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201.違法であれ、契約の無断破棄は重罪です。‥罪には問われないけど‥めちゃ痛いみたいです。
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「それで? カールの妹さんは‥魔薬を服用してたの? 」
夕食後、今度はフタバも参加してのお茶会だ。例のごとく今回も人払いをしている為、部屋にはロナウとコリン、フタバの三人しかいない。
結婚前の男女が密室に‥ってのは問題だけど、ロナウとフタバは婚約者同士だし、コリンも一緒だから‥って頼み込んだんだ。
フタバの問いに、コリンは小さく首を振る。
「それは分からない。だけど、明らかに魔法陣による「契約」は確認できたから‥破壊しておいた」
「あ~。魔薬は服用する魔法陣って言ってたね。魔薬を服用しただけで契約ってことになるの? 本人も契約したって自覚在るの? 」
ロナウがコリンに尋ねる。コリンは小さく頷くと
「それも魔薬の恐ろしいところだよね。契約は本来当事者同士の同意を得なければ出来ない。だけど、魔薬の服用は‥その契約を一方的に「押し付ける」行為なんだ。
例えば‥普通だったら契約書をお互いに確認し合いながらサインするよね?
だけど魔薬の場合は、あらかじめ作っておいた契約書の内容を見せもせずに「じゃ、サインだけお願いします」って言って‥契約が成立しちゃう‥って感じ」
腕組みしながら説明した。
ロナウは小さくため息をつくと
「服用する = 合意とみなす‥ってことだね」
納得した‥という風に頷いた。
「呪いを受けるのとは違って、身体に印が現れないから‥服用しているかどうかは‥普通の人は絶対見ても分からない。
魔術士でも、そんじょそこらの奴には分からない。僕は分かるけど。なんていっても、誓約士。契約のプロだらからね」
「あ~。誓約も契約なんだ」
「‥一方的で、それも強制的な契約よね‥」
涼しい顔で言ったコリンに、ロナウとフタバは苦笑いだ。
「それにしても‥魔術士にも分からないなんて‥」
ふう‥とフタバはため息をついて眉を寄せた。
「厄介ね‥」
契約といっても、魔法だ。
魔術士は、他人の魔法や魔力を察知できる。
目の前に魔術士がいたら、相手がかなりの魔術士で気配を完全に消していない限りは‥剣士の格好していようがドレスを着ていようが‥「魔術士だ」って分かる。
魔術士の目には、魔力を持っている者の周りには魔力の薄い膜みたいなものが見える。それがフワフワして身体全体を覆っていない者は、「魔力を持っているが魔術は使えない者」身体を包むように魔力を纏っている者が「魔術士」。そして、それが見えるのが魔術士なんだ。(魔力を持っているが魔術は使えない者は、他人の魔力を察知することは出来ないんだ)
詮索(風)の能力持ちには、その膜に色がついているのが分かるらしいが、アンバーのように詮索(闇)の能力持ちには分からない‥らしい。
その色で、属性が分かる‥というのだ。(確かめる術がないから、そう聞いた‥ってだけだ)
魔術士は自分の能力について他人に話すことがそうないから、魔術士についての情報は驚くほど少ないんだ。
※ その驚くほど少ない情報を教会などで教えているわけだが、時々間違ってることもあるらしい。
だけど、魔力の強さ‥っていうのは、魔術の修練によりわかるようになる。だから、コリン程優秀な魔術士だったら、一目見ただけで目の前の人物の魔力量がわかるんだ。
「呪いなら、身体に印が現れる上に、魔術の痕跡が強く残る。それは、明らかに身体に異質な魔力が入ったからだ。契約とは違い、一方的な攻撃だから仕方が無いよね。
一方的に対象者の身体に傷をつけて‥つまり、この傷が「印」だ‥対象者の主に精神を攻撃する。それが呪いの正体だ。
だけど、魔薬は違法とは言え契約だから、対象者の身体は‥誤って受け入れてしまう。
