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同居の御曹司は甘やかすのがお好き
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しおりを挟む面接に行く企業の場所をもう一度確認してカバンを持つと、優磨くんの部屋の様子を外から窺う。まだ起きていないようなので何も言わずに出ることにした。
体調を崩して会社を辞めるのに、すぐに転職活動をする私にいい気はしていないのだろう。心配してくれる気持ちは嬉しいけど、私は自分が自立するために動くのだ。
電車で1時間かかる企業の面接を無事に終え、再び1時間かけて優磨くんのマンションに戻ってきた。
もうさすがに起きているだろうし、どんな顔して帰ればいいのか迷っている。
「いつもは入れてくれるじゃん!」
マンションの前で大声を出している女性がいる。その女性と向かい合って優磨くんが立っていることに驚いて足を止めた。
「だから今は無理なんだって!」
女性と同じくらい大声で優磨くんも怒っている。その様子に離れた私までが緊張する。
「いいじゃん! いつもはすぐに入れてくれるのにー!」
「もう無理なんだって言ってるだろ! 察しろよ!」
マンションに入ろうとする女性を優磨くんは必死で阻止しようとしている。
「優磨の意地悪!」
「子供みたいなワガママを言うなよ! 俺には俺の生活があるんだって!」
「何で急に入れてくれなくなったの? まさか女?」
「いいから帰れよ。今迎えが来るから」
「でも美麗疲れてるの! 優磨の家で休みたいのに……」
女性が立ち尽くす私に気付いたのか動きを止めた。女性の目線を追って優磨くんも私に気付いた。その顔は焦ったように目を見開いている。
「波瑠……」
「あの……」
まずいところに帰ってきてしまったのかもしれない。
私を見る女性は驚くほど美人だ。モデルのような高い身長と抜群のスタイルで、優磨くんの隣にいても自然だった。
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