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72.明日、君にまた会えるって確証が何処にあるんだ、って暮らし。
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「ちょっとちゅ‥ぐらいでなんだって言うんだ‥。ザッカなんて、ナナフルともっとエロイことしてるくせに‥」
アンバーがぶ~と頬を膨らませて抗議している。
‥大の大人がなんて顔してるんだ。男がそんな顔したって可愛くないぞ。
でも、まあ言ってることは‥分かる。
‥うん、それは僕も思った。
理不尽だよね。
でも、父親の気持ちとしたらね、どこかにぶつけずにはおれないんだよ。
うん、
多分ね。
僕が言うのもなんだけど、‥その気持ちもわからないでもない。
‥分からないでもないけど、‥「お互い様だろ。ってか、お前に言われる筋合いはない」感は強いよね~。
でも、言わない。同意とか、仲いい~みたいなこと、今はしない。
絶対。
だって、僕は怒っているんだ! よりによって、シークさんに他の男とキスしてる‥キスされてるところ‥見られるなんて最低だ。
これが原因でシークさんに嫌われたり、ギクシャクすることがあったら、絶対アンバーを許さない。‥どんな手を使っても、消す。
「そもそも、コリンも初心すぎるよ。ちゅ、位で‥。初等学生のカップルかよ。子供向けの絵本の「お姫様と王子様」かよ‥」
はあ、と大袈裟にため息をついて、アンバーが「やれやれ」ってポーズをする。
コリンが、ぴくり、と眉を寄せる。
‥は? 僕に八つ当たり? 責任転嫁? 最悪だな‥。
「アンバーうるさい」
兎に角睨み付けておこう。目つきの悪い、怖い顔‥とか、こんな顔、シークさんには見せられない。
シークさんには、可愛い顔だけ見せたい。(睨んでいる顔より、普段、高等魔術を使っている時の方がよっぽどヤバくて怖い顔をしていることに、コリンは気付いていない。案外狙った「怖い顔」より、意識していない顔の方が怖いってことは多いと思う。可愛い顔、ってのも然りだな)
「にしても、シークはどう考えてるんだろ。
俺たちにしても、冒険者にしても‥明日、君にまた会えるって確証が何処にあるんだって暮らしだ。
恋人と会えるのは今日だけかもしれない、明日がないかもしれない。
なら、今抱きたい。って‥思わないんだろうか。
その日その日が、今日が最後‥って思わないんだろうか。
俺は思ってた。‥特定の恋人なんていなかったけど、その時その時、可愛いって思う子はいるわけだよね。結婚相手として見るんだったら、大事に愛を育むもんだ‥なんて飲み屋で知り合っただけのジイサンたちは言うんだけど‥その時間が俺にあるとは限らない。
‥我慢したところで、明日があるのかどうか保証がないなら、我慢なんてしない。抱きたいって思ったら抱く。
普通に性欲もあるし、ありがたいことに見かけがいいから女の子に不自由したこともない」
‥シークさん批判から始まって、最後は「俺はモテます自慢」? 何がしたいんだ??
イラっとするわ~。
コリンのアンバーを見る目は、呆れを通り越して、まるでゴミ虫を見る様な目だった‥。
「アンバーって、すっごい女タラシだのに、なんで僕にちょっかいかけてくるの? 僕、男だよ? 見たんでしょ? 」
はあ、と大袈裟にため息をついて、コリンがアンバーを一瞥した。
「見たって何を? 」
アンバーが首を傾げる。
‥何か見たっけ?