結果として、「異質な魔力」と第三者には認識できないんだ」
「怖いね‥」
ロナウはぞっとして‥思わず呟いた。
一方的に契約できるうえに、第三者にはそれが分からない‥。
相手が「自分から服用した」から‥犯罪にはならない。
その結果、相手が死のうとも‥だ。
だって、それは「そういう契約」だから‥。
「合法的にね、結ばれた契約なら、魔力を使用していようが‥絶対に分からないんだ。逆に分かったら意味がない。
だけど、違法で結ばれた契約はやっぱりどこか‥綻びがあるんだ。
同じ一方的に結ばれた契約でも、誓約と違法契約は全然違う。
誓約の場合、契約書が初めから決められてる‥って点は同じだけど、契約内容については万人が知っている。だけど、違法契約は契約を結ばされた者がその内容を正しく知らなかったり、騙されて契約させられていたりする。
詐欺だ。犯罪行為だよ。
詐欺に引っかかっている人は、見た目には分かりにくいけど、‥絶対に分からないってことはない。
だけど、
僕は、シャルルが「詐欺に引っかかっている」って分かって接した。そして‥おそらくシャルル本人も自分が詐欺に引っかかっているのかも‥って疑いを感じていた。だから、分かった
まあ、だけど、契約を解除できたのは僕だから‥だけどね」
はいはい、君は優秀だから‥ですよね。
何時もの通り始まったコリンの自慢に、二人は苦笑いしたけど‥今この状態では、コリンの自慢話がただただ頼もしく聞こえるから不思議だ。それに、親しくなった今ではこの自慢も‥コリンの「ツンデレ」だって分かるから、可愛く聞こえるだけだ。
それにしても‥
‥学生時代は、こんなに話す奴だって思いもしなかったね。
それを考えると、随分と打ち解けたんだな~って‥こんな時なのに、嬉しくなったり。
「今回僕がしたことは‥「第三者が結んだ契約を、契約者以外が一方的に破壊する」って行為だから‥普通なら違法なんだろうけど‥シャルルも望んでいたことだって思うから、大目に見てもらいたいな。‥何より、カールが心配してたしね」
「そうだね」
シャルルに許可を取る‥となったら、カールの目の前でシャルルに「シャルルが結んだ契約の存在」を認めさせることになる。‥それはシャルルにとって最も避けたかったことだろう。
「それもあるから‥シャルルとはカール抜きでもう一度話したいんだけどな‥。僕たちだけと話す‥ってのは嫌だろうから、フタバちゃんからカールに一度連絡を取ってもらえない? フタバちゃんも同席してくれたら、カールも安心するだろうし」
コリンがフタバを見て「お願い」って顔をすると、フタバも心得たように頷いた。
「違法とは言え、契約を一方的に破棄したりして‥契約者‥シャルル嬢には影響はないの? 」
ポツリ‥とロナウが呟き、コリンに心配気な視線を送る。
コリンがロナウに微笑みかける。
「あれほど、軽い‥軽い? 薄い‥薄いでもないか‥
まあ‥いい表現が今思いつかないけど‥あれくらい魔薬に対する依存性が弱いと、それ程ダメージは受けない。ゴリゴリの中毒患者だったら‥魔法陣を破壊するのも困難だし‥やっとのことで破壊したら‥凄いダメージを食らうだろうけどね。
‥もちろん、中毒患者が‥だ」
契約書を「送り付けた側」は、「一方的に送り付けた」だけだから、破棄されたところで、少しのダメージも食らわないし、それどころか気付きすらしないんだ。
お互いが納得して「合法的に」結んだ契約とはこの点も違う。
合法的な契約であったら、どちらかが一方的に契約を破棄したなら、破棄した方がダメージを食らう‥のは変わらないが、契約が破棄されたことが契約相手に伝わるし(契約した際に両方が持つ「目印」に異変が現れる。例えば、目印が鏡だったら、割れる‥って具合だ)第三者が契約を無断で破壊しようとした場合、第三者に両方の契約者からの法的、物理的な攻撃を加えられる。
その役目を果たすのが‥「契約保証制度」である。
