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露呈
今までのこと これからのこと
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「それにしても助かったよ。リョンヘ、あのときちょうど君が来てくれてよかった。」
「まあ、偶然だけどな。お礼は俺が城から抜け出す手引きをしてくれたら十分だ。」
リョンヤンの机に書物を置きながら答えるリョンヘに、リョンヤンは、はぁとため息をついた。
「また城を抜け出すんだね。毎回父上に小言を言われても懲りないね、リョンヘは。」
「そりゃあそうだろう。王子のくせに城も城の外も知らなかったら失格だろう?それにかわりにリョンヤンに城の外の状況教えてるだろう?」
「私もそれはいいと思うんだよ?ただ、昔危ない目にあったし、そんなに頻繁に出るのは…。」
「まぁ、それはおいおい考えとくからさ。」
リョンヘは話を断ち切る。
どうやらいつも芸人に化けてリョンヘは城の外に出ていたらしい。結構な頻度で、城を抜け出しているようだが、ハヨンの朝練習にもよく会うから、リョンヘの活動時間はかなり早い時間だ。
そのとき、
「入ってもよろしいですか。」
とハヨンと同じくリョンヤンの専属護衛で、上官の白虎の兵士が入る。
「そろそろ交代だ。」
「はい、よろしくお願いします。」
ハヨンは上官に頭を下げると部屋を退出する。
話は聞きたかったが、今は無理だ。またいつかリョンヘに尋ねてみたい、とハヨンは考えていると、袖に何やら紙が入っていることに気がついた。
゛明日の朝、いつもの場所で会おう。゛
という文面からリョンヘのものだと察せられた。
(それにしても私に気づかないように手紙を忍ばせるって…。一体何物なの…。)
ハヨンは驚きを隠せなかった。
ハヨンがいつもの場所に着いたとき、リョンヘは既に座って待っていた。いつもの朝のように小鳥がさえずり、澄んだ空気で満たされている。しかし、ハヨン自身は緊張で心の臓が張り裂けそうなほどだった。
「お待たせしてしまってすみま…」
リョンヘはハヨンの言葉を遮る仕草をする。
「そんなにかしこまるな。それに、今まで本当のことを隠して悪かったな。」
リョンヘが頭を下げるので、ハヨンは慌てふためいた。
「いえ、そんな謝らないでください。」
「…ほんとはな、最初はただ単にからかってやろうと思って、ああやって芸人のふりをしたんだ。後で驚いた顔を見るのが楽しそうだと思って。」
確かに思い返してみれば、いろいろと自分はからかわれたんだろう、と思える節がたくさんあった。
「正体がばれた時も、『え、まさか王子だったなんて!驚きました!』て言って笑い話になるかと思ってた。でも、あんたの顔を見た時、ああ、あんたは俺のこと、ちゃんと友達として見てくれていたんだなってわかった。それで、軽い気持ちで始めたことがこんなにあんたを傷つけることになって申し訳なくなったんだ。」
「…確かに、私も最初は怪しい奴と思ってました。でも、それ以上にリョンヘ様が優しかったのと、一緒にいて楽しいと思えたから、いつの間にか友人と思っていました。…今までありがとうございました。」
きっともう、正体が明かされてしまった今、リョンヘはこれを最後に自分とは会わなくなる。そう思ってハヨンは感謝の言葉を伝えた。
「えっと、ちょっと待ってくれ。なんでそんな最後みたいな話方になってるんだ。」
リョンヘは立ち上がり、困惑したように眉を寄せる。
「だってもうリョンヘ様にお会いすることはできないでしょう?」
ハヨンは思わず声を震わせてしまった。そして言葉を失っているリョンヘを見て、目を伏せる。なんと言われるかわかっていても怖かった。
「何でそんなことを言うんだ。俺はあんたとはもう会わないなんて一言も言ってないだろう?俺は今日伝えたかったことは、あんたにこれらもよろしくってことだ。」
「ええ⁉」
ハヨンは思わず目を剥いて叫んでしまう。
「何でそんなすっとんきょうな声を出す。言っただろう?俺たちは友達だと」
「いや、しかし私はこの城をそして王子を守る立場としてですね。あなたが抜け出すのを止める役目なのですが…。」
そんなあなたが避けるべき相手なのによろしいのですか、という声がだんだんと尻すぼみになった。
「大丈夫だ。俺は抜け道をいくらでも知っている。あんたにみつかっても後でいくらでも抜け出せる。」
リョンヘの返事を聞いて、ハヨンはあぁ、とため息をつきそうになった。
(そうだ、この人はそういう人だ。)
人に縛られず自分の思うように生きる。王子としての彼はほとんど知らないが、リョンとしての姿はよく知っている。あれが素ならば、旅芸人らしい何にも縛られない人のはずだ。
「城で俺がリョンヘとしてあんたに会ったとき、あんたは俺のことをよく知らないふりをしてくれ。でも、リョンの姿の時は…。前と同じようにしてほしい。あの時間は王子でも、お忍びで警戒しているリョンでもない、自由な俺なんだ。唯一の心の拠り所で、気を張りたくない。」
ハヨンは自由に過ごせる存在だと言われてこの上なく嬉しかった。思わず笑顔で頷いてしまう。彼は天然の人たらしである。
「あんたははっきり物怖じせず物を言う人間だ。王族として過ごしていたら気詰まりだから、そういう人には救われる。」
