134 / 310
134.ナナフルに誓う。
しおりを挟む
フュージ・コールネンド・ネーメル
「ナーメルは、お母様のお家の名前よ。フュージはナーメル家の長男ってわけね」
母さんが言ってた。
父親の名前は知らない。
母さんが
「父様はいないけど、母様にはフュージがいるからいいの」
って言うから、聞くのは止めた。
‥絶対聞かない方がいいやつだろうって思うし。
きっと、父親はろくでもない奴なんだろう。
だから、そいつのせいで、僕と母さんは家を出て逃げ回る羽目になっているんだろう。
母さん‥僕の父さんは一体、どんな悪い奴なんだ?
母さんが言わないなら聞かない方がいいんだろう。
そして、僕は‥そのろくでもない父親のせいで名前を変えさせられて、‥これからは男であることさえも隠して、生きていかなければならなくなった。
‥絶対殺してやる。
母さんを殺した奴は‥
ナツミさんが殺してくれたらしいってイオさんから聞いた。
ナツミさんは、この村の用心棒なんだって。
詳しいことは‥聞かない方がいいって言われたから聞かない。(父さんの正体以上にヤバい気するもんね)
ナナフル・レイン
僕の新しい名前。
‥全然慣れない。
呼ばれても、自分の名前だって気がしない。
女の子の名前‥
そして、
平民の名前‥。
‥それはいい。
別に貴族でよかったって思ったことは無い。
貴族だったから母さんは殺された‥んだろうし。(なんとなく、そんな気がする)
それに、
僕は、貴族の子だのに
魔力がない。
全く、ほんのちょっとも‥なかったらしい。
「騎士紋‥憧れてたのに‥」
一人でいるとき、‥ぼそりと呟いてしまっていた。
ネーメル家は比較的騎士紋が出やすい家だ。
騎士紋が出やすい家って珍しいんだ。魔術士紋は貴族だったら結構でやすい紋なんだって。
そのうちひょっこり出るかもしれない。
魔術士紋は、生まれた時出てなかったらもう出ない紋らしいけど、騎士紋は成長してからでるかもしれない紋ならしい。
‥っていっても、10歳位までかな~。
僕は来年10歳になっちゃうから、ここ1年が勝負の年だな。
騎士紋を持つ者は、身体が健康で、精神もまた健全で、信念があり、弱き者に優しく‥忠誠心が強い。
憧れるね。
理想の男だね!
そして‥
‥僕からは遠い‥
自分の細っこい腕と足を見つめる。
僕がもし、そんな男だったら母さんを守れたんだろう。
事件直後うなされて目が覚めて、そういって泣いた僕に「イオ母さん」(← そう呼べと言われた)が
「ナナフルはナナフルのままで大丈夫だ。ナナフルのことは私やザッカ‥皆が支えてあげるよ」
って言って、ザッカも僕の事抱きしめてくれたけど‥
‥それって、男として、どう。
嫁って設定だけど、‥僕は男で女の子じゃない。
でも、確かにザッカなら「騎士っぽい」な‥。
いいな‥。
って思った。
そして、そんな時遠くの村に働きに行っていたザッカの父さんが帰って来たんだ。長期休暇なんだって。
見慣れない僕が家にいて料理を手伝っているのを見て首を傾げたザッカの父さん・ダンクさんに、イオ母さんは、
「ザッカの嫁」
って僕を紹介した。
傭兵だったっけ、警備兵だったっけなダンクさん。
イオさん曰く「脳筋で嘘がつけない」そして「単純バカ」ならしいから、
「ホントのことは言わない(言えない)」
らしい。
「絶対馬鹿正直に言っちゃいそうだし、言わなくても顔に出そう」
だから。らしい。
「嫁!! 」
ダンクさん‥信じちゃってるじゃん。
「別嬪だな! 良かったな! ザッカ! ナナフル、俺の事は父さんって呼びなさい! 」
って言ったんだ。
いや、‥はい。(ナナフル苦笑い)
「ザッカ! 女の子は大事にして、ちゃんと守ってやるんだぞ! 」
ザッカ、面白そうな顔するんじゃない。
「はい! 俺は、ナナフルを守って一生愛します! 」
いい返事するんじゃない。
そのとき‥
ザッカの胸元‥? 鎖骨の辺りが光った気がしたんだ。
ん? ザッカって‥ペンダントとかなんかしてたっけ??
