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同期の御曹司は不貞がお嫌い
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しおりを挟む優磨くんは気まずそうに目を逸らす。
プライベートの話をあまりしない人だから今も嫌なのかもしれない。だから私はそれ以上優磨くんのことを詮索しないようにする。
「安西さんのこと聞かせて」
運ばれてきたお酒を飲みながら優磨くんが退職してからのことを話した。口を挟むことなく私が落ち着いていられるように料理にもお酒にも手をつけなかった。
「そんな感じで生活もボロボロ……男を見る目がないんだよ……」
「大変だったね。安西さんはとっても頑張ったよ」
優磨くんの言葉にまた目頭が熱くなる。この人に優しくされたら弱い部分がどんどん出てしまう。
「会社行くの辛い?」
「うん……転職しようかな……」
なんとなく考えていたことを初めて口に出す。優磨くんは微笑んで「いいと思うよ」と言ってくれる。まだ本気で考えていなくてもそう言ってくれる人がいるだけで気持ちが楽になる。
「今日は俺の奢りだからどんどん食べて」
「え、いいよ……私も出す」
「大丈夫。俺が奢りたいの」
高そうなお店なのに申し訳なくなる。私はそこまでボロボロに見えるのだろうかと心配になった。実際こんな高級な店でお金を出せそうにはないのだけど。
「じゃあ遠慮なく」
久しぶりにまともにご飯を食べた気がする。ちゃんと食べ者の味を感じる。
「美味しい」
生ハムを頬張る私を優磨くんはニコニコと見つめる。いくらなんでも豪快に食べすぎかなと恥ずかしくなるけれど、もう今更優磨くんに取り繕ってもしょうがない。引かれてもいいや。既にだいぶ迷惑をかけている。
食事を終えて店を出てから家まで送ってくれるという優磨くんに甘えることにした。今までこの店を知らなかったけれど私の家まで歩ける距離だ。
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