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3.凸凹コンビと黒い人
聖剣少年と黒い影
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ーーーーーー
その後、日本DHギルドに黒い何かの連絡が入ってから数十分後に、目撃された場所へDHギルドの職員達が確認に向かったそうだが、そこには何の痕跡も無かったそうだ。
職員達は半信半疑で、見間違いか悪戯だろうという事で撤収した。
——だがその翌朝に事態は動く。
翌朝の土曜日9時、渋谷駅近くに再度黒い何かが突然現れた。
現れた場所は元々人通りのの多く、観光名所にもなっている大通り。
——そして現れた場所に近かっただけの、若い女性が犠牲となった事で……その場に大きな混乱が起きる。
叫びながら逃げ惑う人々、黒い何かの周囲だけぽっかりと空いた空間。幸いなのはその移動速度が人の早歩き程度の速度という事だろうか。
その近くには人の波で押し倒され、足を負傷した13歳位の少年。
その少年は足を引きずって逃げようとするが、黒い何かの方が動きが早い。
周囲の人々は恐怖からそれを見ていることしか出来ない。
「だ、誰か助けて……!」
少年は必死に助けを求めるが、それに応じる人は居ない。
少年と黒い何かの距離は、後数歩。
誰もがダメだと思った、その時。
そこに勢いよく飛び込んでくる人の影。
それは40歳位の男性で、スーツ姿なのだがその手には槍を持っていた。
男性はその槍を黒い何かに突き刺す——が。
その槍は何かに拒まれるように勢いを無くす。
「チッ……!」
男性は舌打ちをし、すぐさま少年を脇に抱える。
そこに迫る黒い影の手のようなもの。それは槍を掴み徐々に黒い部分へと飲み込んで行く。
「オラッ!」
男性は黒い何かに蹴りを入れる。今度は何かに当たった感触があるが、今度は革靴が何かに掴まれて微動だにしなくなってしまう。
「うおっ!?」
男性は慌てて革靴を脱ぎ、距離を取る。
黒い何かは槍、革靴をそのまま飲み込んでいく。
「……俺の商売道具が。保険、降りるかねえ」
男性は人混みの方へと走り、少年を近くの男性へと預ける。
「この子を遠くに逃してやってくれ。それとDH協会に連絡頼む!ゴールドランクの早川が急いで来いと言っていたと伝えてくれ」
少年を引き渡された男性は戸惑いながら頷く。
そしてスーツの男性は、また黒い何かへと目を向け近づこうとする。そこに少年が声を掛ける。
「あ、あの……ありがとう……」
スーツの男性は少年に顔を向け、その頭にポンと手を置く。
「おう。無事で良かったな。じゃあよろしく頼む」
そうして、スーツを着た男性——JHWの警備部隊に居た早川は黒い何かへと向かっていく。
「はあ……面接はいけねえわ、武器はダメになるわ。今日は本当についてねえ……」
早川はネクタイを緩めながら呟く。
「まあてめぇにボヤいても仕方無いな。……さあ。応援が来るまで鬼ごっこでもしようぜ」
彼は黒い何かに向けてそう言った。
ーーーーーー
——日本DH協会、本部。
そこでは協会所属のDH達が慌ただしく動いていた。
「急げ!被害でも出たらDH協会の信用問題になる!」
各々の武器、防具を装着し、車両へと乗り込んでいく。
「……信じられん。本当に魔物が街中に現れたのか……?」
指示を出していた男性がそう呟くのも無理はない。
ダンジョンが発生してから今まで、現実世界に被害が出る事等一回も無かった。
勿論ダンジョンから魔物が出てくることなんて聞いたこともない。ましてや、ダンジョンが近くに無い渋谷?
その魔物は一体どこから現れたと言うのか。
考えれば考える程頭が混乱してくる。
「……確かめねば」
指示を出していた男性はそう呟きながら車両に乗った。
その後、日本DHギルドに黒い何かの連絡が入ってから数十分後に、目撃された場所へDHギルドの職員達が確認に向かったそうだが、そこには何の痕跡も無かったそうだ。
職員達は半信半疑で、見間違いか悪戯だろうという事で撤収した。
——だがその翌朝に事態は動く。
翌朝の土曜日9時、渋谷駅近くに再度黒い何かが突然現れた。
現れた場所は元々人通りのの多く、観光名所にもなっている大通り。
——そして現れた場所に近かっただけの、若い女性が犠牲となった事で……その場に大きな混乱が起きる。
叫びながら逃げ惑う人々、黒い何かの周囲だけぽっかりと空いた空間。幸いなのはその移動速度が人の早歩き程度の速度という事だろうか。
その近くには人の波で押し倒され、足を負傷した13歳位の少年。
その少年は足を引きずって逃げようとするが、黒い何かの方が動きが早い。
周囲の人々は恐怖からそれを見ていることしか出来ない。
「だ、誰か助けて……!」
少年は必死に助けを求めるが、それに応じる人は居ない。
少年と黒い何かの距離は、後数歩。
誰もがダメだと思った、その時。
そこに勢いよく飛び込んでくる人の影。
それは40歳位の男性で、スーツ姿なのだがその手には槍を持っていた。
男性はその槍を黒い何かに突き刺す——が。
その槍は何かに拒まれるように勢いを無くす。
「チッ……!」
男性は舌打ちをし、すぐさま少年を脇に抱える。
そこに迫る黒い影の手のようなもの。それは槍を掴み徐々に黒い部分へと飲み込んで行く。
「オラッ!」
男性は黒い何かに蹴りを入れる。今度は何かに当たった感触があるが、今度は革靴が何かに掴まれて微動だにしなくなってしまう。
「うおっ!?」
男性は慌てて革靴を脱ぎ、距離を取る。
黒い何かは槍、革靴をそのまま飲み込んでいく。
「……俺の商売道具が。保険、降りるかねえ」
男性は人混みの方へと走り、少年を近くの男性へと預ける。
「この子を遠くに逃してやってくれ。それとDH協会に連絡頼む!ゴールドランクの早川が急いで来いと言っていたと伝えてくれ」
少年を引き渡された男性は戸惑いながら頷く。
そしてスーツの男性は、また黒い何かへと目を向け近づこうとする。そこに少年が声を掛ける。
「あ、あの……ありがとう……」
スーツの男性は少年に顔を向け、その頭にポンと手を置く。
「おう。無事で良かったな。じゃあよろしく頼む」
そうして、スーツを着た男性——JHWの警備部隊に居た早川は黒い何かへと向かっていく。
「はあ……面接はいけねえわ、武器はダメになるわ。今日は本当についてねえ……」
早川はネクタイを緩めながら呟く。
「まあてめぇにボヤいても仕方無いな。……さあ。応援が来るまで鬼ごっこでもしようぜ」
彼は黒い何かに向けてそう言った。
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——日本DH協会、本部。
そこでは協会所属のDH達が慌ただしく動いていた。
「急げ!被害でも出たらDH協会の信用問題になる!」
各々の武器、防具を装着し、車両へと乗り込んでいく。
「……信じられん。本当に魔物が街中に現れたのか……?」
指示を出していた男性がそう呟くのも無理はない。
ダンジョンが発生してから今まで、現実世界に被害が出る事等一回も無かった。
勿論ダンジョンから魔物が出てくることなんて聞いたこともない。ましてや、ダンジョンが近くに無い渋谷?
その魔物は一体どこから現れたと言うのか。
考えれば考える程頭が混乱してくる。
「……確かめねば」
指示を出していた男性はそう呟きながら車両に乗った。
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