはイイ笑顔で、とん、と胸を叩く。
「‥尿‥。コーヒー飲んでるときにそんな話するのやめてよ。
でも、よかった」
ほっとした顔の、ロナウ。
‥こんな話だ。
聞こえない方がいい話ってのは‥ある。
さっきの会話、メイドさんたちの予想。
心配そうなロナウに
「大丈夫、人間顔じゃない。少なくとも、フタバちゃんは、顔で選ぶ人間じゃない。それは分かるだろ? 」
って友人を安心させようと‥穏やかに微笑む天使なコリン。
「そうだけど‥」
心配そうな‥平凡な顔だが善良なロナウ。
「僕の言う事を信じてよ! 」
とんと胸を叩き、イイ笑顔をする天使なコリン。
「‥有難う」
ほっとした顔の、平凡な顔だが善良なロナウ。
メイドさんたちの中では、勝手にいい話として‥脳内処理されていた。
手紙を書き終えたフタバが食堂に戻ってきて、席に着き‥周りに軽い防音結界が張ってあることに気付く。
「私が聞いてもいい話? 」
って首を傾げると、「当たり前じゃないか」ってロナウとコリンが笑う。
「魔薬による、健康被害はないのか‥って話を聞いてたんだ」
ロナウがフタバに手短に説明する。
「よかった‥大丈夫なのね」
フタバがほっと‥胸を撫ぜおろす。
「それで、会う前に聞いておかなければならないことを決めておこうって、昨日ロナウと話したんだ。聞き忘れた‥とかあったら困るから、フタバちゃんの意見も聞きたくて」
ロナウが言うと、フタバが頷く。
「じゃあ、部屋で話しましょうか」
‥なんか、今日はやけに周りからの視線が気になるし‥。何なのかしら‥
首を傾げるフタバだった。
部屋から出る時に、コリンは防音結界を解除していった。
さっきは何だったのかしら‥何故かテーブルの周りだけ話が聞こえにくくって‥だけど、そうなると余計に気になって仕方が無い。メイドとしてそんなこと気にしてはいけない‥って分かるんだけど‥なぜか‥気になって仕方が無い。そんなはしたないこと‥。あり得ないわ‥恥ずかしい‥。
メイドさんたちは、自分の事が信じられない。恥ずかしくって仕方が無い‥って自己嫌悪だ。
実はこれも、「コリンの軽い防音結界」の特徴だ。「他に気を取られて、聞き取りにくいことを不審に感じさせない幻覚系の魔法」ってわけだ。
普通だったら、聞こえにくい「なぜだ? 」ってなって「おかしいな」「魔法? 」って気付かれるからだ。
因みに、何時もだったら良家のメイドさんはお嬢様の婚約者やらご友人の話が気になって仕方が無い‥「何話してるんだろう」って興味持つ‥なんてはしたないことはしない。(そんなに暇じゃないし)ましてや、聞き耳立てる‥なんて、絶対にない。
コリンはそこら辺が、分かってないから(メイドさんの事を完全に信じてないから)
「勘ぐられたら困るから‥関心をそらしとこっと」
って考えたんだろう。
メイドさんはスパイ‥とか、フタバちゃん家程度の下級貴族には縁のない話なんだ。
「そうね‥。まずは「魔薬を飲んだの? 」よね。それで、イエスなら「どこで誰から買ったの? 」と「なぜ買ったの? 買おうと思ったきっかけは? 」「いくらだった? 」「貴方の不満は何? 」‥位かしら? 」
いつも通りフタバの部屋に入り、メモ用紙に書きながらフタバが言った。
「そうだね‥。それくらいしか僕も浮かばない」
ロナウが頷くと
「‥そうだよね。
ああ、あと‥飲んだ後、どうなった? も‥聞いておくか。売り子からどういう風に声を掛けられたか‥、初めからシャルルのことを知っているようだったか。それとも、たまたま声を掛けた風だったか‥そりゃ、たまたまの振りをするわな‥。まあ‥ダメもとで聞いてみよう」
コリンが呟いて、それをフタバがメモする。
