94 / 157
同居の御曹司は浮気を許さない
94
しおりを挟む「順調ですけど」
ぶっきらぼうに答える。今更下田くんがそれを知ってどうするというのだ。
「城藤の御曹司なんだから、さぞいい暮らしをしてるんだろうな。でっかい屋敷か、タワーマンションか。車も良いやつ乗ってるんだろ? スーツも高級なの着てさ。波瑠も贅沢な暮らしさせてもらってるみたいだし」
否定も肯定もせず黙って下田くんの言葉を聞いていた。私からは何も答えるつもりはない。
「俺にもその恩恵に与らせてよ」
「え?」
「元同期なんだからいいだろ? 俺も良い生活がしたいんだよ」
「何を……言ってるの?」
「金が要るんだよ」
この言葉に青ざめる。
「は……?」
「城藤財閥の人間が不倫してた女と付き合ってるなんて知れたら一大事なんじゃないの?」
怒りで肩が震えてきた。
「どういう意味? 私は不倫してたつもりはないんだけど……」
「周りはそう思ってないから俺たち減給処分食らったんだろ? 波瑠の過去が優磨の会社にバレたらやばいんじゃないの?」
「なにを……」
「優磨の会社に黙っててやるから金ちょうだいよ」
私は勢いよく立ち上がって下田くんに近づき頬を叩いた。パンッと乾いた音が部屋に響く。頬を押さえた下田くんは笑いだす。
「くくっ……暴力を振るってるってのもマズいよなぁ。優磨の立場がやばくなるんじゃないの?」
手が震える。怒りで自分を抑えられなかったことが悔しい。目の前の男がとにかく恐ろしい。
どうしてこうなったの? 私の何がいけなかった? どうしたら優磨くんを守れる?
「そう怯えないでよ……金さえもらえれば黙ってるって言ってるの」
「いくら……いくらが望みなの?」
「百万」
「え……」
「百万円ちょうだい」
1
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる