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同居の御曹司は甘やかすのがお好き
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しおりを挟むテーブルにお茶を置くときも女性は至近距離で私の顔を見る。
「失礼いたしました」
私に向かってそう言った女性が出て行くと緊張がピークに達する。封筒を届けるだけなのにどうしてこんなに辛いの……。
更に数分待つとフロアのドアが開き、優磨くんが数名の社員と共に入ってきた。その顔は普段見ることのない機嫌の悪そうな顔をしている。ガラスで仕切られた応接室に私がいることに気付いていないようだ。
フロアの声は私には聞こえないけれど、どうやら優磨くんはそばにいる社員と言い争っているようだ。
タイミングの悪い時に来てしまったかもしれない……。
怖い顔をしている優磨くんに先ほどの女性が近寄り声をかけると、優磨くんは私の方に視線を向けた。そして驚いたように目を見開く。それを見て手を振りそうになったのを堪える。
優磨くんは社員をフロアに残して早足で私のいる部屋に近づいてきて、ドアを開けて入った途端に勢いよく閉める。
「何で波瑠が!?」
「えっと……」
どうしよう、美麗さんに連れてこられたって言っていいのかな……?
その時スマートフォンにLINEのメッセージがきたことを知らせる着信音が鳴る。見ると美麗さんから『優磨驚いた?』と可愛らしいスタンプ付きでメッセージがきた。
私は困惑している優磨くんに思わずそのメッセージを見せた。
「はぁ……」
優磨くんは状況を理解したのか溜め息をつく。
「あのね、泉さんは悪くないの……」
でも美麗さんが悪いとも言い切れずにいると優磨くんは「わかってる。姉さんが勝手なことをしたんだろ」と目を伏せる。
「波瑠を姉さんに近づけたくなかったのに……」
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