その制度にのっとり合法的に契約を結んだ場合、その契約は、「契約保証制度」により、保証される。
保障の内容は、
第三者に契約を破壊されそうになった場合、それを阻止し、第三者を物理攻撃し、その後、契約者両方に伝え、法的措置をとる準備をする。
というもので、その総てを担うのは、「契約保証制度」の保証する「契約者のいずれとも関係のない人間」で、魔術に優れた「公平的な立場の人間」と決められている。
一種の保険の様なもので、何もなかったら契約料は全部無駄になるんだけど‥入ってなければ心配‥っていうんで、みんな入る‥みたいな制度だ。
実はそれは誓約士の「副職」なのだ。
誓約士の協会に入ったメンバーに依頼され、その依頼を受けた誓約士がその契約が終結するまで責任をもって請け負うことになっており、契約が終結すれば、契約料がそのまま貰える‥ってわけだ。運が良ければ、何もしないでお金が入るが、運が悪かったら‥
揉めたり、裁判沙汰になったりね‥「こんな依頼受けるんじゃなかった! 」って‥
‥そればっかりは、運の問題だ。(契約内容を選ぶことはできないんだ。受けるか、受けないか、だけだ)コリンもこういう依頼は時々受けている。そして「運よく」何もしないで契約料を貰っている。出版社の仕事以外働いていないコリンが高額な本を買える程お金持ちなのは、そのせいだ。その依頼は、誓約士ネットワークで入って来るんだって。(秘密がいっぱいだね! 誓約士! )
そういう仕事を誓約士がしている‥ってことは、絶対誰にも知られてはいけないし、誓約士本人も絶対に話してはいけないんだ。
だから、コリンも二人にこのことは言わない。二人にどころか‥例えシークさんにだって、コリンは言わない。寝言にだって言わない。それは、もう、絶対だ。だって、誓約士だから。
「凄いダメージって‥どれくらい? あの時、シャルル嬢は‥コリンの言うところの「ライトな契約解除」でさえ気絶した‥って考えると‥怖いな」
ぶる‥とロナウが震える。コリンは苦笑いして
「あれは‥心労から気絶しただけだと思うよ。‥せいぜいちょっと大きめの瘡蓋をばり! って剥がされた程度の痛み位で‥普通は気絶しないよね」
って言った。
あっさりと。
‥いや、それ、普通に痛いよね‥。確かに、気絶まではしない‥かもしれないけど‥。でも‥お嬢様なら‥気絶する‥かも? ‥「せいぜい‥位」って‥コリンは‥大丈夫なの? 慣れてるの?
ロナウが絶句して、フタバが苦笑いする。
「魔物に皮一枚バリって‥剥がされかけたときには、流石に気絶したかけたな~。なんとか逃げ延びた後‥結局気絶したけど‥いや~僕にもそんな頃‥あったなあ~」
ってコリン。(絶対、ロナウを苛めて遊んでるよね)
もう‥やめて‥
真っ白になってるロナウ。
そんなコリンが言う‥「凄いダメージ」どんなだ‥
「中毒患者だったら‥普通に想像できない位辛い‥ってことだよな」
またロナウが、ぶる‥と震える。
にやり‥と笑うコリンに、
ますます真っ白になるロナウと、(そんなロナウにドン引きして)苦笑いするフタバだった。
夕食後、今度はフタバも参加してのお茶会だ。例のごとく今回も人払いをしている為、部屋にはロナウとコリン、フタバの三人しかいない。
結婚前の男女が密室に‥ってのは問題だけど、ロナウとフタバは婚約者同士だし、コリンも一緒だから‥って頼み込んだんだ。
フタバの問いに、コリンは小さく首を振る。
「それは分からない。だけど、明らかに魔法陣による「契約」は確認できたから‥破壊しておいた」
「あ~。魔薬は服用する魔法陣って言ってたね。魔薬を服用しただけで契約ってことになるの? 本人も契約したって自覚在るの? 」
ロナウがコリンに尋ねる。コリンは小さく頷くと
「それも魔薬の恐ろしいところだよね。契約は本来当事者同士の同意を得なければ出来ない。だけど、魔薬の服用は‥その契約を一方的に「押し付ける」行為なんだ。
例えば‥普通だったら契約書をお互いに確認し合いながらサインするよね?
