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同居の御曹司は甘やかすのがお好き
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しおりを挟む「優磨さん」
運転席から声が聞こえて我に返った。
「ご自宅に向かってよろしいですか?」
見ると車はいつの間にか動き出していて、泉さんがバックミラーでこちらを窺っている。
「はい……自宅で構いません……」
優磨くんは息を乱して泉さんにそう告げると、私を座り直させてシートベルトを締めた。それくらい自分でできるのに、今の私は優磨くんに甘やかされている。
「お取り込み中お呼びして申し訳ありません」
「いえ……」
私も優磨くんも顔を真っ赤にする。
お互い夢中になって求め合ってしまった。いい大人なのだから場所を考えないといけなかったのに。
「リゾートの件ですが、明日朝早くからミーティングをしたいと先方が連絡してきました」
「明日……わかりました。俺は大丈夫です」
「それと、商業マネジメント事業部の方でも可能なら明日お話がしたいと」
「そっちは調整します」
「それと、至急返事をしてほしいと言っている部署が……」
私のわからない仕事の話になった途端に眠くなってきた。車の揺れが心地良い。
「波瑠? 眠い?」
「うん……」
優磨くんに頭をもたれていると車が揺れるたびに小さく頭をぶつける。
「ここに寝てな」
そう言うと優磨くんは自分の太ももをポンポンと叩く。吸い寄せられるように頭を載せて横になると頭を撫でられる。私は自然と目を閉じた。
優磨くんの膝枕は落ち着くな……。今夜はとっても幸せ。家に着く前に寝てしまうかもしれない。
「例の件ですが、写真をお預かりしています」
「え? その件は断ってもらったつもりだったのですが?」
「申し訳ありませんが私では何とも……」
「そうですよね……俺から父に言います」
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