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22【番外編】予知夢3 ~動画令息、再び~※

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「……ううっ……」
「クジマ!」

 クジマはゆっくりまぶたを開くと、リネーが心配そうな顔をして覗き込んでいるのがみえた。自分達の家の寝室でクジマは寝ていた。リネーが涙目になりながら声を震わせてクジマに話しかける。

「クジマ、丸一日も寝てたんだよ。ニアス達の師匠さんが高級なポーションをお詫びにってくれて、寝ているクジマに少しづつ飲ませたんだ。目が覚めてよかった……」

 ベッドのサイドテーブルに、高級そうな瓶が置いてあるのをクジマの目に入った。多分、クジマの給料では買えないポーションだろう。

「……ごめん、リネーくんに心配させてしまって……私がおっちょこちょいで、リネーくんに施した雷の防御魔術が私がにかからないようにしなければいけなかったのに忘れてたんだ。魔術師失格だよ……」

 クジマはベッドに寝たまま、しょんぼりした表情でリネーを見た。

「リネーくんを守るっていったのに、自分で死にかけるだなんて……私は自分が情けないよ」
「ねえクジマ。どうしたの?最近、変だよ?なにか悩みがあるなら言ってよ」

 リネーはクジマの頬をそっと指で撫でた。暖かく柔らかい皮膚の感触が伝わってくる。クジマはリネーに予知夢のことを話すことにした。リネーは寝ているクジマが話す間、黙って聞いていた。

「……というわけなんだ。未来の私が、今の私に警告に来てくれたのに、王国に行ってこのざまだ。しかもリネーくんも 危険な目にあいそうになって……」
「偶然じゃないの?あの公園は、夜は危険な場所だったみたいだし」

 クジマは静かに頭を振った。

「魔術師の予知夢は、かなりの高確率で当たると言われている。こんな底辺魔術師の私でも見た予知夢だが、命を懸け秘術を使って未来の私が3人もやってきたんだ。当たる確率は高い……今回は助かったけど、次回はないかもしれない」
「王都に行かなければいいよ!僕はここテイハサーでずっとクジマと暮らしたいよ!」

 リネーはクジマの手を取り両手で包むように握りしめた。リネーの気持ちは痛いほどわかった。クジマも同じ気持ちだからだ。

「実は、会社から王都に移動しないかって上司から言われたんだ。断ったけど、考えておいてくれって言われてしまって……」
「そんな……、な、何かいい方法を考えよう。誰かに相談するとか?」
「相談相手……、私には友達がいないからな……そうだ、魔導ネットで相談すればいいんだ!なんで思いつかなかったんだ……」
「身体が良くなってから、相談すればいいね!」

 クジマとリネーは希望の光が見えたのでお互いに喜んでいると、寝室のドアがいきなり開いた。

「話は聞いたよクジマ!」
「俺たち、兄弟にまかせておけ!」

 アニスとオットーの兄弟が、手に持ったソーセージをパクつきながら部屋に入ってきた。

「お前ら……いたんだ……」
「あー!それはクジマが元気になったら食べさせようと思って買ったちょっと高いソーセージ!アニスとオットーひどいよ!」
「まあまあリネー、気にするな」
「俺たち、成長期だから腹が減ってしょうがないんだよ」

 悪びれもせずにニアスとオットーの二人は、寝ているクジマのそばまでやってきた。

「クジマ、魔導ネットよりもうちの師匠に相談してみたら?」
「そうそう、師匠は凄いんだよ!呪いに造詣ぞうけいが深いんだ」
「呪いだって?……確かに王都に行くと不幸になるというのは呪いに近いかもな……」

 確かにこれは呪いの範囲になるかもしれない。クジマは呪術には詳しくないので、ニアス達の師匠に頼るのがいいとクジマは考えた。

「じゃあ、ニアスとオットー、二人の師匠に相談をしたいから約束を取り付けてくれ」
「うん、わかったよ」
「リネーおなかすいた。メシまだ?」
「ええ……、今ソーセージ食べたばっかりじゃないか……。そうだ、ニアス。クジマと師匠さんが相談するときに僕も同席したいって伝えておいてくれるかな?」
「うん、いいよ」

 リネーの発言にクジマは少し驚いた。

「リ、リネーくん、同席って?相談は私一人でも大丈夫だよ?」
「ううん、僕が参加したい。おそらく、取引の条件を出してくるからね。」

 リネーの言葉に、クジマは確かに相手は取引の条件を出してくるはずだと思う。多分、いや、かなりの高確率で『新作の動画をくれ』だとか『生配信をしろ』とか言い出しそうな気はしていた。

「僕、そういう条件の取引のやり取りは得意なんだ。口八丁手八丁で僕たちにいい契約に持ってくよ」

 リネーはそう言ってベッドで寝ているクジマに安心させるように笑いかける。

(そういえばリネーくんは元貴族だったな……こういうとき頼りになる……いやいつも頼ってばかりだ。私がなんとかしないと……)

