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2.苺香の取扱説明書
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彼女の一日のスケジュール。朝は俺と同じ時間に起床。まずはトイレに連れていく。洗顔に歯磨きに髪を整えると、朝食の時間だ。出勤前には何度も頭を撫でては抱擁し、いい子で留守番してるんだよと口頭で伝える。俺が仕事に行ってる間に何をしているのかは不明だが、昼に家に戻ると朝別れた場所から一ミリもずれていなかったので、恐らくトイレにも行けてないのだろう。
慌ててトイレを済まし、昼食を作ってやる。朝はトースターで焼いた食パンにジャムを塗っただけだったが、あれだけで足りただろうか。
昼はご飯を炊いておいたので、魚を焼いてみた。それに豆腐とわかめの味噌汁を添えてやる。
飲食はどうかと思ったが、箸やスプーンを口にやれば咀嚼して飲み込むようだ。しかし、口元は汚れても自分で拭いたりしないので、俺が毎回拭いている。
今のところおねしょはしてなさそうだが、そのうちするかもしれないな。
つまり彼女は赤ちゃんと一緒。大事に育てていけば色々と出来る事が増えていくかもしれない。
夜は夕食、入浴、歯磨きをしてからベットに寝かせる。こんな生活をもう二ヶ月くらい続けていると、少しずつ彼女の事が分かってきた。
まず、彼女はトイレ以外では排尿しない。これは俺が教えた訳ではなく、最初からそうだった。(但し、最初のお漏らしは除く)
次に便はしない。というのも、食べた物も飲んだ物も全て尿に変わっているようだった。
他にも風邪は引かない、好き嫌いがない、眠らない、等々分かった。
そしてつい先日、ポストに一通の手紙が投函されていた。そこには取扱説明書とだけ記載されていて、白紙にびっしりと箇条書きで文字が並んでいる。内容としてはこうだ。
・当製品は自分の意思で排泄行為をする事はありません。お客様のタイミングで適度におこなってください。(長時間排泄させないからといって膀胱炎になるという事はないのでご安心を)
・当製品は美しさが売りなので排便する事はありません。食べた物は全て排尿という形で外に出ていきます。よって食べた物が多ければ多い程排尿量も多くなります。
・当製品は睡眠を必要としません。日数が経てばある程度は眠る事が出来るようになりますが眠らなくてもなんら問題はありません。
・当製品は性的興奮を覚えるよう予め設定してあります。妊娠機能はありませんが一般の女性同様オーガズムを感じる事が出来ます。
・当製品は日数が経てば経つ程学習機能が備わっていきます。涙を流す事はありませんが感情も同時進行で備わっていきます。よって自分の意思で言葉を発する可能性があります。
細かい部分は割愛するが、大まかな説明はざっとこんな感じだった。
とくに気になるのはこの、『妊娠機能はありませんが一般の女性同様オーガズムを感じる事が出来ます』という部分。
妊娠機能がないという事は、いくら中に出しても問題ないという訳で、それでいてオーガズムを感じる事が出来るという事は、簡単に言ってしまえばそういう事だ。
そしてこの、『日数が経てば経つ程学習機能が備わっていきます』の部分。学習。つまりはこちらの生活パターンを覚え、部屋の配置を理解し、言葉の意味を記憶していくという事なのだろう。
感情も同時進行でという事は、悲しんだり喜んだりするようになるという事だ。
そして、ゆくゆくは自分の意思で言葉を発する可能性がある……と。
「……ああすまん、苺香。実はきみの取扱説明書が届いてな。きみの事が知りたくてつい、真剣に読んでしまった。これはきみの御主人様が届けてくれたのかもな」
苺香の御主人様……アンティークショップの店長にはまだ一度も会った事はないが、金を払わず黙って連れてきてしまったというのに丁寧に説明書を家まで送りつけてくれるのだから感謝しかない。
いや待てよ。百歩譲って、監視カメラに俺の姿が映っていたとして、どうして家の場所まで分かるんだ?
よくよく封筒を見れば、宛名も差出人も不明のまま。すなわちそれは、向こうがこちらの住所を記載して届けたのではなく、直接此処まで足を運んできたという事だ。
一体どうやって。そんなの、答えはひとつしかない。
俺はあの日、誰かに尾行されていたのだろう。
それから俺は、苺香に適度に排尿をさせ、眠る事は出来なくても目を閉じているだけである程度は身体の疲れが取れる事を教えていった。
服や下着は全て通販で購入した。出来る限り食事は一緒に取るようにしたし、お風呂や着替えも手伝った。
まるで子供を相手にしているような気分だ。だがそれも悪くない。仮に俺にパートナーが出来たとしても、苺香の存在を隠す必要はないだろう。口を滑らせなければ誰も苺香を人形だなんて思うはずがない。それ程までに普通の人間に見えるのだ。
こうして何日も共に生活しているうちに、苺香が居る事に慣れていった。最初はあんなに戸惑っていたお風呂も、今では意識する事なく出来ている。それでもこちらは男なので、むらむらしたら触ってしまう。
柔らかい唇を食み、舌を絡ませ、そのまま胸へと手を伸ばす。胸を揉めば舐めたくなるので欲に従い、欲に従えば今度は下の濡れ具合が気になり下着に手をかける。
ああ、俺はクソ野郎だ。恋人でもない癖に身体ばかり求めている。あの説明書を読む限り、そういう使い方も出来るという事だ。
苺香を俺の性玩具に。
考えただけでゾッとする。
だが、俺のこれはそいつらと同じなんじゃないか。普段は我が子のように愛でる癖に、むらむらした時は求めるなんて。