‥つい、襟元を覗き込んでしまった。
「ナナフル!? 」
ザッカが真っ赤になって、ダンクさんにからかわれる。
鎖骨の下のあたり‥光ったのは、痣だった。
青い、痣‥。
あの痣は‥
「騎士紋!! 」
夢にまで見た‥
騎士紋だった。
「え!? 」
「ザッカ! それ、絶対騎士紋だよ!! 」
で、ダンクさんと一緒に村長さんに聞きに行って、騎士紋であることが分った‥ってそれからは大変だった。ザッカは村長さんに剣を習わせてもらったり、(村長に授業料を出してもらう代わりに村長の家で、雑用やなんかをして働かされていた)騎士団に入って稽古に明け暮れたり‥
会えない間は、ナナフルとは文通をしていたっけ。
久し振りにあった二人がお互い一目惚れをしたり、‥は、また別のお話。
‥これが、ザッカ、騎士紋が出た。の真実。
ナナフルも結構忘れてたし、ザッカに至っては、結構もっとロマンチックな感じに記憶をねつ造していた。
「ナナフルに誓ったんだ。「きっと幸せにする、この騎士紋に誓って」って」
いい顔をするザッカに、真っ赤な顔して俯くナナフル。
キラキラした顔して話を聞くコリン。
‥皆幸せそうだから、真相とかもうどうでもいい。
「ナーメルは、お母様のお家の名前よ。フュージはナーメル家の長男ってわけね」
母さんが言ってた。
父親の名前は知らない。
母さんが
「父様はいないけど、母様にはフュージがいるからいいの」
って言うから、聞くのは止めた。
‥絶対聞かない方がいいやつだろうって思うし。
きっと、父親はろくでもない奴なんだろう。
だから、そいつのせいで、僕と母さんは家を出て逃げ回る羽目になっているんだろう。
母さん‥僕の父さんは一体、どんな悪い奴なんだ?
母さんが言わないなら聞かない方がいいんだろう。
そして、僕は‥そのろくでもない父親のせいで名前を変えさせられて、‥これからは男であることさえも隠して、生きていかなければならなくなった。
‥絶対殺してやる。
母さんを殺した奴は‥
ナツミさんが殺してくれたらしいってイオさんから聞いた。
ナツミさんは、この村の用心棒なんだって。
詳しいことは‥聞かない方がいいって言われたから聞かない。(父さんの正体以上にヤバい気するもんね)
ナナフル・レイン
僕の新しい名前。
‥全然慣れない。
呼ばれても、自分の名前だって気がしない。
女の子の名前‥
そして、
平民の名前‥。
‥それはいい。
別に貴族でよかったって思ったことは無い。
貴族だったから母さんは殺された‥んだろうし。(なんとなく、そんな気がする)
それに、
僕は、貴族の子だのに
魔力がない。
全く、ほんのちょっとも‥なかったらしい。
「騎士紋‥憧れてたのに‥」
一人でいるとき、‥ぼそりと呟いてしまっていた。
ネーメル家は比較的騎士紋が出やすい家だ。
騎士紋が出やすい家って珍しいんだ。魔術士紋は貴族だったら結構でやすい紋なんだって。
そのうちひょっこり出るかもしれない。
魔術士紋は、生まれた時出てなかったらもう出ない紋らしいけど、騎士紋は成長してからでるかもしれない紋ならしい。
‥っていっても、10歳位までかな~。
僕は来年10歳になっちゃうから、ここ1年が勝負の年だな。
騎士紋を持つ者は、身体が健康で、精神もまた健全で、信念があり、弱き者に優しく‥忠誠心が強い。
憧れるね。
理想の男だね!
そして‥
‥僕からは遠い‥
自分の細っこい腕と足を見つめる。
僕がもし、そんな男だったら母さんを守れたんだろう。
事件直後うなされて目が覚めて、そういって泣いた僕に「イオ母さん」(← そう呼べと言われた)が
「ナナフルはナナフルのままで大丈夫だ。ナナフルのことは私やザッカ‥皆が支えてあげるよ」
って言って、ザッカも僕の事抱きしめてくれたけど‥
‥それって、男として、どう。
嫁って設定だけど、‥僕は男で女の子じゃない。
でも、確かにザッカなら「騎士っぽい」な‥。
いいな‥。
って思った。
そして、そんな時遠くの村に働きに行っていたザッカの父さんが帰って来たんだ。長期休暇なんだって。
見慣れない僕が家にいて料理を手伝っているのを見て首を傾げたザッカの父さん・ダンクさんに、イオ母さんは、
「ザッカの嫁」
って僕を紹介した。
傭兵だったっけ、警備兵だったっけなダンクさん。
イオさん曰く「脳筋で嘘がつけない」そして「単純バカ」ならしいから、
「ホントのことは言わない(言えない)」
らしい。
「絶対馬鹿正直に言っちゃいそうだし、言わなくても顔に出そう」
だから。らしい。
「嫁!! 」
ダンクさん‥信じちゃってるじゃん。
「別嬪だな! 良かったな! ザッカ! ナナフル、俺の事は父さんって呼びなさい! 」
って言ったんだ。
いや、‥はい。(ナナフル苦笑い)
「ザッカ! 女の子は大事にして、ちゃんと守ってやるんだぞ! 」
ザッカ、面白そうな顔するんじゃない。
「はい! 俺は、ナナフルを守って一生愛します! 」
いい返事するんじゃない。
そのとき‥
ザッカの胸元‥? 鎖骨の辺りが光った気がしたんだ。
ん? ザッカって‥ペンダントとかなんかしてたっけ??