+ + +

 ニアスが話を通してくれたおかげで、ニアスとオットーの師匠である天才魔術師だがものすごい変わり者でクセツヨのスミゾメ=ノシタモクと魔導板の通信でクジマとリネーは居間にいながら対面していた。スミゾメは黒髪の長くいかにも魔術師ぜんとした男だった。

(うう、ニアス達の師匠はいいローブ来ているな。魔術糸を使った高級ローブとみた……いまだに父の形見のローブを着ている私とは大違いだ……)

 クジマはかなり緊張していたが、それとは反対にリネーは落ち着いており魔導板に写るスミゾメに対して背筋を伸ばしてしっかりと見つめていた。

「クジマ殿の運命を占ったり霊視をしたが、貴殿は魔力とは別に霊的パワーが弱い。」
「霊的パワー?」
「昔、旅をしている呪術師から学んだんだが、霊的パワーが弱いとどんなに魔術や護符で対策しても根本的な解決にはならない。一時しのぎにしかならないそうだ」
「そんな……」

 クジマはショックをうけた。初めて聞く霊的パワーなど言われてもわからないが、とにかく自分の運の悪さや不幸がそこからきているとは……それではどんなに足掻いても無駄なのでは?と絶望していると、隣に座っているリネーがスミゾメに質問する。

「ノシタモク様、質問よろしいでしょうか?」
「スミゾメで結構です。クジマの伴侶殿」
「スミゾメ様、今回はクジマは怪我はしましたが無事でした。これはその霊的パワーが弱くても乗り切れるということではないですか?」
「今回は、というよりも伴侶殿、あなたは霊的パワーがクジマ殿と違って強い。なにか大きな運命の流れを破壊したことはないですか?」
「……運命ですか……」

 リネーは少しためらったが、覚悟を決めて自分が公爵家の令息で王族と婚約をしていたが逃げ出したことを話した。クジマは隣で話すリネーの話に驚いたが、いつの間にかリネーの手をそっと握っていた。

(リネーくんがかなりの高位貴族で、王族と婚約者だったなんて……どうりで肝が座ってるわけだ……)

 魔導板に映るスミゾメが顔色を変えずに、リネーの話を聞き終えると口を開いた。

「今聞いたことは他言しませんからご安心を。リネー殿は自分でその運命の流れを断ち切ることができたのは、霊的パワーがかなり高いのでしょう」
「でも僕は、魔術は使えませんよ?」
「魔術と霊的パワーは違います。クジマ殿はリネー殿の霊的パワーに引っ張られて悲惨な運命から抜け出せてますが、それは完全ではないだけです。とりあえず、王都に一生行かないようにしてください」

 今度はクジマがスミゾメに質問する。

「しかし会社から、王都に移動しないかと言われてしまったんですよ……こういう場合、どうすれば……」
「ふむ、会社はなんというのだ?」
「テイハサー農業商会です」
「ああ、聞いたことあるな。わかった。明日が明後日、また連絡する。今日はこれで終了だ」
「えっ?」

 いきなり終了と言われてクジマは面食らう。隣に座っているリネーが、通信を切られる前にスミゾメに言った。

「私達を助けてくださるのは、感謝します。ありがとうございます。で、その対価はなんでしょう?お金ではありませんよね?」

 リネーは魔導板に映るスミゾメの目をまっすぐ見る。隣でクジマがリネーの手を握ると、リネーが握り返してきた。

「そうだな……月一で二人のエロ動画を送ってくれればいい。」
「本当にそれだけでいいんですね?契約魔術を結びましょう。」
「ああ、構わないぞ。」
「それは良かったです。スミゾメ様が飽きたり送らなくていいという迄、送ることを誓います。」
「ちょっと!リネーくん……ううっ」

 クジマはリネーに口を塞がれた。リネーがそういった瞬間、魔導板から青白い光が放たれた。クジマは、契約魔術がスミゾメと自分たちの間で結ばれたことを理解した。

「ではまた。ごきげんよう」

 魔導板の通信が切れて、画面からスミゾメが消えた。契約魔術で結ばれた契約書が一枚、いつの間にか机の上に乗っていた。クジマはリネーの両肩を掴んで自分の方に向かせてた。

「なんてことを!あの人は凄い魔術師なんだ、契約はやぶれないよ?絶対なんだよ?」
「クジマのためだよ。それにみてよ」

 リネーは机の上にある契約書を手で持ち、クジマに見せる。

「『スミゾメ=ノシタモクが飽きるが拒否するまでこの契約は続く』ってある。しっかり僕が言ったことが契約書に記されてるから大丈夫」
「どういうこと?飽きるかな、あの人……」
「ふふふ、飽きさせるんだよ」

 リネーはいたずらっぽく笑った。


 3日後、クジマが働くテイハサー農業商会がスミゾメに買収された。クジマは、ずっとにテイハサーで働くことになった。

+ + +

 仕事を終えたクジマは家に帰り、会社のトップが変わったことをリネーに話した。

「スミゾメ様が経営者になったということは、クジマの上司になったんだね」
「そういうことだね……まあ、王都にいてテイハサーには来ないし、会社の人事はそのままだから変わらないよ。まさか昨日今日でこうなるなんて思いもよらなかったけど……驚いたよ」
「じゃあその上司殿に早速、動画を送らないとね」