他にも苺香のような子は居るのだろうか。主人はどんな人で、どんなふうに暮らしているのだろう。そういった人形を買った人達のコミュニケーションツールみたいな場は。
苺香の太股に当てながらそんな事を考える。一回出して一眠りしたら検索してみよう。俺は苺香の太股を白く染めた。
慌ててトイレを済まし、昼食を作ってやる。朝はトースターで焼いた食パンにジャムを塗っただけだったが、あれだけで足りただろうか。
昼はご飯を炊いておいたので、魚を焼いてみた。それに豆腐とわかめの味噌汁を添えてやる。
飲食はどうかと思ったが、箸やスプーンを口にやれば咀嚼して飲み込むようだ。しかし、口元は汚れても自分で拭いたりしないので、俺が毎回拭いている。
今のところおねしょはしてなさそうだが、そのうちするかもしれないな。
つまり彼女は赤ちゃんと一緒。大事に育てていけば色々と出来る事が増えていくかもしれない。
夜は夕食、入浴、歯磨きをしてからベットに寝かせる。こんな生活をもう二ヶ月くらい続けていると、少しずつ彼女の事が分かってきた。
まず、彼女はトイレ以外では排尿しない。これは俺が教えた訳ではなく、最初からそうだった。(但し、最初のお漏らしは除く)
次に便はしない。というのも、食べた物も飲んだ物も全て尿に変わっているようだった。
他にも風邪は引かない、好き嫌いがない、眠らない、等々分かった。
そしてつい先日、ポストに一通の手紙が投函されていた。そこには取扱説明書とだけ記載されていて、白紙にびっしりと箇条書きで文字が並んでいる。内容としてはこうだ。
・当製品は自分の意思で排泄行為をする事はありません。お客様のタイミングで適度におこなってください。(長時間排泄させないからといって膀胱炎になるという事はないのでご安心を)
・当製品は美しさが売りなので排便する事はありません。食べた物は全て排尿という形で外に出ていきます。よって食べた物が多ければ多い程排尿量も多くなります。
・当製品は睡眠を必要としません。日数が経てばある程度は眠る事が出来るようになりますが眠らなくてもなんら問題はありません。
・当製品は性的興奮を覚えるよう予め設定してあります。妊娠機能はありませんが一般の女性同様オーガズムを感じる事が出来ます。
・当製品は日数が経てば経つ程学習機能が備わっていきます。涙を流す事はありませんが感情も同時進行で備わっていきます。よって自分の意思で言葉を発する可能性があります。
細かい部分は割愛するが、大まかな説明はざっとこんな感じだった。
とくに気になるのはこの、『妊娠機能はありませんが一般の女性同様オーガズムを感じる事が出来ます』という部分。
妊娠機能がないという事は、いくら中に出しても問題ないという訳で、それでいてオーガズムを感じる事が出来るという事は、簡単に言ってしまえばそういう事だ。
そしてこの、『日数が経てば経つ程学習機能が備わっていきます』の部分。学習。つまりはこちらの生活パターンを覚え、部屋の配置を理解し、言葉の意味を記憶していくという事なのだろう。
感情も同時進行でという事は、悲しんだり喜んだりするようになるという事だ。
そして、ゆくゆくは自分の意思で言葉を発する可能性がある……と。
「……ああすまん、苺香。実はきみの取扱説明書が届いてな。きみの事が知りたくてつい、真剣に読んでしまった。これはきみの御主人様が届けてくれたのかもな」
苺香の御主人様……アンティークショップの店長にはまだ一度も会った事はないが、金を払わず黙って連れてきてしまったというのに丁寧に説明書を家まで送りつけてくれるのだから感謝しかない。
いや待てよ。百歩譲って、監視カメラに俺の姿が映っていたとして、どうして家の場所まで分かるんだ?
よくよく封筒を見れば、宛名も差出人も不明のまま。すなわちそれは、向こうがこちらの住所を記載して届けたのではなく、直接此処まで足を運んできたという事だ。
一体どうやって。そんなの、答えはひとつしかない。
俺はあの日、誰かに尾行されていたのだろう。
それから俺は、苺香に適度に排尿をさせ、眠る事は出来なくても目を閉じているだけである程度は身体の疲れが取れる事を教えていった。
服や下着は全て通販で購入した。出来る限り食事は一緒に取るようにしたし、お風呂や着替えも手伝った。
まるで子供を相手にしているような気分だ。だがそれも悪くない。仮に俺にパートナーが出来たとしても、苺香の存在を隠す必要はないだろう。口を滑らせなければ誰も苺香を人形だなんて思うはずがない。それ程までに普通の人間に見えるのだ。
こうして何日も共に生活しているうちに、苺香が居る事に慣れていった。最初はあんなに戸惑っていたお風呂も、今では意識する事なく出来ている。それでもこちらは男なので、むらむらしたら触ってしまう。
柔らかい唇を食み、舌を絡ませ、そのまま胸へと手を伸ばす。胸を揉めば舐めたくなるので欲に従い、欲に従えば今度は下の濡れ具合が気になり下着に手をかける。
ああ、俺はクソ野郎だ。恋人でもない癖に身体ばかり求めている。あの説明書を読む限り、そういう使い方も出来るという事だ。
苺香を俺の性玩具に。
考えただけでゾッとする。
だが、俺のこれはそいつらと同じなんじゃないか。普段は我が子のように愛でる癖に、むらむらした時は求めるなんて。
他にも苺香のような子は居るのだろうか。主人はどんな人で、どんなふうに暮らしているのだろう。そういった人形を買った人達のコミュニケーションツールみたいな場は。
苺香の太股に当てながらそんな事を考える。一回出して一眠りしたら検索してみよう。俺は苺香の太股を白く染めた。
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