と、首を二三回捻る。
「僕の裸」
コリンがぼそっと言って、赤面する。
うわ、恥ずかしい。裸見たでしょってなんだよ。なんか、やらしいことしたみたいじゃないか‥。
ぎっと、ザッカとシークの‥実際に熱を感じる程の‥怒気がアンバーに向かう。
ひ! とまたアンバーが跳ね退く。
「え! なんで!? 」
目は極限までに開き、腰は最大限ザッカとシークから離れるように‥引いている。
コリンはギっとアンバーを睨むと、
「僕の事、魔術士で誓約士ってわかってたじゃないか! 見たんだろ!? 僕の裸! 」
例の、森でアンバーに捕まった時、アンバーはコリンに「誓約士なんですね」って言ったのだ。
誓約士だって分かったってことは‥つまり、見られたってことだ。もしかしたら、全身くまなく‥。
‥あ、不味いちょっと涙出て来た。
コリンの涙を見て、ザッカとシークの怒気がもっと激しくなる。
‥地獄の業火も斯くや‥って言う程‥。
「アンバー貴様‥」
ゆらり、とザッカが立ち上がる。
シークは絶対零度の目で、アンバーを無言で見下ろしている。
「ええ!? コリン、ホントに黙って!? 違う。腕がたまたま見えて、そこに誓約士の職紋が見えたから!! 誓約士だってことは、すなわち魔術士でしょう!? 」
魔術士 = 誓約士では無いが、誓約士は魔術士しかなれないから、誓約士 = 魔術士で間違いない。
「‥なんで‥」
シークの声がいつもより低い。
アンバーは座っていて、シークは立っているので、体格の差もあり、もう大男のようにも見える。
‥怖い。
「え? なに、シーク? 」
恐る恐る質問する。
「なんで、アンバーはコリンの職紋が「誓約士」って分かったんだ? 」
シークが、低く、全く感情がこもらない声でアンバーに聞いた。
「「「!!! 」」」
‥そういえば!
アンバーはこのあいだまで、誓約士の職業紋はおろか、魔術士の紋すら知らなかったはずでは!?
それには、コリンとザッカだけではなく、ナナフルの視線もアンバーに集まる。
はあ、アンバーがため息をつく。
「鑑定‥」
ぼそり、と呟く。
「俺は、鑑定の魔術が使える。は~俺の、隠しておきたいトップシークレットだったのに‥。俺って隠し事に向いてないな~」
「鑑定? 」
‥怪しい。なんか、アンバーのすることなすこと全部なんか怪しい‥。
そんなコリンの胡乱気な視線に気付かなかったのか、見ないフリしたのか
「例えば、ザッカさんは俺の鑑定によると‥「騎士紋を保有する。戦闘能力は高めだが魔力はない」だ。ナナフルは「文献探索、文書作成のスペシャリスト。職業紋、魔力なし」だな。シークは‥「S級冒険者。剣士紋保有。魔力ありだが、魔術の知識は少ない」‥コリンは‥」
アンバーが説明を続ける。
すん‥、とアンバーの鮮やかな赤い目が、赤黒っぽくなる。
鑑定は‥詮索と同様、風魔法が主だけど、アンバーのこれは、「情報の強制提示」‥闇魔法だろう。闇魔法で、対象者の心に無理矢理アクセスするもので、「職業」や「当たり障りのない」情報しか得ることは出来ない。
風魔法の鑑定はそれに対してもう少し、素材の鑑定‥みたいなところがあるから、過去にした怪我だとか、身長体重とかいう「測れば分かる」的な数値。勿論、職業紋の保有の有無。魔力の有無。それに加えて「この人はこういうふうに周りに思われているよ」とかいう(風だけに)風の噂的なことまで分かったりする。因みに、闇魔法の鑑定では、属性は分からないのだが、風魔法でも完全に分かるわけでもない。魔力量が多い程「この属性があるのかな? 」って感じられる‥って位だ。
だけど、鑑定としてのレベルが高いのは、風魔法の方‥って感じかな。
‥にしても、アンバー、‥チート過ぎない??