 リネーは帰ってきたばかりのクジマの首元に抱きついてキスをした。

「んっ、……リネーくん、わたしががキスだけで勃つことを知ってるよね……」
「うん、知ってるからしたんだよ?さあベッドに行こうよ」
「うーん、もう動画を撮るのか……気が進まないけど頑張ろうか……」
「そうそう、僕が撮影するからね」

 リネーに手を引かれてクジマはベッドに誘導されて仰向けに寝かされた。リネーはベッドの上で寝ているクジマの上に跨ると、そのまま服を脱いで一糸まとわぬ姿となった。

「リ、リネーくん!いきなり!?」

 リネーはクジマに跨ったまま、クジマのベルトを緩めるとすでにキスだけで昂ぶった陰茎がぶるんっと飛び出した。

「リネーくん、撮影するなら魔導板、探してこないと……」
「もうあるよ」

 リネーはクジマを見下ろしつつ、手のひらサイズの携帯用魔導板を手に持ってクジマに見せた。

「ふふふ、今日はハメ撮りしちゃうからね。僕が頑張ってクジマのいやらしい顔を携帯用魔導板で撮影するから」

 そう言うと、リネーは腰を微妙に動かしながらクジマの陰茎の先端を自身の淫らな穴に当ててそのまま腰をゆっくり落とし陰茎を受け入れた。

「ひいいっ!!リネーくん!いきなりっああっ!撮らないでっ!!」

 クジマはリネーが自分の上に跨り腰を前後に動かしながら、携帯用魔導板で喘ぐクジマを撮影していた。

「どう?クジマ。僕、上手に動けてるかな?」
「ひいぃんっ!上手すぎて私のチンチン溶けてしまいそうっ!!ああっそんなに締め付けちゃだめええっ!!」
「撮影するの結構、楽しいね。スミゾメ殿は動画の細かい内容については言及しなかった。だから僕に責められて喘ぐクジマの顔を映しても契約違反にならないんだ。ふふふ、もっとクジマのいい顔を見たいなあ」
「あぁっ……らめええっ、気持ちよくてよだれが出てきて……私の情けない顔を撮らないでっ……!」

 情けない声を上げながらも、クジマの陰茎は硬度を増してリネーの中を圧迫した。リネーはますます熱く硬くなっていく陰茎の肉の愉悦に溺れそうになりながらも、撮影を続けていた。

「クジマ、今、僕は携帯用魔導板を持ってるから、自分の手は動かせないんだ。僕の勃起したチンチン触って?届くかな?」
「が、頑張ります……」

 クジマはなんとか手を伸ばしてリネーの控えめな陰茎を下から撫で上げるように指で触ると、リネーの身体はビクンッと反応してさらに胎内の媚肉で陰茎を締め付けた。

「ううっ…!でそうっ!!」
「クジマのイキ顔撮影してるから一緒にいこうね!ああんっ……!!ああっ!!」

 胎内で締め付けられた陰茎は白濁を放精し種付した。あまりの締付けにより、根こそぎ精子を持っていかれるくらい締め付けられて大量の白濁をリネーの中に注いでしまう。

「ううっ!!」
「あっ……あぁっ……クジマのがたくさん出てるよ……」

 リネーは上半身を弓なりに反りかえらせ、ビクビクと官能の絶頂に打ち震えていたが、疲れたのかクジマの身体の上に倒れ込むように重なった。

「リネーくん、まさか私のよだれを垂らしながらのイキ顔の動画をスミゾメ殿に送るつもりなの?」
「うん、そうだよ?恋人同士のセックスなんだから、僕が撮影しても問題ないよ。あ、申し訳ない程度につながっている所とかフェラも撮影しておいたほうがいいかな?ふふっ」

 クジマに身体を預けて笑うリネーは、そう悪びれなく言った。クジマはリネーには敵わないと思いつつ、愛おしい気持ちが胸に湧き上がる。

「ううん、最初から私の恥ずかしい姿を撮影して送ろう。怒られるかもだけど……」
「契約違反してないから大丈夫だよ。次はクジマが上になってね」

 リネーはそう言うとクジマの唇のあわいから舌を差し込み、口内を舌でまさぐり舌を絡め唾液の交換をするような濃密なキスをした。

「好きだよ、クジマ」
「わ、私も好きだ……あっ、またキスだけで私の愚劣なチンチンが勃起してしまった……」
「フフフ、いつもそうだよね。そこも好きだよ」

 リネーはクジマに抱きつき、二人互いの顔を見ながら笑い、ベッドの上でじゃれ合うと再び深いキスをし部屋には息遣いと淫らな水音だけが響いていた。


 リネーとクジマが撮影した動画が送られてきたスミゾメは家で見て唖然とするが、そこにスミゾメの奥さんが部屋に入ってきて浮気していると勘違いをされてしまい奥さんの家出に発展したので、動画はもう送らなくていいことになるのであった。
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