‥つい、襟元を覗き込んでしまった。
「ナナフル!? 」
ザッカが真っ赤になって、ダンクさんにからかわれる。
鎖骨の下のあたり‥光ったのは、痣だった。
青い、痣‥。
あの痣は‥
「騎士紋!! 」
夢にまで見た‥
騎士紋だった。
「え!? 」
「ザッカ! それ、絶対騎士紋だよ!! 」
で、ダンクさんと一緒に村長さんに聞きに行って、騎士紋であることが分った‥ってそれからは大変だった。ザッカは村長さんに剣を習わせてもらったり、(村長に授業料を出してもらう代わりに村長の家で、雑用やなんかをして働かされていた)騎士団に入って稽古に明け暮れたり‥
会えない間は、ナナフルとは文通をしていたっけ。
久し振りにあった二人がお互い一目惚れをしたり、‥は、また別のお話。
‥これが、ザッカ、騎士紋が出た。の真実。
ナナフルも結構忘れてたし、ザッカに至っては、結構もっとロマンチックな感じに記憶をねつ造していた。
「ナナフルに誓ったんだ。「きっと幸せにする、この騎士紋に誓って」って」
いい顔をするザッカに、真っ赤な顔して俯くナナフル。
キラキラした顔して話を聞くコリン。
‥皆幸せそうだから、真相とかもうどうでもいい。
0
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【完結】ねこネコ狂想曲
エウラ
BL
マンホールに落ちかけた猫を抱えて自らも落ちた高校生の僕。
長い落下で気を失い、次に目を覚ましたら知らない森の中。
テンプレな異世界転移と思ったら、何故か猫耳、尻尾が・・・?
助けたねこちゃんが実は散歩に来ていた他所の世界の神様で、帰るところだったのを僕と一緒に転移してしまったそうで・・・。
地球に戻せないお詫びにとチートを貰ったが、元より俺TUEEをする気はない。
のんびりと過ごしたい。
猫好きによる猫好きの為の(主に自分が)猫まみれな話・・・になる予定。
猫吸いは好きですか?
不定期更新です。
蝶々の繭
華周夏
BL
同性愛者というだけで、家族から厄介者扱いされた洋之は、山奥で画家をしている父親の従兄弟の覚に預けられる。もう恋はしないと思っていた。あのひとを失って、心の中には何もなくなった。穴があいてしまったように。
洋之は覚に心惹かれていくが、昔、父の従兄弟の覚と運命的な恋をした相手は他でもない洋之の父親だった………。
腐男子ですが、お気に入りのBL小説に転移してしまいました
くるむ
BL
芹沢真紀(せりざわまさき)は、大の読書好き(ただし読むのはBLのみ)。
特にお気に入りなのは、『男なのに彼氏が出来ました』だ。
毎日毎日それを舐めるように読み、そして必ず寝る前には自分もその小説の中に入り込み妄想を繰り広げるのが日課だった。
そんなある日、朝目覚めたら世界は一変していて……。
無自覚な腐男子が、小説内一番のイケてる男子に溺愛されるお話し♡
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
[完結]堕とされた亡国の皇子は剣を抱く
小葉石
BL
今は亡きガザインバーグの名を継ぐ最後の亡国の皇子スロウルは実の父に幼き頃より冷遇されて育つ。
10歳を過ぎた辺りからは荒くれた男達が集まる討伐部隊に強引に入れられてしまう。
妖精姫との名高い母親の美貌を受け継ぎ、幼い頃は美少女と言われても遜色ないスロウルに容赦ない手が伸びて行く…
アクサードと出会い、思いが通じるまでを書いていきます。
※亡国の皇子は華と剣を愛でる、
のサイドストーリーになりますが、この話だけでも楽しめるようにしますので良かったらお読みください。
際どいシーンは*をつけてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる