おおきくなあれ

広瀬あかり

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たいせつに、たいせつに

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あるひ、ぼくはおかあさんからちいさなタネをもらったんだ!

「ついにあなたにもこのひがきたのね!おかあさんうれしいわ!」

ぼくはおかあさんがてにのせてくれたちいさなタネをすぐにうめました。

「おおきくなるかなあ、おおきくなるかなあ。」

このタネが、いつかおおきなおおきなになって

ぼくらもおいこしてくもをつきぬけてうちゅうまでいくのかなあ・・・

じっとそらをみあげました、とってもわくわくします。

それからまいにち、おかあさんといっしょにたくさんおみずをあげました。

でも、ぜんぜんおおきくなりません・・・ぼくはかなしくなってしまいました。

「おかあさん、このタネ・・・しんじゃったのかなあ・・・?」

ぼくはないちゃったんだ、でもおかあさんはぼくをわらってだきしめてくれます。

「だいじょうぶ、あのタネはね?しんじゃったんじゃない、まだまれてないの」

「うまれてない・・・?まだママのおなかのなかってこと・・・?」

「そう、このタネのなまえはね、ゆめのタネ」っていうのよ。

おかあさんはぼくをはなして、タネをうめたじめんをポンポンとたたきます。

「このゆめのタネはね?あなたがゆめをもったときにをだすの。」

ぼくには、おかあさんがなにをいっているのかわかりませんでした。

「ゆめ・・・・?」

「あんなふうになりたいとかこんなふうになりたいとか心からねがうこと、それがゆめ

おかあさんはもういちどぼくをギュッとしてくれました。

「やっぱりあなたにはまだはやかったかな?おかあさんのいってること・・・わかる?」

にっこりぼくのあたまをなででおかあさんはやさしくぼくにききました。

このとき、ぼくにはゆめがありました!

「ぼくの、ぼくのゆめはね・・・?せかいじゅうのみんなを笑顔えがおにすること!」

あしをバッておおきくひろげてぼくはいいました。

すると・・・

ニョキ!

突然タネをうめたばしょからがでてきました!

ぜったいにぼくのタネです!

「やったあ!!おかあさんみて、ぼくのがでたよ!!」

「すごいすごい!でも、たいへんなのはこれから。あなたはこのちいさなちいさなをりっぱなおおきなにできるかな?とってもむずかしいわよ?」

そんなことをいわれても、ぼくはそんなのわかっています!

ぼくはりょうてをこしにあててえらそうにおしえてあげました。

「そんなのかんたん!ぼくにはむずかしくない!だってもうがでたんだもん!」

「ふふ、そうね・・・ごめんなさい。」

おかあさんはまたあたまをやさしくなでてくれました、うれしいです。

でも、このときぼくはあることがになってききました。

「おかあさんのはどこにあるの?」

ぼくがそういうと、おかあさんはぼくのてをつかんであるきだしました。

「ちょっとみにいこっか、おかあさんの!」

ちょっとあるいて、ぼくとおかあさんはおうちまでかえってきてしまいました。

「おかあさん、もうおうちについちゃったよ?」

「ふふ、このよ?」

おかあさんがゆびでさしたのは、ぼくたちがすんでるとってもとってもおおきなでした

ぼくたちはのうえにすんでいます。

「おかあさんのってぼくたちのおうちなの!?こんなおっきいのがおかあさんの!?」

ぼくはびっくりしました

「こんなおおきないったいどうやったの・・・!?」

おかあさんはぼくをみつめておしえてくれました。

「おかあさんのゆめはね、あなたをぶじにんでしあわせにすること、大人おとなになるまでたいせつに、たいせつにそだてること・・・それがおかあさんのこれからもずっとかわらないたいせつなゆめ・・・でも・・・もうこんなにおおきくなった・・・まだまだこどもだけど・・・ぶじにめて本当によかった・・・おかあさんのもとにまれてきてくれて・・・ほんとうにありがとう・・・!」

おかあさんはぼくをまたギュってしてないてしまいました。

でも、なんだかかなしくはありません、うれしいです。

おかあさんのはぼくのことをだいすきでいてくれる

ありがとう、おかあさん。

ぼくもじぶんのをたいせつに、たいせつに・・・

いっしょうけんめいそだてようとおもいました。
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