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同居の御曹司は甘やかすのがお好き
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しおりを挟む優磨くんが店員さんに声をかけると「かしこまりました」と答えた店員さんに試着室に連れていかれ、何着か服を渡される。
締め切られたカーテンの中で私は戸惑った。値札に書かれた数字の大きさに恐ろしくなる。何よりも量販店の服しか着ない私にはハイブランドの服が似合うと思えない。
「波瑠?」
外から優磨くんが声をかけてきた。
「大丈夫?」
「ああ、うん!」
慌てて渡された服を着てみた。鏡を見ると服はとても可愛い。けれど似合っているのか疑問だ。
「どうかな……」
カーテンを開けると優磨くんは照れたように笑っている。
「うん……とっても可愛いよ……」
その言葉に私も恥ずかしくなる。本心なのかお世辞なのかわからない。
「とてもお似合いです」
店員さんに「こちらもどうぞ」と次の服も渡される。
結局何着も試着して、優磨くんはその全てを「買います」と告げる。
「いやいやいや……」
店員さんから聞いた総額が桁違いに高くて買えるわけがない。けれど優磨くんは「これで」とクレジットカードを店員さんに手渡す。
「だめだよ優磨くん!」
「なんで? 俺が買いたいのに?」
「でも……」
「全部波瑠に似合ってるよ。それも今から着て行こう」
私は試着した服をまだ着ている。「このまま着ていきます」と優磨くんが店員さんに言ったときには顔が青ざめた。
「次は靴だね」
大きな紙袋を持って店を出ると優磨くんは道路を見渡した。
「え? まだ買うの?」
機嫌よく車を走らせた優磨くんは数十メートル行ったところで再び車を停める。
これまた上品な靴が並ぶ店内に手を引かれると「彼女に合う靴を」と何足も履かされた。
ここまでぺたんこなパンプスを履いていたのに、新しくヒールの高いものに足が包まれる。
私の全身は今総額いくらなのだろう。自分が自分でなくなっていく感覚で倒れそうになる。
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