「‥もういい。もう、何も驚かない。アンバーは凄いよ。僕なんか、普通の人なんだって思い知った」
でも、‥なんか、アンバーって‥「なんちゃって再生魔術」な「成長促進」とか、「なんちゃって鑑定」な鑑定もどき‥とか、まぎらわしい魔術多い。‥性格が魔術に現れてるのかしらん。
‥今度、変なことしたら、「なんちゃって野郎」って呼んじゃうからな‥。
コリンはため息をついた。
アンバーはコリンのつぶやきを聞いていない。
引き続き、コリンの「鑑定」を続けているようだ。
「コリン? ん? 「誓約士。魔術紋、誓約士紋保有。魔術の知識が多い」‥魔術紋も持ってるのか? 何処? 反対の腕? 見せてよ。俺結局見せてもらってない‥(アンバーの職業紋は肩甲骨の所にあって、自分では見れなのだ)」
にこっと笑うアンバーに、コリンとシークの声が被る。
「「絶対見せない!! 」」
「へ?? 何、シークとコリン‥? 」
何のことかわからず、首を傾げるアンバーだった。
アンバーがぶ~と頬を膨らませて抗議している。
‥大の大人がなんて顔してるんだ。男がそんな顔したって可愛くないぞ。
でも、まあ言ってることは‥分かる。
‥うん、それは僕も思った。
理不尽だよね。
でも、父親の気持ちとしたらね、どこかにぶつけずにはおれないんだよ。
うん、
多分ね。
僕が言うのもなんだけど、‥その気持ちもわからないでもない。
‥分からないでもないけど、‥「お互い様だろ。ってか、お前に言われる筋合いはない」感は強いよね~。
でも、言わない。同意とか、仲いい~みたいなこと、今はしない。
絶対。
だって、僕は怒っているんだ! よりによって、シークさんに他の男とキスしてる‥キスされてるところ‥見られるなんて最低だ。
これが原因でシークさんに嫌われたり、ギクシャクすることがあったら、絶対アンバーを許さない。‥どんな手を使っても、消す。
「そもそも、コリンも初心すぎるよ。ちゅ、位で‥。初等学生のカップルかよ。子供向けの絵本の「お姫様と王子様」かよ‥」
はあ、と大袈裟にため息をついて、アンバーが「やれやれ」ってポーズをする。
コリンが、ぴくり、と眉を寄せる。
‥は? 僕に八つ当たり? 責任転嫁? 最悪だな‥。
「アンバーうるさい」
兎に角睨み付けておこう。目つきの悪い、怖い顔‥とか、こんな顔、シークさんには見せられない。
シークさんには、可愛い顔だけ見せたい。(睨んでいる顔より、普段、高等魔術を使っている時の方がよっぽどヤバくて怖い顔をしていることに、コリンは気付いていない。案外狙った「怖い顔」より、意識していない顔の方が怖いってことは多いと思う。可愛い顔、ってのも然りだな)
「にしても、シークはどう考えてるんだろ。
俺たちにしても、冒険者にしても‥明日、君にまた会えるって確証が何処にあるんだって暮らしだ。
恋人と会えるのは今日だけかもしれない、明日がないかもしれない。
なら、今抱きたい。って‥思わないんだろうか。
その日その日が、今日が最後‥って思わないんだろうか。
俺は思ってた。‥特定の恋人なんていなかったけど、その時その時、可愛いって思う子はいるわけだよね。結婚相手として見るんだったら、大事に愛を育むもんだ‥なんて飲み屋で知り合っただけのジイサンたちは言うんだけど‥その時間が俺にあるとは限らない。
‥我慢したところで、明日があるのかどうか保証がないなら、我慢なんてしない。抱きたいって思ったら抱く。
普通に性欲もあるし、ありがたいことに見かけがいいから女の子に不自由したこともない」
‥シークさん批判から始まって、最後は「俺はモテます自慢」? 何がしたいんだ??
イラっとするわ~。
コリンのアンバーを見る目は、呆れを通り越して、まるでゴミ虫を見る様な目だった‥。
「アンバーって、すっごい女タラシだのに、なんで僕にちょっかいかけてくるの? 僕、男だよ? 見たんでしょ? 」
はあ、と大袈裟にため息をついて、コリンがアンバーを一瞥した。
「見たって何を? 」
アンバーが首を傾げる。
‥何か見たっけ?