「大丈夫だとは思うけど、一応、その後の体調も聞いておこう」
「そりゃそうよ! 」
‥ってか、それを一番に聞くべきじゃない?! 全く、コリンったら人の扱いがなってないんだから‥。
「シャルルはカールと一緒に来るだろうけど‥カールがいる時にそんな話は出来ない。だから、カールは僕たちで引き受けて‥シャルルのことはフタバちゃんに任せたいと思うんだ。‥女同士の方が話しやすい‥かもしれないし」
女同士の方が、違った話も聞けるかもしれないしね。
コリンの提案にフタバが了承して
「任せて」
とん、と胸を叩いた。
‥女の子の扱いが絶対に上手くないであろう二人に任せても、心配しかないしね! (※ コリンの場合は、女の子どころか、人間の扱いもきっと上手くないだろうしね! )
私が頑張るしかないわ~。
決意を新たに、気合を入れなおすフタバだった。
三人で朝食を食べている時にその手紙が届けられ、三人は顔を見合わせた。
ロナウが手紙を受け取り、差出人を確認し
「シャルル嬢本人からだ」
驚いた顔をした。
兄に名前を聞いたのか、あて名がコリン・コーナー様となっている。
フタバに
「シャルル嬢に連絡したの? 」
と尋ねるとフタバは首を振った。
「今日するつもりだったわ」
コリンとロナウが「そりゃそうだ‥」と納得する。
シャルルからの手紙には、ただ「本当にありがとうございました。ご迷惑おかけしてすみませんでした」と丁寧で美しい字で書いてあった。そして「もう大丈夫です」と。詳しいことは何も書かれていない。そして、便箋の一番下に小さな字で「お話がしたいです」と書き加えられている。
ロナウとコリンがフタバを見ると、フタバは無言で頷いた。
「私から連絡しておくわ。場所は‥どうしようかしらね‥。街は‥ダメ。連中の目がある場所は避けたい。尾行されてるかもしれないから我が家はダメ‥いや‥尾行されることなんてあるかしら‥? 」
小声で呟きながら部屋から出ていく。自室で返事を書くのだろう。
「カールもあの手紙を見たのかな。書いてるのを見られてるから詳しいことを書けなかったのかな? 」
ロナウが腕を組み‥思案する
食事はすでに終わっていたが、席に座っていた二人の為に、メイドさんが二杯目のコーヒーを淹れてくれた。お茶請けは、コリンお気に入りの甘くないチーズクラッカーだ。
「見られたらと思うと書けなかった‥というよりも、単純にどういう風に書けばいいかわからなかったんだと思うよ」
言って、コリンはご機嫌な顔でチーズクラッカーを手に取る。
「まあ‥そうだね‥」
ロナウもチーズクラッカーを手に取る。
「ねえ‥シャルル嬢は‥大丈夫なの? 」
ぼそ‥と、小声でロナウが呟いて、心配そうな表情でコリンを見る。
「‥なにが? 」
コリンが首を傾げて‥周りに「気付かれない様に」防音結界を張る。
いつもかけているような本格的な奴じゃない。
周りから見たら「小声で話してるから聞こえない」程度に見える‥軽い防音結界だ。
「その‥麻薬とかって、禁断症状とか‥あるじゃない。ああいうの‥魔薬は大丈夫なの? 」
防音結界を張ってるから‥だろう。ロナウが結構「ヤバ目の話」をしてきた。
因みに周りから見たら、ロナウが「何かを言いたいんだけど‥言いにくそうにおずおずしてる」って様子に見えてる。
チーズクラッカーを嬉しそうに齧っている天使なコリンと、何かを言いたげにもじもじしているロナウ。
ロナウはここん家のお嬢様‥フタバの婚約者だ。
そして、コリンはロナウとフタバの友人。
何の話をしたいんだろうか?
婚約者フタバにプレゼントしたいんだけど‥何をあげれば喜んでくれると思う? って相談?
もしかして‥プロポーズしたいんだけど‥どう言えばいいか悩んでる‥ って相談?