だけど魔薬の場合は、あらかじめ作っておいた契約書の内容を見せもせずに「じゃ、サインだけお願いします」って言って‥契約が成立しちゃう‥って感じ」
腕組みしながら説明した。
ロナウは小さくため息をつくと
「服用する = 合意とみなす‥ってことだね」
納得した‥という風に頷いた。
「呪いを受けるのとは違って、身体に印が現れないから‥服用しているかどうかは‥普通の人は絶対見ても分からない。
魔術士でも、そんじょそこらの奴には分からない。僕は分かるけど。なんていっても、誓約士。契約のプロだらからね」
「あ~。誓約も契約なんだ」
「‥一方的で、それも強制的な契約よね‥」
涼しい顔で言ったコリンに、ロナウとフタバは苦笑いだ。
「それにしても‥魔術士にも分からないなんて‥」
ふう‥とフタバはため息をついて眉を寄せた。
「厄介ね‥」
契約といっても、魔法だ。
魔術士は、他人の魔法や魔力を察知できる。
目の前に魔術士がいたら、相手がかなりの魔術士で気配を完全に消していない限りは‥剣士の格好していようがドレスを着ていようが‥「魔術士だ」って分かる。
魔術士の目には、魔力を持っている者の周りには魔力の薄い膜みたいなものが見える。それがフワフワして身体全体を覆っていない者は、「魔力を持っているが魔術は使えない者」身体を包むように魔力を纏っている者が「魔術士」。そして、それが見えるのが魔術士なんだ。(魔力を持っているが魔術は使えない者は、他人の魔力を察知することは出来ないんだ)
詮索(風)の能力持ちには、その膜に色がついているのが分かるらしいが、アンバーのように詮索(闇)の能力持ちには分からない‥らしい。
その色で、属性が分かる‥というのだ。(確かめる術がないから、そう聞いた‥ってだけだ)
魔術士は自分の能力について他人に話すことがそうないから、魔術士についての情報は驚くほど少ないんだ。
※ その驚くほど少ない情報を教会などで教えているわけだが、時々間違ってることもあるらしい。
だけど、魔力の強さ‥っていうのは、魔術の修練によりわかるようになる。だから、コリン程優秀な魔術士だったら、一目見ただけで目の前の人物の魔力量がわかるんだ。
「呪いなら、身体に印が現れる上に、魔術の痕跡が強く残る。それは、明らかに身体に異質な魔力が入ったからだ。契約とは違い、一方的な攻撃だから仕方が無いよね。
一方的に対象者の身体に傷をつけて‥つまり、この傷が「印」だ‥対象者の主に精神を攻撃する。それが呪いの正体だ。
だけど、魔薬は違法とは言え契約だから、対象者の身体は‥誤って受け入れてしまう。
結果として、「異質な魔力」と第三者には認識できないんだ」
「怖いね‥」
ロナウはぞっとして‥思わず呟いた。
一方的に契約できるうえに、第三者にはそれが分からない‥。
相手が「自分から服用した」から‥犯罪にはならない。
その結果、相手が死のうとも‥だ。
だって、それは「そういう契約」だから‥。
「合法的にね、結ばれた契約なら、魔力を使用していようが‥絶対に分からないんだ。逆に分かったら意味がない。
だけど、違法で結ばれた契約はやっぱりどこか‥綻びがあるんだ。
同じ一方的に結ばれた契約でも、誓約と違法契約は全然違う。
誓約の場合、契約書が初めから決められてる‥って点は同じだけど、契約内容については万人が知っている。だけど、違法契約は契約を結ばされた者がその内容を正しく知らなかったり、騙されて契約させられていたりする。
詐欺だ。犯罪行為だよ。
詐欺に引っかかっている人は、見た目には分かりにくいけど、‥絶対に分からないってことはない。
だけど、
僕は、シャルルが「詐欺に引っかかっている」って分かって接した。そして‥おそらくシャルル本人も自分が詐欺に引っかかっているのかも‥って疑いを感じていた。だから、分かった
まあ、だけど、契約を解除できたのは僕だから‥だけどね」
はいはい、君は優秀だから‥ですよね。
何時もの通り始まったコリンの自慢に、二人は苦笑いしたけど‥今この状態では、コリンの自慢話がただただ頼もしく聞こえるから不思議だ。それに、親しくなった今ではこの自慢も‥コリンの「ツンデレ」だって分かるから、可愛く聞こえるだけだ。
それにしても‥
‥学生時代は、こんなに話す奴だって思いもしなかったね。
それを考えると、随分と打ち解けたんだな~って‥こんな時なのに、嬉しくなったり。
「今回僕がしたことは‥「第三者が結んだ契約を、契約者以外が一方的に破壊する」って行為だから‥普通なら違法なんだろうけど‥シャルルも望んでいたことだって思うから、大目に見てもらいたいな。‥何より、カールが心配してたしね」
「そうだね」
シャルルに許可を取る‥となったら、カールの目の前でシャルルに「シャルルが結んだ契約の存在」を認めさせることになる。‥それはシャルルにとって最も避けたかったことだろう。
「それもあるから‥シャルルとはカール抜きでもう一度話したいんだけどな‥。僕たちだけと話す‥ってのは嫌だろうから、フタバちゃんからカールに一度連絡を取ってもらえない? フタバちゃんも同席してくれたら、カールも安心するだろうし」
コリンがフタバを見て「お願い」って顔をすると、フタバも心得たように頷いた。
「違法とは言え、契約を一方的に破棄したりして‥契約者‥シャルル嬢には影響はないの? 」
ポツリ‥とロナウが呟き、コリンに心配気な視線を送る。