と、首を二三回捻る。
「僕の裸」
コリンがぼそっと言って、赤面する。
うわ、恥ずかしい。裸見たでしょってなんだよ。なんか、やらしいことしたみたいじゃないか‥。
ぎっと、ザッカとシークの‥実際に熱を感じる程の‥怒気がアンバーに向かう。
ひ! とまたアンバーが跳ね退く。
「え! なんで!? 」
目は極限までに開き、腰は最大限ザッカとシークから離れるように‥引いている。
コリンはギっとアンバーを睨むと、
「僕の事、魔術士で誓約士ってわかってたじゃないか! 見たんだろ!? 僕の裸! 」
例の、森でアンバーに捕まった時、アンバーはコリンに「誓約士なんですね」って言ったのだ。
誓約士だって分かったってことは‥つまり、見られたってことだ。もしかしたら、全身くまなく‥。
‥あ、不味いちょっと涙出て来た。
コリンの涙を見て、ザッカとシークの怒気がもっと激しくなる。
‥地獄の業火も斯くや‥って言う程‥。
「アンバー貴様‥」
ゆらり、とザッカが立ち上がる。
シークは絶対零度の目で、アンバーを無言で見下ろしている。
「ええ!? コリン、ホントに黙って!? 違う。腕がたまたま見えて、そこに誓約士の職紋が見えたから!! 誓約士だってことは、すなわち魔術士でしょう!? 」
魔術士 = 誓約士では無いが、誓約士は魔術士しかなれないから、誓約士 = 魔術士で間違いない。
「‥なんで‥」
シークの声がいつもより低い。
アンバーは座っていて、シークは立っているので、体格の差もあり、もう大男のようにも見える。
‥怖い。
「え? なに、シーク? 」
恐る恐る質問する。
「なんで、アンバーはコリンの職紋が「誓約士」って分かったんだ? 」
シークが、低く、全く感情がこもらない声でアンバーに聞いた。
「「「!!! 」」」
‥そういえば!
アンバーはこのあいだまで、誓約士の職業紋はおろか、魔術士の紋すら知らなかったはずでは!?
それには、コリンとザッカだけではなく、ナナフルの視線もアンバーに集まる。
はあ、アンバーがため息をつく。
「鑑定‥」
ぼそり、と呟く。
「俺は、鑑定の魔術が使える。は~俺の、隠しておきたいトップシークレットだったのに‥。俺って隠し事に向いてないな~」
「鑑定? 」
‥怪しい。なんか、アンバーのすることなすこと全部なんか怪しい‥。
そんなコリンの胡乱気な視線に気付かなかったのか、見ないフリしたのか
「例えば、ザッカさんは俺の鑑定によると‥「騎士紋を保有する。戦闘能力は高めだが魔力はない」だ。ナナフルは「文献探索、文書作成のスペシャリスト。職業紋、魔力なし」だな。シークは‥「S級冒険者。剣士紋保有。魔力ありだが、魔術の知識は少ない」‥コリンは‥」
アンバーが説明を続ける。
すん‥、とアンバーの鮮やかな赤い目が、赤黒っぽくなる。
鑑定は‥詮索と同様、風魔法が主だけど、アンバーのこれは、「情報の強制提示」‥闇魔法だろう。闇魔法で、対象者の心に無理矢理アクセスするもので、「職業」や「当たり障りのない」情報しか得ることは出来ない。
風魔法の鑑定はそれに対してもう少し、素材の鑑定‥みたいなところがあるから、過去にした怪我だとか、身長体重とかいう「測れば分かる」的な数値。勿論、職業紋の保有の有無。魔力の有無。それに加えて「この人はこういうふうに周りに思われているよ」とかいう(風だけに)風の噂的なことまで分かったりする。因みに、闇魔法の鑑定では、属性は分からないのだが、風魔法でも完全に分かるわけでもない。魔力量が多い程「この属性があるのかな? 」って感じられる‥って位だ。
だけど、鑑定としてのレベルが高いのは、風魔法の方‥って感じかな。
‥にしても、アンバー、‥チート過ぎない??
「‥もういい。もう、何も驚かない。アンバーは凄いよ。僕なんか、普通の人なんだって思い知った」
でも、‥なんか、アンバーって‥「なんちゃって再生魔術」な「成長促進」とか、「なんちゃって鑑定」な鑑定もどき‥とか、まぎらわしい魔術多い。‥性格が魔術に現れてるのかしらん。
‥今度、変なことしたら、「なんちゃって野郎」って呼んじゃうからな‥。
コリンはため息をついた。
アンバーはコリンのつぶやきを聞いていない。
引き続き、コリンの「鑑定」を続けているようだ。
「コリン? ん? 「誓約士。魔術紋、誓約士紋保有。魔術の知識が多い」‥魔術紋も持ってるのか? 何処? 反対の腕? 見せてよ。俺結局見せてもらってない‥(アンバーの職業紋は肩甲骨の所にあって、自分では見れなのだ)」
にこっと笑うアンバーに、コリンとシークの声が被る。
「「絶対見せない!! 」」
「へ?? 何、シークとコリン‥? 」
何のことかわからず、首を傾げるアンバーだった。
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