それにしてもきついもの言いが好きだなんて、おかしな趣味をを持ち始めたのかも知れないなぁ。とリョンヘは照れ臭そうに笑った。
「まあ、偶然だけどな。お礼は俺が城から抜け出す手引きをしてくれたら十分だ。」
リョンヤンの机に書物を置きながら答えるリョンヘに、リョンヤンは、はぁとため息をついた。
「また城を抜け出すんだね。毎回父上に小言を言われても懲りないね、リョンヘは。」
「そりゃあそうだろう。王子のくせに城も城の外も知らなかったら失格だろう?それにかわりにリョンヤンに城の外の状況教えてるだろう?」
「私もそれはいいと思うんだよ?ただ、昔危ない目にあったし、そんなに頻繁に出るのは…。」
「まぁ、それはおいおい考えとくからさ。」
リョンヘは話を断ち切る。
どうやらいつも芸人に化けてリョンヘは城の外に出ていたらしい。結構な頻度で、城を抜け出しているようだが、ハヨンの朝練習にもよく会うから、リョンヘの活動時間はかなり早い時間だ。
そのとき、
「入ってもよろしいですか。」
とハヨンと同じくリョンヤンの専属護衛で、上官の白虎の兵士が入る。
「そろそろ交代だ。」
「はい、よろしくお願いします。」
ハヨンは上官に頭を下げると部屋を退出する。
話は聞きたかったが、今は無理だ。またいつかリョンヘに尋ねてみたい、とハヨンは考えていると、袖に何やら紙が入っていることに気がついた。
゛明日の朝、いつもの場所で会おう。゛
という文面からリョンヘのものだと察せられた。
(それにしても私に気づかないように手紙を忍ばせるって…。一体何物なの…。)
ハヨンは驚きを隠せなかった。
ハヨンがいつもの場所に着いたとき、リョンヘは既に座って待っていた。いつもの朝のように小鳥がさえずり、澄んだ空気で満たされている。しかし、ハヨン自身は緊張で心の臓が張り裂けそうなほどだった。
「お待たせしてしまってすみま…」
リョンヘはハヨンの言葉を遮る仕草をする。
「そんなにかしこまるな。それに、今まで本当のことを隠して悪かったな。」
リョンヘが頭を下げるので、ハヨンは慌てふためいた。
「いえ、そんな謝らないでください。」
「…ほんとはな、最初はただ単にからかってやろうと思って、ああやって芸人のふりをしたんだ。後で驚いた顔を見るのが楽しそうだと思って。」
確かに思い返してみれば、いろいろと自分はからかわれたんだろう、と思える節がたくさんあった。
「正体がばれた時も、『え、まさか王子だったなんて!驚きました!』て言って笑い話になるかと思ってた。でも、あんたの顔を見た時、ああ、あんたは俺のこと、ちゃんと友達として見てくれていたんだなってわかった。それで、軽い気持ちで始めたことがこんなにあんたを傷つけることになって申し訳なくなったんだ。」
「…確かに、私も最初は怪しい奴と思ってました。でも、それ以上にリョンヘ様が優しかったのと、一緒にいて楽しいと思えたから、いつの間にか友人と思っていました。…今までありがとうございました。」
きっともう、正体が明かされてしまった今、リョンヘはこれを最後に自分とは会わなくなる。そう思ってハヨンは感謝の言葉を伝えた。
「えっと、ちょっと待ってくれ。なんでそんな最後みたいな話方になってるんだ。」
リョンヘは立ち上がり、困惑したように眉を寄せる。
「だってもうリョンヘ様にお会いすることはできないでしょう?」
ハヨンは思わず声を震わせてしまった。そして言葉を失っているリョンヘを見て、目を伏せる。なんと言われるかわかっていても怖かった。
「何でそんなことを言うんだ。俺はあんたとはもう会わないなんて一言も言ってないだろう?俺は今日伝えたかったことは、あんたにこれらもよろしくってことだ。」
「ええ⁉」
ハヨンは思わず目を剥いて叫んでしまう。
「何でそんなすっとんきょうな声を出す。言っただろう?俺たちは友達だと」
「いや、しかし私はこの城をそして王子を守る立場としてですね。あなたが抜け出すのを止める役目なのですが…。」
そんなあなたが避けるべき相手なのによろしいのですか、という声がだんだんと尻すぼみになった。
「大丈夫だ。俺は抜け道をいくらでも知っている。あんたにみつかっても後でいくらでも抜け出せる。」
リョンヘの返事を聞いて、ハヨンはあぁ、とため息をつきそうになった。
(そうだ、この人はそういう人だ。)
人に縛られず自分の思うように生きる。王子としての彼はほとんど知らないが、リョンとしての姿はよく知っている。あれが素ならば、旅芸人らしい何にも縛られない人のはずだ。
「城で俺がリョンヘとしてあんたに会ったとき、あんたは俺のことをよく知らないふりをしてくれ。でも、リョンの姿の時は…。前と同じようにしてほしい。あの時間は王子でも、お忍びで警戒しているリョンでもない、自由な俺なんだ。唯一の心の拠り所で、気を張りたくない。」
ハヨンは自由に過ごせる存在だと言われてこの上なく嬉しかった。思わず笑顔で頷いてしまう。彼は天然の人たらしである。
「あんたははっきり物怖じせず物を言う人間だ。王族として過ごしていたら気詰まりだから、そういう人には救われる。」
それにしてもきついもの言いが好きだなんて、おかしな趣味をを持ち始めたのかも知れないなぁ。とリョンヘは照れ臭そうに笑った。
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