コリンがロナウに微笑みかける。
「あれほど、軽い‥軽い? 薄い‥薄いでもないか‥
まあ‥いい表現が今思いつかないけど‥あれくらい魔薬に対する依存性が弱いと、それ程ダメージは受けない。ゴリゴリの中毒患者だったら‥魔法陣を破壊するのも困難だし‥やっとのことで破壊したら‥凄いダメージを食らうだろうけどね。
‥もちろん、中毒患者が‥だ」
契約書を「送り付けた側」は、「一方的に送り付けた」だけだから、破棄されたところで、少しのダメージも食らわないし、それどころか気付きすらしないんだ。
お互いが納得して「合法的に」結んだ契約とはこの点も違う。
合法的な契約であったら、どちらかが一方的に契約を破棄したなら、破棄した方がダメージを食らう‥のは変わらないが、契約が破棄されたことが契約相手に伝わるし(契約した際に両方が持つ「目印」に異変が現れる。例えば、目印が鏡だったら、割れる‥って具合だ)第三者が契約を無断で破壊しようとした場合、第三者に両方の契約者からの法的、物理的な攻撃を加えられる。
その役目を果たすのが‥「契約保証制度」である。
その制度にのっとり合法的に契約を結んだ場合、その契約は、「契約保証制度」により、保証される。
保障の内容は、
第三者に契約を破壊されそうになった場合、それを阻止し、第三者を物理攻撃し、その後、契約者両方に伝え、法的措置をとる準備をする。
というもので、その総てを担うのは、「契約保証制度」の保証する「契約者のいずれとも関係のない人間」で、魔術に優れた「公平的な立場の人間」と決められている。
一種の保険の様なもので、何もなかったら契約料は全部無駄になるんだけど‥入ってなければ心配‥っていうんで、みんな入る‥みたいな制度だ。
実はそれは誓約士の「副職」なのだ。
誓約士の協会に入ったメンバーに依頼され、その依頼を受けた誓約士がその契約が終結するまで責任をもって請け負うことになっており、契約が終結すれば、契約料がそのまま貰える‥ってわけだ。運が良ければ、何もしないでお金が入るが、運が悪かったら‥
揉めたり、裁判沙汰になったりね‥「こんな依頼受けるんじゃなかった! 」って‥
‥そればっかりは、運の問題だ。(契約内容を選ぶことはできないんだ。受けるか、受けないか、だけだ)コリンもこういう依頼は時々受けている。そして「運よく」何もしないで契約料を貰っている。出版社の仕事以外働いていないコリンが高額な本を買える程お金持ちなのは、そのせいだ。その依頼は、誓約士ネットワークで入って来るんだって。(秘密がいっぱいだね! 誓約士! )
そういう仕事を誓約士がしている‥ってことは、絶対誰にも知られてはいけないし、誓約士本人も絶対に話してはいけないんだ。
だから、コリンも二人にこのことは言わない。二人にどころか‥例えシークさんにだって、コリンは言わない。寝言にだって言わない。それは、もう、絶対だ。だって、誓約士だから。
「凄いダメージって‥どれくらい? あの時、シャルル嬢は‥コリンの言うところの「ライトな契約解除」でさえ気絶した‥って考えると‥怖いな」
ぶる‥とロナウが震える。コリンは苦笑いして
「あれは‥心労から気絶しただけだと思うよ。‥せいぜいちょっと大きめの瘡蓋をばり! って剥がされた程度の痛み位で‥普通は気絶しないよね」
って言った。
あっさりと。
‥いや、それ、普通に痛いよね‥。確かに、気絶まではしない‥かもしれないけど‥。でも‥お嬢様なら‥気絶する‥かも? ‥「せいぜい‥位」って‥コリンは‥大丈夫なの? 慣れてるの?
ロナウが絶句して、フタバが苦笑いする。
「魔物に皮一枚バリって‥剥がされかけたときには、流石に気絶したかけたな~。なんとか逃げ延びた後‥結局気絶したけど‥いや~僕にもそんな頃‥あったなあ~」
ってコリン。(絶対、ロナウを苛めて遊んでるよね)
もう‥やめて‥
真っ白になってるロナウ。
そんなコリンが言う‥「凄いダメージ」どんなだ‥
「中毒患者だったら‥普通に想像できない位辛い‥ってことだよな」
またロナウが、ぶる‥と震える。
にやり‥と笑うコリンに、
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鈴木かなえ
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第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。
レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。
社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。
そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。
レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。
R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。
ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。
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