メイドさんたちはちらちらと二人を見ながらそんなことを想像して「きゃー」って盛り上がっている。
だけど‥実際二人が話してるのは
「精神的に弱ってて、魔薬に頼ってる‥て状態だったら、禁断症状も出るかもしれないけど‥シャルルの場合は大丈夫だと思うよ。魔法陣を破壊したら‥契約は破棄されて、それで終わりだ」
って、穏やかに微笑むコリン。
「だけど、体内に入れるわけだろ? 毒素みたいなものが残ったりとかは? 」
心配そうなロナウ。
「大丈夫だ。水に特殊な魔法で魔法陣を転写したものだから、魔法陣が破壊されたら、ただの水になるだけだ。尿として排出されて終わりだ」
コリンはイイ笑顔で、とん、と胸を叩く。
「‥尿‥。コーヒー飲んでるときにそんな話するのやめてよ。
でも、よかった」
ほっとした顔の、ロナウ。
‥こんな話だ。
聞こえない方がいい話ってのは‥ある。
さっきの会話、メイドさんたちの予想。
心配そうなロナウに
「大丈夫、人間顔じゃない。少なくとも、フタバちゃんは、顔で選ぶ人間じゃない。それは分かるだろ? 」
って友人を安心させようと‥穏やかに微笑む天使なコリン。
「そうだけど‥」
心配そうな‥平凡な顔だが善良なロナウ。
「僕の言う事を信じてよ! 」
とんと胸を叩き、イイ笑顔をする天使なコリン。
「‥有難う」
ほっとした顔の、平凡な顔だが善良なロナウ。
メイドさんたちの中では、勝手にいい話として‥脳内処理されていた。
手紙を書き終えたフタバが食堂に戻ってきて、席に着き‥周りに軽い防音結界が張ってあることに気付く。
「私が聞いてもいい話? 」
って首を傾げると、「当たり前じゃないか」ってロナウとコリンが笑う。
「魔薬による、健康被害はないのか‥って話を聞いてたんだ」
ロナウがフタバに手短に説明する。
「よかった‥大丈夫なのね」
フタバがほっと‥胸を撫ぜおろす。
「それで、会う前に聞いておかなければならないことを決めておこうって、昨日ロナウと話したんだ。聞き忘れた‥とかあったら困るから、フタバちゃんの意見も聞きたくて」
ロナウが言うと、フタバが頷く。
「じゃあ、部屋で話しましょうか」
‥なんか、今日はやけに周りからの視線が気になるし‥。何なのかしら‥
首を傾げるフタバだった。
部屋から出る時に、コリンは防音結界を解除していった。
さっきは何だったのかしら‥何故かテーブルの周りだけ話が聞こえにくくって‥だけど、そうなると余計に気になって仕方が無い。メイドとしてそんなこと気にしてはいけない‥って分かるんだけど‥なぜか‥気になって仕方が無い。そんなはしたないこと‥。あり得ないわ‥恥ずかしい‥。
メイドさんたちは、自分の事が信じられない。恥ずかしくって仕方が無い‥って自己嫌悪だ。
実はこれも、「コリンの軽い防音結界」の特徴だ。「他に気を取られて、聞き取りにくいことを不審に感じさせない幻覚系の魔法」ってわけだ。
普通だったら、聞こえにくい「なぜだ? 」ってなって「おかしいな」「魔法? 」って気付かれるからだ。
因みに、何時もだったら良家のメイドさんはお嬢様の婚約者やらご友人の話が気になって仕方が無い‥「何話してるんだろう」って興味持つ‥なんてはしたないことはしない。(そんなに暇じゃないし)ましてや、聞き耳立てる‥なんて、絶対にない。
コリンはそこら辺が、分かってないから(メイドさんの事を完全に信じてないから)
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メイドさんはスパイ‥とか、フタバちゃん家程度の下級貴族には縁のない話なんだ。
「そうね‥。まずは「魔薬を飲んだの? 」よね。それで、イエスなら「どこで誰から買ったの? 」と「なぜ買ったの? 買おうと思ったきっかけは? 」「いくらだった? 」「貴方の不満は何? 」‥位かしら? 」
いつも通りフタバの部屋に入り、メモ用紙に書きながらフタバが言った。
「そうだね‥。それくらいしか僕も浮かばない」
ロナウが頷くと
「‥そうだよね。
ああ、あと‥飲んだ後、どうなった? も‥聞いておくか。売り子からどういう風に声を掛けられたか‥、初めからシャルルのことを知っているようだったか。それとも、たまたま声を掛けた風だったか‥そりゃ、たまたまの振りをするわな‥。まあ‥ダメもとで聞いてみよう」
コリンが呟いて、それをフタバがメモする。
「大丈夫だとは思うけど、一応、その後の体調も聞いておこう」
「そりゃそうよ! 」
‥ってか、それを一番に聞くべきじゃない?! 全く、コリンったら人の扱いがなってないんだから‥。
「シャルルはカールと一緒に来るだろうけど‥カールがいる時にそんな話は出来ない。だから、カールは僕たちで引き受けて‥シャルルのことはフタバちゃんに任せたいと思うんだ。‥女同士の方が話しやすい‥かもしれないし」
女同士の方が、違った話も聞けるかもしれないしね。
コリンの提案にフタバが了承して
「任せて」
とん、と胸を叩いた。
‥女の子の扱いが絶対に上手くないであろう二人に任せても、心配しかないしね! (※ コリンの場合は、女の子どころか、人間の扱いもきっと上手くないだろうしね! )
私が頑張るしかないわ~。
決意を新たに、気合を入れなおすフタバだった。
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